星空の写真を撮るために、天気予報のチェックって必須でしょ。SCWとかAstro GPVとか、いろんな天気予報ツールがあって、私も使っている(厳密にはここ1年ほど遠征に行ってないけどさ)。それぞれサイトの特徴があって、私もそんなの作ってみたいなと思っていたんだ。で、新しい気象予報ツールを作ったのであった。名前はまだない。占い以上にはあたって欲しいとは思っているのだが。
このWebアプリは、今夜や明日の夜が星を見るのに適しているかどうかを、気象データをもとにスコアで教えてくれる。観測前のちょっとした確認に使いたいと思っている。特徴は以下のとおり。
- 観測地点をピンポイントで選択可。海外の観測地点も指定できる
- 観測地点は「デフォルト」、「衛星写真」、「光害マップ」の3レイヤーから選べる
- 日の入りから日の出までの気象(雲量・風速・気温・露点)を1時間ごとに評価
- 観測コンディションごとに緑・黄・赤で色分け表示

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Open-MeteoのAPIを活用して取得した気象データ(雲量・風速・気温・露点)をもとに、日の入りから日の出までの時間、各時間帯ごとの観測コンディションを検討する。当然、気象の精度は、Open-Meteoに依存する(メッシュの細かさは把握していない)。スコアは、雲量(最大70点)・風速(最大20点)・結露リスク(最大10点)の3つの要素で構成されていて100点満点で表示。
使い方は、地図上の観測・撮影場所をクリックするだけ(海外だと一部失敗する地域がある)。そしたら、その場所の今夜と翌晩の観測条件を1時間ごとに表示してくれる。それぞれの時間ごとに気温・風速・露点・雲量の詳細も表示される。「今夜行くべきか、明日にするか」「風は我慢できそうか」「結露対策いるかな」など、検討材料を「星空スコア」と勝手に命名したスコアリングのベースにしている。スコアが高い時間帯は色で強調され、「90点以上:完璧」「80点以上:チャンスあり」とひと目で分かるようにしてみた。
地図は、デフォルト、衛星写真、光害マップの3層から選択できる。光害はズームインが途中までしかできないので、ロケ地探しとか参考程度に使ってほしい。
結果ページをブックマークしておくと、次から選び直さなくてよい。
🌟 星空スコアってなに?

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「星空スコア」は、緯度・経度で指定した場所の夜の天気を分析し、その夜の観測条件を100点満点で評価する開発途中のにゃあさん独自の指数。評価のポイントは次の3つ:
☁ 雲の量(最大70点)
天気予報の「晴れ」ってさ、僕らの感覚と違うのよ。僕らのほうがおかしいのかもしれないけれど、横浜地方気象台のページではこんなふうに説明されてる。
雲の量が1割以下(0~1割)の状態を「快晴」、2割から8割の状態を「晴れ」、9割以上の状態を「曇り」
雲が8割の空を覆ってても「晴れ」なわけだ。しかも、同じ雲といえども、低層雲・中層雲・高層雲ではやっかいさが違っていて、高層雲ならなんとか撮れるかもしれないけれど、低層雲はあきらめるしかないってことも多い。なので、総雲量が多くても低層雲が少なければ、やや観測向きと判断している。もちろん、総雲量が小さければスコアは高くなる。晴れとか曇りとかの概念はない。撮影には雲の影響大なので、100点満点中70点を雲に持たせた。
🌬 風の強さ(最大20点)
風が弱いほどスコアが高くなる。とくに望遠鏡を使うとき、風は大きな敵。でっかい望遠鏡なら影響を受けやすい。「1.5m/s以下なら最高」「3.5m/sを超えると厳しい」といった細かい評価をスコア化してみた。だいたい3m/s以上から影響が出始めて、5m/s以上ならアウトって感覚。20点も持たせなくてもいいかと思ったけど、晴れてても風があったら撮影できないものね。
💧 結露のリスク(最大10点)
気温と露点の差から、結露しやすさを判定。ふつうに計算したら出てくる。結露しやすいとスコアが下がり、差が大きいほど安心して撮影できるという評価になる。ただこちらはヒーターを巻いておけば対策が可能なので10点どまり。準備はしていこうねーって感じ。
課題とか
このWebアプリはβ版扱いとして、気になるところがあったら教えてくれると嬉しいのだ。いろいろ使ってみながら調整する。SCVのように上空から雲の様子が見えたほうが説得力ある。そのあたりは、対応できそうならやっていきたい。
この記事へのコメント
おっしゃる通り、気象庁や民間の気象事業者が発表する天気予報は広く一般のユーザーを対象としていますし、災害をもたらす大雨などの予想に重点を置いているので、天体観測の参考には限界があるのは残念ながら事実です。また、夜間は雨さえ降らなければ晴れでも曇りでもどちらでもよいというのが、大多数(天体観測者以外)のユーザーの感覚と思います。
そのような実情なので、「星空スコア」のように天体観測用途に特化したサイトの開設には期待しております。
