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光害に強いコンパクト望遠鏡を組んでみた

東京の空に最適化した望遠鏡(仮)」のパーツが届いたので組み上げてみた。「望遠鏡を作る」という言葉より「望遠鏡を組む」という言葉の方が適切だな。ちょうど自作PCみたいな感覚だろうかね。作るわけじゃないんだ。組むんだよ。だから、にゃあさんにでもできるんだ。パーツの到着を待ちながら、ゴニョゴニョやって一応の完成をみた。口径62mm、焦点距離230mm、F4.4のアクロマート鏡筒。名前はまだない。

全体感

長さ24cm、重さは762g。光学系は前述のとおり、口径62mm、焦点距離230mm、F4.4のアクロマート。キーコンセプトは3つあった。(1)ベランダでも使える小さくて取り回しがよい大きさ(2)焦点距離をクロップ効果で稼ぐため小型センサーカメラを使う(3)強烈に明るい空を撮るための光害カットフィルターが必須――。あとお安くだな。

これにならって組んでみたけど、そのとおりになってるかしら。

まずはサブマシンガンのドラムマガジンのようなパーツが目につくよね。これはほかでもないフィルターホイール。それから対物レンズ。大きいでしょ? 口径が当社比なんと約25%の増量なのだ。ケンコーのクローズアップレンズ(50mm)でいいやと思っていたけど新調したんだよ。

接眼部は直進ヘリコイドを採用したよ。全体的にBORG比率はかなり落とせたと思う。順にみていくよ。

接眼部兼フォーカス部はSVBONY

まずは接眼部兼フォーカス部。BORGのヘリコイドやクレイフォードを導入すると3万円〜4万円の価格帯になってしまう。さらに買い進める予算がないので、「みんな大好き」じゃなくて「みんな様子見」のSVBONYの直進ヘリコイドにした。お値段4050円。Aliexpressで調達しても価格差は500円くらいだったので、Amazonで調達した。

31.7mmのノーズを直接差し込めるので、小型センサーカメラにはちょうど良いはず。摺動距離は1cmあるのかしら。動かしてみると、スムースに回るところと、ゴリゴリした手応えのあるところがある。個体差かもしれないけれど、作りとしてはまだまだな印象。バンドを緩めているうちは摺動するのに、バンドを締めると摺動しなくなる現象があるので、正直、おすすめしない。代替品を物色中。

前回、Astro Nierを組んだときはノリで4万円くらいのクレイフォードを奢ったんだけれど、その1/10の価格で接眼・フォーカスが実現したことになるね。実はAliexpressでSVBONYのラックアンドピニオンを4000円くらいで見つけたけれど、見なかったことにする。興味のある人はどうぞ人柱になってください。

延長筒まわりは要再調整

延長筒に関しては、カメラde遊ingさんとあぷらなーとさんのオススメ「Pixco マクロエクステンションチューブ」(839円)をゲッツ。14mmとか7mmとか細かいステップで延長できるところがGOOD! ただ、今回は配送が間に合わなかったので、延長筒まわりはBORGパーツのみで構成した。実際、あと10mm短くしたい。届き次第、再調整してみる。

ホイール部にはナローフィルターを装着

次にドラムマガジンみたいなフィルターホイール部。あぷらなーとさんの検証を見ても分かるように、アクロマート鏡筒をフォトビジュアル用途で使おうとした場合に青ハロ赤ハロが避けられない。しかし、ナローバンドで運用したときには水爆級の威力を発揮している。

SE120は1本でも実用になる | あぷらなーと
★いきなり ででん!!みんな大好き『網状星雲』ですが、これ、眼視用アクロマート屈折SE120にIDASのNB1フィルタを装着してカラー冷却カメラASI29...

