「品質そこそこで生産ガバガバ時代の到来」とも言われるAI絵師の登場で、だれでも簡単に、自分が欲しいイラストや写真を手に入れることができるようになってきているよね。自分の欲しい絵は手に入るかな。前回に続き、AI絵師さんの「DALL・E2」を相手に試行錯誤してみた。
完成形のイメージを言葉で伝える
イラストレーターさんが廃業に追い込まれることはないと思うけれど、相手が人間イラストレーターさんであれ、AIであれ、イラストを発注する側には、自分が欲しいイラストの詳細なイメージを伝える技術は大事だよね。
AIにしてもイラストレーターさんにしても、画風や絵のスタイル、アングル、服飾の特徴などを言語化して伝えないと、どんな絵を納品したらいいか、彼らは困っちゃう。自分が欲しいものをイメージして具体的に「言葉で伝える」。これ大事。
最近話題のAI絵師さんは、Mid JournyとDALL・Eがメジャーどころ。いずれも「プロンプト(Prompt)」という、どんな絵を描いてほしいかを伝える文字列を入力する必要があるんだ。プログラミングのような特別な文法を学ぶ必要はなくて、自然な言葉で表現したらいいだけ。やることは、ほとんどそれだけ(英語だけど)。
AI絵師さんの個性の違い
Mid JournyとDALL・Eも、それぞれ出力する絵に特徴があるので、発注側の好みでどちらかを選べばいいと思う。今後、学習するデータによって、それぞれ特徴はさらに変わっていくと思うんだが、私個人の印象では、Mid Journyは幻想的なイラスト表現が得意そうで、DALL・Eは、写実的な表現が向いてそうな気がする。Promptは、ほぼ共通で機能するので、使い分けは意識しなくて良さそうだよ。個性の違いは、このあたりの動画を見てみるといいかも。
今回は、前回に引き続いてAI絵師さんのDALL・Eに「宇宙猫」を描かせるよ。参考のために、Promptの説明もしていくよ。
「宇宙猫」を描いてもらう
私が欲しいのは、「宇宙服とヘルメットをかぶった目が青い猫のドアップポートレートで、イラストというよりは、映画やドラマのような写実的」な表現。「背景は明るい感じよりは暗い感じのSF映画に出てくるクールな雰囲気」がいいな。
と、上のような要求が固まるまで、かなりの試行錯誤を要した。プロンプトを変えながら、自分のイメージに近づけて行き、トータルで200枚を出力させて、そのなかからお気に入りを選ぶという感じだった。1回につき4枚を出力するので、50回はプロンプトを変えているってことになるな。まさにガバガバ。そのなかからお気に入りを選んでいくという形。
これだけの画像の数を人間のイラストレーターさんにお願いしたら納期は3ヶ月で済むかどうか分からないし、新人のイラストレーターさんでも費用は100万円をくだらないと思う。AIイラストレーターさんなら、15ドルで115回x4枚=460枚を描いてくれる。1ドル150円として、2250円÷460枚だと、1枚あたりの単価は5円くらい?
確かに単価は安いんだが、結局、数百枚の絵なかに気に入った絵があるかどうか福袋状態なので、その1枚を得るのに数千円を課金する羽目になるかもしれない。
お気に入りが何枚か出てきたのでそのうち3つをプロンプトとともに紹介するよ。
作例1 まずはシンプルに
絵のタイプは肖像画(portrait)を指定。ネコの種類を指定しないと、ペルシャやらシャムやらいろんな種類のネコがランダムに出てきたので、トラ猫(Tiger cat)を指定してみた。スコティッシュが良かったかな….。最初、suitのスペルを間違ってsuiteにしてしまったんだが、このスペルミスは吸収してくれた。
portrait は何の画材で描画するか指定もできる。油絵が良ければ「oil paint portrait」って指定すればいい。上の画像のように、指定しなかったら写真っぽくなるのかな? 「curious eyes」を指定したことで黒目が大きくなっているような気がする。
作例2 目の色を指定してみる
青い目が欲しかったので、明示的に「curious blue eyes」と入れてみた。イメージ通りだ。だけど「with a smile」が無視されてるよ。微笑んでないじゃん。
作例2 ネコは微笑むのか
画風をクリスチャン・ラッセン風にしたかったんだけど、それっぽい感じがしないよね? 「青」に指定した目の色は、カラコン入れたみたいになってる。これも表現といえば表現。「with a smile」を入れているのに、ぜんぜん笑顔になろうとしないな。
どうしても笑顔にしたかったので、何度も絵を吐かせているうちに、ようやく笑ってくれた。ベロを出して笑っている風にしてくれたり、鼻の下「ω」の部分を少し上げることで表現しているみたい。かわいらしいけど、人工的な感じもするね。だって、現実世界でネコは笑わないし。それから、青い目だと言っているのに、忘れることもあるみたい。いや、しょっちゅう無視されるな。
「戦場猫」を描いてもらう
宇宙服の「space suit」を戦闘服「battle uniform」にしたらどうかという発想でプロンプトを変えてみた。
作例1 戦場のヒーロー
イメージしたシーンは第二次世界大戦で、葉巻をくわえさせた。単純に「Portrait」にするのではなく、「heroic(英雄的な)」を加えてみる。パルチザンっぽいのがでてきた。
“a close-up, heroic portrait of tiger cats in combat uniform, dramatic, world war II, battle field, smoking cigar”
