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ステラLiteシリーズになんだかモヤモヤしている。

ステラLiteシリーズは、本当に入門者が買うべき商品なんだろうか? 前のエントリーは言葉を選んだつもりだったんだが、モヤモヤしているので吐ききってしまう。個人的な意見としてだが、正直、あまりおすすめできない。中途半端にしか使えないソフトウエアにお金を出すくらいなら、無料版の他社ソフトウエアを使うか最初からステラの通常版を買ったほうがいいというのが主な理由。アストロアーツさんのプロダクトは高く評価しているけれど、このLite版に関しては微妙だというニュアンスで受け取ってほしい。

Lite版の値段を従来の値段の1/3におさえたという意味では、入門者向けの間口は広い。ただ、このLite版が訴求できるのは「天体写真を自分の趣味にできるのだろうか?」と悩んでいる層のように思える。イメージとしては、持っているとしても赤道儀はポラリエのようなポタ赤で、自動導入はしたことがなく、オートガイドやCMOSカメラを持っていない人たち。

そういう人たちには、DSSとかGimpとかStellariumとかSharpCapとか、いくらでも無料で使えるソフトがあるのでそれをおすすめしたい。けれど、英語に苦手意識があるとか、日本製がいいとか、アストロアーツさんは定評があるからとか、といった理由でLite版を買うこともあると思う。そういうユーザーさんは、Lite版でも間に合うと言えば間に合うとは思う。

しかし、そんな状態から一歩進んで、「天体写真を趣味にしてステラLiteシリーズを長く使っていくぞ」と思って赤道儀を買っちゃったあたりから、Lite版は途端に使い物にならなくなるんじゃないかというのが私の懸念。Lite版はたしかに間口は広いけれど、奥行きが狭いんだ。

「天体写真を自分の趣味にできるのだろうか?」と悩んでいるユーザーさんには、Lite版じゃなくて海外の無料ソフトをおすすめするし、「天体写真を趣味にする」と決めたユーザーさんは、Lite版を飛ばして通常版を買うか、引き続き海外の無料ソフトを使い続けたほうがいい。うかつにLite版に手を出すと、安物買いの銭失いになりかねない。その出費が気にならないなら、それはそれでOK、一つの選択肢だと思うし、価格を1/3に抑えたのもそのためだろうし、そこを狙っているんだと思う。

ついでにいうと、Lite版から通常版へのアップグレードするきっかけづくりにもモヤモヤがある。

近年のウェブサービスだとかアプリを見渡してみると、スタンダードやライト版でも普通に使えるけれど、あれば便利な機能に気づいてもらって、より豊かなユーザー体験ができるプレミアム版を購入してもらうというアプローチが多い印象。

HD画質でもコンテンツは楽しめるけれど、4Kが見たければプレミアムにしてね(Netflix)とか、無料なら端末2台でデータを同期できるけれど、それ以上の同期はプレミアムにしてね(Evernote)といった具合(Evernoteには毒を吐きたいことがいろいろあるんだが)。

対して、ステラLiteシリーズは、一般的な天体写真趣味に必要不可欠な機能に気づかせて、通常版を購入してもらうというアプローチに見える。「通常版を買えば、さらに素晴らしい天体撮影体験ができますよ!」ではなくて「一般的な天体撮影体験をするには通常版が必要ですよ」と言っているように聞こえる。手口が「タケノコ剥ぎ」っぽいので好きになれない(下品なたとえでごめんなさい)。

これは私の印象に過ぎないし、「一般的な天体写真体験」というラインをどこに置くかというのは人それぞれの価値観やビジネスの方針によるので、難しい問題だということは理解している。

そうだとしても、赤道儀の自動導入機能が一般的になったいまは、自動導入をサポートするソフトウエアは一般的に不可欠だと思うし(ステラナビゲータに言いたいこと)、高精度な赤道儀がプレミアムな価値を持っているいまは、オートガイドは不可欠だと思う(ステラショットに言いたいことだが、これはいい線行ってると思う)。それから、そういえば、CMOSカメラを使った場合にステラショットで撮像していないと、ステライメージで現像できないという「仕様」はステライメージ9やLite版ではどうなったんだっけ(ステライメージに言いたい)。手元にステライメージ9はあるけど、試すのが面倒なのでやってない(あるいは、やったけど忘れたとか)。

「それは、にゃあさんの要求が高すぎなんじゃない?」という意見は当然あると思う。でも、私が入門者にアドバイスをするとしたら、上のとおり。一言でいうと「天体写真を趣味にするなら、無料ソフトを使うか、Lite版を飛ばして通常版を買った方がいいよ」だ。それはそれでアストロアーツさんの目論見通りなのかもしれないけれど。少なくとも、中級を目指す入門ユーザーさんが買うべき商品でないことは明らかだと思う。

ステラLiteシリーズは、上級者にこそ向いている?
アストロアーツさんが、パソコン天文ソフト「ステラシリーズ」のLite版を発表したよ。題して「ステラLiteシリーズ」で、発売は7月20日。お手軽価格をうたっているだけに、ターゲットは入門者なんだと思うんだけど、入門者にとって買いなのかな? ...