フィルターは5枚装着できるよ。1番から3番まで、それぞれHα、SII、OIIIが装着されているんだ。4番、5番は天体導入用として空きスロットにしておく。気分しだいで、LPS-V4も仲間に入れてみる。稼働実績によっては、電動のEFWに変更してもいいかもだな。

初代のAstro Nierを組んではみたものの、学習用、眼視用途以外で活躍することがほとんどなかったんだ。Hαフィルターをつけると暗いので天体の導入が困難だったという理由もある。なので、今回は空きスロットを作ることで天体の導入を確実にして、スロットを変更することで容易にHαを設定できるようにしてみた。

要はナローの運用を前提としての写真用だよ。そもそも、東京の空で星雲を撮るのはナローバンド一択みたいな状況だしね。

ただ、いつこのホイールを買ったのか記録にない。値段は7000円くらいだったと思う。ホイール自体は7000円かもしれないけれど、実際に装着するフィルターが超高いよね。ナローバンド3枚セットなら5万円はくだらないはず <( ̄□ ̄;)>  今回の見積もりにフィルター類は入れないことにするよ(汗)

62mmの対物レンズは3800円

そして、今回の目玉は対物レンズだよ。望遠鏡を“自作”する場合、ケンコーのクローズアップレンズ以外に選択肢がほとんどなかった。もちろんBORGでも良いのだけれど、お安いレンズでどこまでBORGに迫れるかというのがこのお遊びの楽しいところでもあるから、BORGは除外なんだ。で、BORG以外のレンズを探してみたところ、MORE BLUEさんでTB006というアクロマートレンズを見つけた。写真左がTB006、右奥がACクローズアップレンズ No.5(ともにレンズフードを装着)。

TB006は口径62mm、焦点距離230mm。レンズ取付部はM67のオスになっている(ここに58mmのフィルターが装着できるよ)。この部分は52→67のステップアップリングを使ってアダプター経由でM57延長筒に接続する。図にするとこんな感じ。

レンズの口径は62mmだけれど、セルユニットにレンズを収める都合上、開口部は出荷状態で58mmになっている。さらにステップアップリングをかませたことで、対物レンズ部の口径は52mmになってしまった。もともとF3.7のレンズだけど、ステップアップリングによる絞り効果でF4.4のレンズになった(という理解でよい?)。

レンズ本体のお値段は3800円。クローズアップレンズが1500円そこそこなので、お高く感じるけどミニボーグ50でも1万円する(しかも生産終了品)ことや入手のしやすさを考えれば、妥当だと思う。ついでにメタルフードも買っておいた。

今後どうしよう

あぷらなーとさんがご自分の気に入った望遠鏡に、「逆襲のアクロマート」とか「ギルガメッシュ」とか男気のある命名をされるもんだから、それに対抗しようと私も「真夜中のトキメキ天使」とか「恋はZ・W・O」とか考えてみたけど、さすがにやめた。仮にAstro Nier TB006とでも呼んでおく。

例によって、実写は空が晴れてからだけど、TB006レンズとLPS-V4との組み合わせで色消しができているかはまず確認しなきゃ。スペック的には遠征のサブ機としても使えそうな気がする。コスパの高い望遠鏡になったらいいな。延長筒とか微調整をしながら、レシピとかかった費用はまた別のエントリーで公開するよ。

この記事へのコメント

  1. ANT-6、なんかズゴそうです。
    SVBONYは、安価だけど、ちゃんとしてるって評価できそうなので、そろそろ大好きに昇格させちゃう?くらいの感じです。

    私も今日、ステップアップリングとかでごにょごにょやってました。外出不可天候だし。

    • けむけむさん、ANT-6いいですね。ソビエトっぽい雰囲気です(アントノフを連想した)。SVBONYは、たまたま動きの悪いやつをつかんだんですかね。EOSのクリップフィルターとかちゃんとしてたんで期待していたんですが。こちらもゴリラゲイ雨のような空模様なので、しばらくパーツで遊ぶことにします。

  2. おお、これはまた今までとは別路線のテイストですね。
    まさに実用兵器って感じ。

    テスト撮影結果が楽しみですねぇ。

    ちなみにビームスプリッタ関連でお世話になっているエドモンドオプティクスさんもアクロマート対物レンズを販売してるんだけど、こちらはなんと各エレメントの曲率半径から材質まで全ての設計データが公開されてるので、その気になれば事前に全ての収差評価ができちゃう・・・・けど、すごくお高いので手が出ません。