ただ、対価の有無にかかわらず独自の気象予想をwebページ等で公開するには、気象庁長官の許可が必要です(気象業務法第17条)。詳しくは以下のページをご覧ください。他の気象予想事業者から提供された資料をそのままwebに貼り付けらだけなら許可は不要です。詳しくは以下のページをご覧ください。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/q_a_m.html
また、雲量の分類に「低層雲」、「中層雲」、「高層雲」とありますが、これらはそれぞれ「下層雲」、「中層雲」、「上層雲」と呼ぶのが適切と思います。
世界気象機関(WMO)発行の国際雲画帳(https://cloudatlas.wmo.int/en/home.html)では、雲を10種類の雲形に分類しています。
大きく分けると、low、middle、highの3種で、それぞれ下層(雲)、中層(雲)、上層(雲)の訳語を当てています。「低層雲」という用語は気象学では一般的ではありません。
また、「高層雲」は中層の雲の一つのaltstratusの訳語です。
詳しくは以下のページ内の「気象観測の手引き」をご覧ください。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/hpc.html
「高層雲」について、「気象観測の手引き」では次のように解説されています。
“灰色の層状の雲で,全天をおおうことが多く,厚い巻層雲に 似ているが日のかさ,月のかさ現象を生じない。この雲の薄い部分ではちょうど,すりガラスを通して見るようにぼんやりと太陽の存在が判る。”
ですから、高層雲が広がっているときは、通常、星は見られません。
真砂礼宏さま。ていねいで詳しいご指摘をいただき、ありがとうございます。ひとまず、こちら非公開といたします。重ねてありがとうございました。
すんばらしいアプリだ!
早速、使ってみます!
と小躍りしたけど、気象予報に当たってしまうんですね
ネットの情報を集めて判断する物でもダメなのかぁ
残念
APIの値をそのまま使っているので問題ないとは思うのですが、そのAPIが問題な可能性もあるので確認のため一旦留保ですー
残念です・・・
オトナの事情ってヤツでしょうか。
非常に有用なアプリだと思います。諸条件をクリアして、是非再公開して欲しいです。
…ソレニシテモ、天体ノ予報ハ誰デモ自由ニ発表出来ルッテイイ事ナノカモ…。
α-Oriガ来年バクハツシソウダ、トカ、オリオン流星群今年ハギョウサン流レソウダ、トカ
たぶん諸条件はクリアしているので近いうちに公開はできると思うのですよ。念には念をいれてですね。やぶへびになっちゃったりして(汗)
にゃあさま。早速のご対応ありがとうございます。
最初のコメントがくどくど書いたにもかかわらず、肝心のところが少し舌足らずでした。
・ 最初のコメントにurlを貼った気象庁HP「気象等(路面状況、地面温度等を含む)の予報業務許可についてよくお寄せいただくご質問」のページ中の「気温や天気などの気象等の要素をもとに、花粉の飛散予測、植物の開花予測、○○指数・・・」の項目にある通り、にゃあ様が独自に算出している「星空スコア」の掲載には許可は不要です。
・ また、同ページの「「気象庁の数値予報モデルの格子点値(GPV)を提供、表示したい・・・」の項にある通り、Open-Meteoから出力された雲量、風向風速、気温などをそのまま(にゃあ様の知見を加えずに)掲載するのでしたら、予報業務許可は不要です。
(Open-Meteoは気象庁のGPVではないので、少し拡大解釈ですが。)
・ ただし、それらを「予報」と称して表示することはできません。
・ 誤解を生じないよう、出典を明記したうえで、“モデルの出力結果を転記したもので、予報ではない”と注釈されるのが良いと思います。
・ もし、にゃあ様の独自の知見で雲量等を予想して発表するのでしたら、許可が必要です。
なお、気象予報は防災活動や航空機等の安全運航に重要な情報なので、一定の技術的な裏付けが必要です。そのため、気象庁以外の者が行う予報には許可が必要としています。その趣旨をご理解いただくようお願いします。
以上は私の私的な見解です。詳しくは気象庁情報基盤部情報利用推進課にお問い合わせください。
真砂礼宏(まなご のりひろ:気象庁OB、気象予報士)
真砂さま、追加の詳細の情報をいただきまして、ありがとうございます。いろいろ疑問に思っていたことがありましたので、情報利用推進課に念のため問い合わせをいたしました。大変、ていねいなお答えをいただき、腑に落ちましたので、ご迷惑をおかけすることはないと判断して、再公開をしようと思います。至らない点が多々あるところ、前向きなアドバイスをいただいたことで改善できます。大変感謝しております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
お手数をおかけしましたが、予報許可の対象外であることを確認いただいこと、安心しました。再公開された後は私も活用させていただきます。
こちらこそお手数をおかけいたしました。さきほど公開いたしました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。