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「眼視寄りの電視」あるいは「電視寄りの眼視」

クローズアップレンズのNiSi 77mmを転用した望遠鏡を組んでみた。まずは眼視バージョンから。ちなみにファインダーはNANO1を転用した電子式だよ。

民家の屋根の上に位置していたアンタレスは、目では見えなかったけれど、NANO1を通して見つけることができて、アイピース(20mm)に導入もできた。うん、赤い。天体の位置が分かっていれば、メシエくらいなら導入はできそうだ(NANO1で記念写真も撮っておいた。写真が残せるファインダーなんだよ)。

やっぱり眼視はいいな。東京の空なので、もちろん限界はある。でも意外にたくさんの星が見えるんだよ。写真で撮った東京の空の星々は、しおれた花のようにいつも元気がないんだが、眼視だと針で突いたような、赤や白や青の光がキラキラと輝いているんだ。見掛け視界の広いアイピースが欲しくなるよ。

私自身は、眼視の経験は浅いというか、ほとんど眼視で観望しないんだけれどさ、さすがEDレンズというのか、収差もそれほどきにならず、すっきり見えて満足した。レデューサーへの転用といい、クローズアップレンズすげぇな。

自分の目で星を見るという体験は電視に代えがたい。でも、実際はアイピースを覗き続けるのがつらいというのがあるし、記憶に残せても記録に残すことができない。このあたりは電視に軍配があがる。

で、このあと、望遠鏡を防犯カメラを使ったバリアントに組み替えてみた。IMX385の小センサーということもあって、眼視のときよりも星が拡大されてディスプレイに映る。眺めていても疲れないし、眼視よりもはっきりと星が見えるというのがいい。星はきらめいているし、SharpCapに映し出す電視よりも眼視に近い体験ができる。でも、ディスプレイに映し出される星々は、眼視のそれに比べると、鮮烈な見え方はしない。

少し前から「眼視の体験と電視の便利を兼ね備えた鏡筒を組めないんだろうか」という問題意識が湧いてきていたので、今回の構成で試してみたというわけなんだ。「天体写真に寄った電視観望」というコンセプトがあるのだから、「眼視寄りの電視」というのか、「電視寄りの眼視」のようなものを実現できないだろうか、と妄想しているんだよ。

要件は、(1)一本の鏡筒で眼視と電視が切り替えられること、あるいは同時に観望できること、(2)観望した記録が映像で残せること、の2つだろうか。天体導入はNANO1があれば用が足りそうなので、自動導入にはこだわらない。まぁ、できるにこしたことはない。

そんなに難しい話ではなさそうなんだが、ファイナルアンサーにはたどり着いてない。考えてみる。小出しにするような案件ではないのだが……。

この記事へのコメント

  1. Cマウントズームレンズ+高感度監視カメラの組み合わせは”PCいらずの眼視寄り電視”(ラズパイ付けてフルリモートできるようにもしてありますが)として使っています。

    ビデオや一部のコンデジにある電子ビューファインダー+モニターとかできると更に臨場感でそうですね。(これにレコーダーが加わればまんま業務用ビデオ撮影環境です)

    スプリッターとか使用すれば映像信号はいくつでも分岐できるのでいろいろなシステム展開ができそうです。

    • T-StudioさんのBlackMagicのレコーダーいいなと思って見ていましたが、ちょっと手がでなかったです。録画機能としては、カメラテスターは手頃でよいですよね。

      T-Studioさんのシステムを「眼視寄りの電視」と呼ぶとしたら、目で星を見る「電視寄りの眼視」をやってみたいと思っています。週末には何か形にできればよいのですが。

  2. >眼視だと針で突いたような~
    それ、よくわかるよ。^^
    まさに星が発した光を直接見ている感覚だよね。
    それが眼視の大きな醍醐味だと思う。

    • 眼視の素晴らしさと限界を知って、天体写真や電視観望をするのと、知らずにそれに取り組むのとでは、デジタルのありがたみとその限界の認識が全然違ってくるような気がします。

  3. 夏の夜空は、アルビレオ二重星とか視野一杯の天の川の星屑とか、眼視で楽しい対象もイッパイですね!

    昔、覗き始めた頃、
    「恒星は全くの点だョ。どれだけ拡大しても点にしか見えないョ。」
    と言われて、意味が分かりませんでした・・・
    大きさの無い点からどうやって明るい光がやって来るんだろう?明るさの違いって、何なんだろう?
    爾来、星は未だに理解を超えた存在になってます。

    • 視野一杯の天の川の星屑を写真ではなくて、この目でじっくり見てみたいです。双眼鏡を使ってみることもあるのですが、せいぜい30秒くらいしか首を上げてられません。しかも、ぶれぶれだし、防振双眼鏡は高いし。

      星は、言われてみれば、確かに点にしか見えないですよね。それでも倍率を上げたいと思うのは、面で見える惑星とか散開星団とか、限られた星雲や銀河を見るためということですかね。そりゃ、観察できる対象も限られるわけで、眼視が飽きられやすい理由の一つかもですね。

      ロウソクの光は1キロ離れた場所から見えるんでしょうか。頑張れば見えそうな気もしますが、同じ見るなら、星の光の方がいいなぁ。なんでだろう…

    • >明るさの違いって、何なんだろう?
      そういう疑問や想像力、それを支えるちょっとした知識が、観測を魅力的にしていると思ってる。
      それら何もない状態でアルビレオを見ても、『確かに2つの星が見えた。』だけで終わってしまうと思うんだよね。

      ※ 外野から失礼

  4. 始めまして、こちらのフォーラムはご存じでしょうか?
    https://www.cloudynights.com/topic/820165-astrowl-project-highly-portable-eea/
    「電視寄りの眼視」に非常によく似たコンセプトで、希望者にはプロトタイプの販売を行っているようです(日本に送ってもらえるかは、わかりませんが…)

    • Marchさん、ありがとうございます。初めて知りました! 
      いわゆる電視観望のスタッキングがPCレスでできるというのが素敵ですね。できるだけシンプルにというコンセプトにも好感が持てました。多くのユーザーさんが抱えている課題って同じなんですね。こっち方向に業界の需要はあるかもです。
      IMX462のカメラモジュールがラズパイに出ているようなので、ボードはラズパイでしょうか。私は貢献できませんが、ソフトウエア開発ができるエンジニアさんが受け取って開発に参加されると良いですね!

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