    • あぷらなーとさん、スコープタウンさんにもアクロマートの取り扱いがあったのですが、焦点距離が長すぎたのと接続の仕方がよく分からなかったので見送りました。エドモンドさんのサイト見てみましたが、コーティングまで選べるんですね。私とは無縁の世界のようです。このお値段なら素直にBROGの107FLを買っちゃいます。

  3. それにしても、にゃあさん、パーツの径・長さ・ネジのピッチとか、頭に入ってないと、出来ませんよね。
    それだけで、ため息が出る程、驚いてます。
    オヤジは、大きなザルに入っているパーツを片っ端からくっ付けてみますが、滅多に2つのパーツが繋がることはないです。(笑)
    実践を楽しみにしてます。

    • オヤジさん、ありがとうございます。でも、実際、よく分かってないのですよ(汗)特にあまったパーツが用途不明でどうしたものかと悩んでます。そのうち理解できるようになるといいのですが。

  4. 吾輩は天体望遠鏡である。名前はAstro Nier TB006(仮)である。
    でもANT-6になるかも・・・^^

    ナローフィルターは高いけど、需要がありそうなので徐々にこなれていくような気がする。
    そうなると今度は”半値幅が・・・”って元の木阿弥なんだけどね。^^;
    フィルターホイールはこのままでいいような気がするけどな。
    電源やpcに繋ぐよりもお手軽感がある。
    何をお手軽にしたいのか?という問題だと思うけど。

    アクロマートの設計セオリーって誰が設計してもほぼ同じになるぐらい成熟していると聞いたことがある。(あくまで伝聞推量)
    それが真ならばクローズアップレンズは、ある意味例外的な使い方の設計なんだと思う。
    なので今回のレンズはc線とf線はクロスしているに、100ゼニーをベット。
    是非検証を!push^^

    MORE BLUEさんを覗いてみたらTB007というのもあるんだね。
    焦点距離が長くなるものの+1500円で62㎜→75㎜は魅力的に思えた。
    が、鏡筒などの他のパーツの値段が上がって、これも元の木阿弥っぽい。
    小さいものクラブ会員としてのプライドもあるだろうし(どこに?^^)。

    • 是空さん、pushされてしまいました。ええ、そのうち撮りますよ。今夜は晴れの予報ですが、空をみているとそんな感じがまったくしませんが(汗)TB007は面白そうなので、006がうまくいけばいずれ試してみたいです。

      • TB007は自分も興味ありますね。
        レデューサ0.85xDGで約300mm、口径75mmだとほぼF4.0と明るめな感じ。
        ↑で上手く補正が出来るならいいかもって思っちゃった(^^;)
        同じ350mmのボーグは60EDですか、EDレンズで高くて手が出ませんね。
        これなら税込み5,225円+送料ですか・・・セール期間終わっても検討の余地がありますね。
        M77のピッチ0.75ってところがパーツ互換のネックかな・・・。

        • カメラde遊ingさん、なかなかいいスペックですよね。お値段も良心的なので、鏡筒を組むにはもってこいのレンズだと思います。延長筒が高いのは、ご紹介いただいた代替品で安くつけることができるとなれば、おすすめですよ。M77になるといきなりステップアップリングを付けるのはもったいないので、ちょっと工夫が必要そうですよね。しかし、3Dプリンタがあったらなんでもできてしまいそうです!

      • ↑でちょこっと触れたけど、NANO1を前提に考えるとTB007はちょっと長いよね。
        まぁ、撮る対象による話だけど。
        実質700㎜ぐらい違うのかな?
        ショートレンジ(ミドル?)はANT-6+NANO1、ロングレンジはANT-7+NANO1という使い分けか?
        おぉ?買う理由が整ってしまったか。^^

        • 是空さん、NANO1はおまけ程度に考えていますよ。木星の衛星を捉えるのも難しいくらいの感度なので、DSOはあまり期待していません。それでもM42は撮ってみたいですが。どっちにしてもANT-7は興味ありますね。まずは6で遊んでみて、飽きてきたら7も試してみます!

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