スポンサーリンク

無改造 α99で散光星雲は撮影できるのか?(その3)

夜露に悩まされたものの、久しぶりに遠征したという気分になる星空でした。この日のタスクのひとつは、懸案となっていたα99で赤外線域が撮れるかどうかを試してみることでした。
まず前回のエントリーで、RAWでピント拡大しようとしたところ、JPGでないと拡大できませんと言われたということを書きました。
alart.jpg
いったんJPGでピント合わせて、それからRAWモードにしなければならないのかと思いましたが、これは「スマートテレコンバーター」というクロッピング機能で、ピントの拡大を趣旨とした機能ではありませんでした。
a99.jpg
それから調べてみたら、デフォルトのボタンアサインを変更することでピント拡大ができるということが分かりました。よく調べず、出来ない子のように言ってしまってスミマセン。
さて、赤経赤緯ともモーターにしたAP赤道儀にフィールドデビューしてもらうことにしました。1枚3分で露出するつもりだったので、オートガイドが必要だったためです。ガイドはQHY5-III 174M / PHD2。PHD2は、GPD WINで走らせます。レンズはSONY 75-300F4.5-5.6(SAL75300:Aマウント・フルサイズ用)で、200mmでピント合わせ。
a99_ap.jpg
極軸はポーラーメーターでとりました。あとはガイドまかせ。月の光で影ができるくらい明るかったです。ISO3200で1枚3分20枚を撮影します。導入した天体は北アメリカ星雲(NGC7000)です。だって、一番導入しやすいから……。
タイマレリーズを接続して撮影にかかります。このタイマレリーズ、電源のオンオフができないので、電池がいれっぱなしだったのですが、いつ最後に使ったか覚えてないくらい(1年ぶりくらい?)なのにまだ使えました(笑)

一眼レフって、かっしゃん、かっしゃん音がするんですね。当たり前だけど、忘れてた(笑)撮影終了後、ダークとフラットも撮っておきます。ダークの撮影は問題ありませんでした。フラットは自作の木桶ミルク型フラットジェネレータを使用しました。
フラットジェネレーターのプロトタイプが出来たよ
http://tentaip.seesaa.net/article/453203856.html
ステライメージ8の「自動処理モード」で読み込みます。DSLRだと、このモードは楽ちんですね。ライトフレーム、ダークを読み込ませてボタンを押すだけで、コンポジットしてくれます。ほったらかしでOK。
フラットフレームは、使いませんでした。というのも、フラットの撮影中、液晶に写ったホコリ?の位置が、シャッターの衝撃のせいで動いていったからです(汗)。ミラーもレンズも撮影前にキレイにしておきましょうという教訓ですね(よく見たらライトフレームでもホコリが踊ってた)。(追記:ミラーの汚れは撮影されないはずなので、どこのホコリだったんだろう?)
で、そこから画像処理が始まります。私の腕では、撮影ができていなかったのかあぶり出しが下手なのか、原因は定かでありませんが、結果として、赤外線域を美しく表現することはできませんでした。
a99_ngc7000.jpg
確かに、北アメリカ星雲の形は浮かんでいるんです。だから、まったく感度がないわけではないのでしょうが、相当苦労しないと浮かび上がってきませんでした。フラットを当ててないせいもあって、周辺減光が激しく、見せものになりません。フラットをあてても修正できる気がしない……。また、レンズのせいで星に青ハロが出ていました。
a99_ngc7000_composit.jpg
↑コンポジット後の画像
a99_ngc7000_full.jpg
↑がんばって大阪のオバチャンをあぶり出してみた画像
一晩試してみた結論としては、無改造のα99は赤外線域を写すのには向いてないと思いました。もっとも天体写真歴2年に満たない若輩者の私ですので、ほかのチャレンジャーの方がいい写真を撮られるかもしれません。少なくとも、私は星野写真を撮るためにこのボディを使うことはないと思います。
成果がなかったわけではありません。L字ブラケットを使って、一眼レフとカメラレンズでオートガイドができたということは、私自身に撮影のバリエーションが増えました。しかもGPD WIN&PHD2の組み合わせでしたので、軽量撮影のノウハウが一つたまりました。
# α99の名誉のために、すでに紹介済みですが、こんな写真を撮られる方もいらっしゃいます。
https://community.sony.co.uk/t5/alpha-nex-interchangeable-lens-cameras/sony-alpha-slt-for-astrophotography/td-p/268020
以上、実験の報告でございました!

この記事へのコメント

  1. 海外の方の作例を見ても、大マゼラン雲の中の星形成領域が見えなかったり、η-カリーナの写りがイマイチなところからすると、無改造だとHα線付近はほとんどカットされていそうですね。
    せっかくフォーマットが大きいので、星景写真や大型の散開星団の撮影に使うのが良さそうです。
    それにしても、このL字ブラケットを利用したガイドシステム、なかなか格好いいですね。機会があったら真似してみようかな……。

  2. HIROPONさん、今回、現場でPHD2でガイドするにあたって、HIROPONさんのサイトの解説と翻訳を参考にさせていただきました。助かりました。ありがとうございました! 自分で言うのもなんですが、L字ブラケットいいでしょう? α99はホットシューが特殊な形状をしているのでちょっと工夫が必要だったんですよ(一応アダプタはあります)。オートガイダー 兼 電子ファインダーとしても使えるように試行錯誤してみます ☆彡

  3. たしかにHα領域の感度は低いのかも知れませんね。
    でも恒星などは良い感じに写ってますね。
    スバルとか球状星団とか大きめの銀河などで活躍しそう♪
    ぜひ色々チャレンジしてみてください。

  4. あぷらなーとさん、α99に温かい励ましのお言葉をいただき、ありがとうございます。落ち込んでいたα99も気を取り直して喜んでいました。手持ちのレンズは広角側が中心なので、広角で活用していこうと思います。そのうちPRO SOFTONが火を噴きますよ!(意味不明)

  5. 色々、お持ちですね。大阪のおばちゃんには、出張中、電車の中で頭ボリボリしてたら、飴ちゃんお食べっていただいてからおばちゃんの定義が変わりました。(笑)
    広角を、夜空に向ける余裕が欲しいです。お手本をお願いします。
    一眼も3台有りますが、ついつい、嫌いなのでスマホでパチッ!。(笑)

  6. 軽量なオートガイドが出来たんですね、いいなぁ…

  7. オヤジさん、ひさしぶりに一眼レフを夜に引っ張り出してきましたよ。何かと望遠で狙いたくなる夜空ですが、広角もよさげです。初心に戻った気になりました。

  8. けむけむさん、オートガイドは、基本けむけむさんの真似っこですよー。激安cマウントとqhyカメラの電子ファインダーをphd2につないだだけなので(^_^)ノ

  9. AP赤道儀って自動導入ではないですよね。よくNGC7000導入出来たと感心します。自分がポタ赤とカメラレンズの300mmでM31を始めて撮った時は写角内にいれることが出来ず、お隣の方に入れて貰ったことがあります。いやあ、今でも極々一部を除いて自動導入無しには対象を捉えることは出来ないですね(汗)

  10. Gさん、私が導入できるのはデネブの大阪のオバチャンとサドルのシャチホコくらいで、ほかは自動導入がないと厳しいです。こうやって誉めていただくと、また別の天体を導入できるようになりたいと欲が出てきます(笑)

タイトルとURLをコピーしました