作例2 武器は表現できないかも
次にライフルを撃っているシーンを要求したのだが、これも無視された。これはDALL・Eのポリシーとして、暴力的な表現や性的な表現は取り扱わないようにしているからかもしれない。背景の爆発や煙は表現されているね。
“a close-up, heroic portrait of tiger cat in combat uniform and helmet, dramatic, world war II, battle field, smoking cigar, shooting rifle,explosions and smoke”
ほかのカットはこんな感じ。catをcatsにしたり、「on the top of a tank」で戦車に乗せてみたり。何度も繰り返してみたんだが、どうも本物の戦車の写真は学習していないように思えた。
「貴族猫」を描いてもらう
面白くなってきたので、「高貴なネコには貴族の服装」が似合うと思い出力させてみた。当初の目的を忘れてしまっている。
作例1 エリザベス朝
イメージは「oil paint(油絵)」で「Elizabethan(エリザベス朝)」の服装を指定した。
作例2 この子に恋しそう。
プロンプトは作例1と同じ。オスかメスかを指定しなかったら、両方が出力されるってことだな。
作例3 レンブラント風
レンブラント風味(rembrantd)を付け足してみたのと、レンダリングの味付けとして「Octane render」を指定。凛々しいネコさまだ。
作例4 化け猫
衣服を「エリザベス朝」から「チューダー朝」に変更。化け猫が生成された!
プロンプトいろいろ
まぁ、いろいろプロンプトの指定を変えることで、絵の雰囲気が変わってくる。備忘録的に、ここにいくつか自分が使ってみたり、人が使ってみたりしたプロンプトを並べておく。興味がある人は試してみてほしいのだ。天文民がこれに興味を示さないことはよく分かっているので、AI絵師シリーズは今回で終わり。
アートスタイルの指定
- Ink drawing
- Manga
- Oil paint
- Style Vermeer
- Watercolor
- Photo realistic
- Abstract painting
- Vaporwave
- film still
- Screenshots from the Miyazaki anime movie
シーンの雰囲気を指定する
- Portrait
- Landscape
- Frame
- Battle field
- indoors
- Dramatic
レンダリングの種類
- 3ds max
- V-ray
- Unreal engine
- Octane render
- Volumetric lighting
アングル
- extreme long shot
- Low angle
- Bird view
- tilted frame, 35°
- show from below
プロントの売買もできるようだよ。
この記事へのコメント
可愛いのもあるけど、気持ち悪いのもチラホラ・・・
出力されないとわからないとは、まさにガチャですね。
商業利用は可能なのでしょうか?
例えば会社のチラシに使えるのかなぁ、と。
商業利用OKみたいですよ。
出力は正方形なんですが、画像の続きをAIが作ってくれる「アウトペインティング」機能を使うと、横長でも縦長でも画像が作れてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=jHsdTIPMoms
すご~い😎
子供たちが、巣立ち(鳥か!)、何時の間にか老猫は、オヤジが面倒をみるようになりました。老老介護です。
最初は、世話をしているだけで、猫が好きとか無かったのですが、最近は、好きになってきました。
猫にも色々な表情があって、それもジジ猫ですが楽しみです。
宇宙猫いいですね。世話が面倒で、イプシロンロケットで発射したい気もします。(爆)
ネコかわいいですねぇ。元気で長生きしますように。飛ばすにしても、軌道投入できるロケットで!
動物は笑ってる顔がいいなぁ。^^←こんな感じに
動物って、威嚇慣れしているせいか、怖い顔させるのは簡単みたいなんですが、笑わせるのは難しいみたいです。今回も、なかなか笑ってくれませんでした!
以前のPhotoshopプラグイン画像のようにこの手のAIイラスト画像があふれるかもしれませんね。(画家の画風シミュレートであればイラストレーターにとってはそこまで打撃は無いかも、いらすとや大量のイラスト群の方が深刻な影響与えていそうです)
イラストレーターの仕事を奪うというよりは、これまでイラストをそこまで必要としていなかった人たちに新しい安価なニーズを作り出しているような気がします。
あと人の顔が出力できないようになっているので、そこが痛いですね。
背景に透明を指定できるとパワポなどへの差し込みに便利かもしれませんね(透明を指定すると白黒のチェックが描かれますが、実際は透明でない)。
宇宙服ヘルメットかぶってる笑いネコのAI画像見てると、あのテレシコワさんが微笑んでる写真を思い出しました・・・ワタシハカモメ?・・・
実は私も同じことを思ったんですよ。で、何が似てるのかなあと考えたんですが、たぶん、ヘルメットが似てるですよ。CCCPと書いたらいいですかね。ワタシハ、ニャンコスキー