いまクローズドテスト中のNier Voiceは、それなり紆余曲折があって苦労をしたので、その苦労を開発記録として残しておくことにするよ。よかったら、テスターになってくれると嬉しい。

スマホとかパソコンで長文を書くの、地味にしんどくない?ってのが話の発端。仕事のメールの作成とか、社内文書とか、このブログとか(笑)頭の中には書きたいこと、書くべきことが渦巻いてるのに、いざPCに向かうと指が動かないんだな。特に仕事…。
スマホとかパソコンにも音声入力があるんだけど、言い間違いも「あー」とか「えーっと」とかそのまま出てきて、後で直すのが結局めんどくさいわけですよ。スマホで長文書くとか論外だし。
どうにかならんものかと考えていたところ、Aqua VoiceとかTypelessとかいう、音声入力アプリ、あるいはディクテーションアプリを知ったので使ってみた。音声入力は、タイピングの4倍のスピードで書けるらしいんだ。けれど、使い込むと月8ドルとか12ドルの有料だし、使い勝手がちょっと自分のイメージしているものと違ってた。うーん。
ということもあって、自分で作ることを思い立ったの。2026年3月3日のこと。意外と開発に時間かけてるでしょ?
で、自分で作るとなったわけだけど、最初からスマホアプリだったたわけじゃない。ちょっと回り道の話をするにゃんよ。
実は最初、デスクトップ版を作ってたんだ