この記事へのコメント

  1. アストロアーツさんが”Lite版は入門者への間口という位置づけ”と考えるなら、Lite版から通常版へは差額でアップグレードできれば一番いいよね。

    ぶっちゃけ、
    『長く天体趣味を続けるということは、Liteの機能ではおさまらない。』
    ということなんだよね。
    裏を返すと、Liteは始めてすぐにやめてしまう人用に等しい。^^;ホントカァ?

    • >Lite版から通常版へは差額でアップグレードできれば一番いいよね
      あぁ、是空さん、それです、それです! それなら納得できます!
      いつのタイミングでもアップグレードできると素敵です。
      アストロアーツさんも、そう考えてくれていると嬉しいです。
      「通常版へのアップグレードはいつでも差額でできます」って書いてあれば、だいぶ印象違います(ワタクシ的には)

      • ※全然関係ない話。^^ヨクアルケド

        今日、都議選の投票日じゃない。都議にかかわらず選挙のポスターを見るのが好きでね。一人ひとりのポスターをじっくりと見るんだ。
        何をじっくり見ているかというと、候補者の瞳に写ってるものを見てる。
        大体四角い照明が瞳のなかでドーンと写ってるんだけど、四角い撮影用の照明と一文字の室内蛍光灯のハーモニーもいとおかし。
        ときどきカメラマンが写ってたり、よくわからんものが写ってたりと色々と面白い。
        今回も照明(レフ版?)の脇に人が写ってるのが一人。外での撮影なので、カメラマンか照明さんだと思う。
        ^^;←人物ポスターウォッチャーなのだ

        • 選挙、行ってきました。残念ながらポスターはみかけなかったのですが、そういう楽しみ方があるんですね。道行く人々は、なんて熱心な有権者なんだろうと感心して是空さんを見ていると思いますよ。まさか、ウォッチャーだとは! (*_*)

  2. >「天体写真を趣味にするなら、無料ソフトを使うか、Lite版を飛ばして通常版を買った方がいいよ」
    まさに正論

    • そう考えると、APTって2,500円で買えて、気に入ったら年間800円で更新できるってすごくリーズナブルなソフトですよね。N.I.N.Aも使ってないけど、APT並みの機能が無料だってのはすごい時代だなと改めて思います。

      • Liteシリーズだとステラショットのみ非常に興味があります。

        星図アプリ+自動導入+PlateSolving(あれ?フォーカサーはどうなんでしょう)をまとめて一つのアプリで制御できて、サポートを一箇所でまとめることができる環境ってWindowsだとTheSkyX+エクステンションかアストロアーツのステラショットしかなかったと思います。

        この価格で多くの機器の制御と連動が実現できる(サポートも受けられる)のはとてもありがたいことです。(星図アプリまでセットになった制御環境はとても少ないです)

        天体導入部分のベースがすべて網羅されているので電視ならライブスタッキングアプリ追加すればすぐに使えそうですし、写真ならPHD2追加すれば不足する部分を全て補えそう。

        複数機器の制御が1つのアプリで済むので(サポートも)アプリの組み合わせや謎の動作不良に苦しめられる要素がかなり減りそうです。

        他のシリーズは微妙(笑)

        • ステラショットはもとのお値段が高いだけに、私も気になっていました。フォーカサーとかホイールとかの機能はなかったように思います。くらべてみると統合環境の機能としてはKstars/Ekosがすぐれていますよね。UIが難しそうですけど。ステラショットとPHD2って連携できるのですか?それならちょっとおもしろそう。私は予定ないですが、T-Studioさんは買われます?

          • にゃあさん
            PHD2の場合はマウントドライバがPOTHで正常で動くかが鍵になりますね。(それさえ出来れば使えるはずです。)

            電視観望の場合はSharpCapなどではライブスタッキングのみ使用します。(ASCOMで連動をさせないで使用します)

            COM(シリアル)の場合、アプリ間の連動要素があると不安定になったり動かなかったりということが多いので、必要とする連動要素が一つのアプリで集約される環境はとてもありがたいです。(メーカーならサポートもありますし)

            お試し版があって私の所有する機器の動作が問題なければ購入するかも(一応以前WindowsでもリモートEAA環境作ってあるので制御部分だけ置き換え)

            PlateSolvingの速度もどのくらいか興味あります。

            • あ、電視観望で使うにしてもカメラドライバも連動が必要になりますね。。

              それぞれのアプリでドライバ繋ぎっぱなしで使用できればWindowsの電視観望環境の決定版になりそうなんですが。。。(試してみないとわからないです)

              • たしかに、ほかのアプリと連携した使い方というのはありそうな気がしますね。統合環境の利点は失われてしまいそうな感じはしますが、ステラショットのUIはよくできているので、後ろで処理させるぶんには気にならないかもですね。しかし、なんだか、やっぱりLite版は上級者向けな気がしてきましたよ(笑)

                • 現状では天体機器の制御自体がそもそも上級向けですよ(笑)
                  (複数機器の連携となるとなおさら。。。。。)

                  • 機器の制御のなかでも、特に入力するパラメータの多さにびっくりしてしまいます!

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