幻のmacOS版「Nier Voice 0.1.0」。”DirectType”でどのアプリにも直接打ち込む構成だった。ローカルのgemma(Ollama)で整文。文体ボタン(ですます/である/だよ)は、実は今のAndroid版にそのまま受け継がれている。
最初はMac用のデスクトップアプリとして作り始めたんだ。自宅のPCにWhisper(音声認識)をGPUで回すサーバーを立てて、Ollamaで整文して、グローバルショートカットでどのアプリにも直接打ち込む――っていう、わりと本気の構成。全部ローカルで完結。クラウドに音声を投げないし、API代もかからない!理想だったはずだったんだけど、これが地獄だったんだにゃ。
Mac OSは、「他のアプリの入力欄にテキストを差し込む」ことをめちゃくちゃ嫌がるんだ。Mac OSのIMEと干渉するわ、貼り付けが無言で失敗するわ、フォーカスを奪い合うわ……。当時のコミット履歴を見返すと、その試行錯誤の跡だらけ。そのうちデグレとかしはじめてキィ~~~~!
ローカルAIにこだわってたんだけど…
精度の壁もあった。WhisperとOllamaを1枚のGPUで同時に回すと、VRAMが足りない。仕方なく両方を小さいモデルに落としたら、今度は精度がガクッと落ちた。日本語の聞き取りも、整文の自然さも、いまいち。コミットログに「OOM(Out of Memory)防止でWhisperをsmallに降格」って残ってて、当時の諦めがにじんでる。
で、試しにGeminiに音声をそのまま投げてみたら、精度が段違いだったんだ。Geminiシリーズはマルチモーダルなので、Whisperみたいな音声の文字変換が不要。文字起こしも整文も1発で、しかも自然。ローカルで2段構えして苦労してたのは何だったんだ、と。
普段は「自分の手元で完結させたい」派なんだけど、この用途に関してはクラウドのモデルに軍配が上がったってわけなんだ。
GeminiのAPIは、ふだんから写真のタグ付けだとか、日記やノートのベクトル化とかの用途で使い倒しているので、もともとAPIの課金もしているんだが、それでも月額1000円に届かない程度。なので、APIキーを自分で用意する形(BYOK)にした。落としどころとしては、これがいちばんいいと思う(ちなみに本日現在、いろいろ込みで過去28日分の利用料金は360円)。
そして気づいた。スマホのほうが、楽だった
しばらく地獄のデスクトップOS用の開発(Mac&Win)で消耗してたある日、ふとスマホでやってみたら、こっちのほうが圧倒的に楽だということに気づいたんだ。スマホに喋って、整文して、共有ボタンでPCにポイっと投げる。
しゃべってる間、ずっとパソコンの画面を見てるのは実は不自由で、開発的にもスマホだけにすれば楽ちんだったんだにゃ。そこから、デスクトップOS向けの開発をやめて、Androidの開発だけにした。
え、iOS? これね、Appleさんのポリシーで、IME(入力アプリ)に触らせてくれないんですよ。iOSに使いやすい、入力アプリがないのはそのため。だから、IMEとしては開発するのをあきらめた。IMEじゃない録音アプリ形式でAppleのストアに出すことも考えたんだけど、それだと使い勝手がそう改善するわけではないし、年間1万5000円くらいのアップル税がかかるのでやめた。
そういう経緯があって、いまのandroid版Nier Voiceは、IMEとしても音声入力ができるし、単独の録音アプリとしても機能する。特に後者は、クリップボードに文字列をコピーして、連携しているPCに直送できちゃうのが気に入ってる。
私は Macユーザーでもあって、ユニバーサルクリップボードは普通に愛用してる。iPhoneでコピーしたものが Macにそのまま貼れる、あの魔法みたいな地続き感はやっぱり快適なんだよね。
職場でもあんまり知られてないんだけど、実は、AndroidとWindowsでも、KDE ConnectとかQuick Shareを使えば、魔法とは言わなくても、ワンクリックはさめば、シームレスにクリップボードの中身を転送できちゃう。
つまり、スマホでしゃべった整理されていない言葉が、Nier Voiceで整文され、KDE Connect経由でパソコンに転送すると、長文の下書きがあっという間に完成するんだ。Nier Voiceは、KDE Connectとのコンボで使い勝手が格段によくなる。
仕組みはシンプル
パソコンやスマホでも音声入力はあるんですよ。ポイントは、間に「整文」が挟まること。ただ音声を飛ばすんじゃなくて、「えーと」とかの言い直しも消えて、読める文章になった状態でPCに届く。だから貼った瞬間そのまま使える。ここが普通の音声入力との違い。ぜひ試してほしいと思うんだ(海外のお客さんとやりとりするユーザーさんは英文翻訳もぜひ試してほしい)。
スマホで話す(Nier Voice)
→ AIが整文(話し言葉 → 書き言葉)
→ 共有メニューから KDE Connect へ
→ PCにテキストが降ってくる
セットアップ(KDE Connect)
ただ、正直に言うと、KDE Connect はスマホとPCの両方にインストールが要るので、ここはひと手間かかっちゃう。でも一度繋いでしまえば、あとはずっと繋ぎっぱなしで使える。がんばるのだ。
- PC(Windows / Linux / Mac)に KDE Connect を入れる
- スマホ(Android)にも KDE Connect を入れる
- 同じWi-Fiで開いて、お互いをペアリング
使い方
- スマホで Nier Voice のクイック録音を起動して、しゃべる
- 録音を止めると、整文されたテキストで共有メニューが開く
- KDE Connect → 送りたいPC を選ぶ
- PC側に通知が来て、テキストが届く(クリップボードに入る)
あとはPCで Ctrl+Vするだけ。声で書いた長文が、整った状態でエディタに落ちる。気持ちいいにゃ。
ちょっと正直な話(代替手段)
「KDE Connect入れるの面倒だな」って人向けに、別の選択肢も書いておくよ。常用してるわけじゃないので、怪しかったらごめんなのにゃ。
- Quick Share:スマホ側は標準搭載で楽。ただしPC側はアプリが必要で、テキストはファイル化されることがある。ファイルを送るなら最強だけど、テキストを流す今回の用途だと少しクセがあるかも。
- Windowsのスマホ連携(Phone Link):対応機種(Samsung等)ならクロスデバイスのコピペができて、一番「ユニバーサルクリップボード」っぽい。
結論、テキストを繰り返し流すなら KDE Connect が一番快適(だと思う)。Win/Linux/Mac全部で使えるのも個人的にありがたい。
ちなみにAndroidはOSの仕様で、アプリがバックグラウンドからクリップボードを読めない。だから、共有メニューから明示的に送る方が確実。自動でまかせるより、転送先が確実に指定できるので、そのほうがいいかも説ある。
Androidの稼働が、上がった
面白いのが、KDE Connect を入れてから、自分の Androidの稼働が上がったこと。それまでは「撮影アプリを動かす機械」くらいの扱いだったのが、PCと地続きになった途端、「声で長文を書くための入り口」として自然に手が伸びるようになった。ユニバーサルクリップボードが Apple 同士をくっつけてくれるみたいに、KDE Connect が Androidを自分の作業の輪に入れてくれた、って感じ。
おわりに
「声で書いて、PCで仕上げる」。Appleじゃなくても、Android+自分のPCで普通にできる。しかも整文付きで。回り道してデスクトップ版で苦労したけど、たどり着いたのはずいぶんシンプルな形だったというわけです。そのうちOSの標準機能になりそうな気はするけどね。
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Nier Voiceはいまクローズドテスト中で、参加すれば無料で使えるにゃ(Android・無料枠のあるGeminiAPIキーが必要)。よかったら一緒に育ててほしいにゃ。

この記事へのコメント
お久し振りです。
三日間ほど出かけていたのですが、帰宅後にブログを見たら面白そうな事をやっていたので早速テスターになりました。
【文体:にゃあ】を使ってみたら、思わず笑ってしまいました。このような遊び心のある機能は大歓迎です!
あぶさんさん、テスター参加ありがとうございます!
自分にしか需要がないかと思っていましたが、喜んでいただけて何よりです。
何かお気づきのことがあれば、おっしゃってください~
【文体:にゃあ】に設定してにゃあ語で話したら「にゃにゃ」になるかと思ったら、「にゃ」は1つだけだった。
夜中に一人で文末に「にゃ」を付けてスマホに話しかけているオヤジですが、嫁さんから見られたら困ってしまうにゃ・・・。
あぶさんさん、それはなかなかのスリルを味わっているにゃ…!
奥様から見たら確かにフリーズ案件にゃんけど、ここだけの秘密にしておくから安心してにゃ。