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クローズアップレンズNCのマゼンタフリンジを除去したい

クローズアップレンズNCを望遠鏡の対物レンズに使ってみて、ここまでで分かったこと。正確に計測したわけではなくて、単に私の印象です。

・焦点距離はだいたい300mm
・ACNo.4で自作したレデューサーを使うとAPS-Cで多少過補正気味。フォーサーズは実用域に
・マゼンタの色ボケが激しい
・C線とF線はほぼ同じ位置でピントが合う(Hα、OIIIフィルターで目視確認)
・e線(d線?)とC線とF線は同じ位置でピントが合わない
・バーティノフマスク使用では、C線とF線にピントがこない

コマ収差に関してはNo2を使うなどして追い込めそうだし、フォーサーズのASI1600で常用にできるということだから、これで満足することもできる。でも問題は色だ。特にマゼンタの色ボケが目障りで仕方がない。

推測だけれども、バーティノフマスクを使うと、輝度的に主張が強いe線かd線を主成分にした波長にピントが来てるんじゃないかと思う(思うだけ)。そのせいで、逆にC線とF線にはばっちしのピントがこないんじゃないか。昨日撮影したベガの写真を、PhotoshopでRGBチャンネルに分解してみたところ、グリーンの星像が小さく、レッドとブルーの星像が大きかった。

どちらにしても、マゼンタボケがはげしい現状では、天体写真として色的な鑑賞に耐える感じがしないので、マゼンタのほかにピント合わせの邪魔になっていると思われるe線(d線?)を除去してみたい。

波長をカットするというわけだから、解決策はフィルターを使うことになる。ナロー、デュアルナロー、クアッドナロー、強光害地用などなど、いろいろ種類がある。そのなかでも今回は、UHCフィルターを併用してみようと思う。

UHCフィルターは、ナローバンドではないけれども、光害カットフィルターとしてはポピュラーな部類。しかも、SVBONYの廉価版も出回っている。5000円程度だから価格的に入手しやすい。EOS用のクリップオンも選択肢にあるので、取り回しがよい。波長的には(メーカーにもよるけれど)ざっくり青紫(g線=435.834nm)以下や黄緑(e線=546nm)、から黄色(d線=587.5nm)周辺を広くカットしてくれるという特徴がある。結果的にナロー系よりは色表現が豊かになるはず。うまくいかないかもしれないけれど、まずはやってみる。

これでだめなら(まぁ、だめでなくても)、次はLPS-V4を突っ込んでみる。実際のところ、ASI1600用のUHCを持っていないので、ASI1600で撮影する際はLPS-V4を使うことになる。

いずれにせよ、デュアルナロー系のNB-1かQBPフィルターを試すことにはなりそう。理屈はともかく、どんなふうに写るのか興味があって、純粋に使ってみたいのだよ。

この記事へのコメント

  1. そうかそうか、マゼンタが膨らんでるということは、青と赤が膨らんでるということだね。
    で、波長が真ん中の緑や黄色当たりでピントが合っていて、その色が小さくなってる状態ということか。
    なるへそ、なるへそ。

    • 是空さん、UHCを通して背面のライブビューを見たらデネブがフリンジなしのいつもの青でしたよ。ナンダーラマスクを使ってもピントが合っているように思えます。作戦成功かも♪

  2. おお、ディープな領域に踏み込んできましたねぇ。
    実は、最近バーティノフマスクを使わないようになっちゃったのは、ご推察の通り「色収差に弱い」からなんですよー。

    あと、マゼンタフリンジについては、面白いお話があって・・・ですねぇ。
    一般的には「虹の色は赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」と言われるんですが、ここで言う「紫」は結構マゼンタに近くて、本来は(単色では)存在し得ない色なんです。これをカメラで撮ると暗めの「青」に写るんですが、人間の目には「紫」に見える・・・と。その原因は、人間の目の「赤」に感光する視細胞は実は「赤と青の一部」に同時感光する仕掛けになっていて、それで本来「青」のはずの短波長が「紫」に見えるらしいんです。

    デジカメ黎明期に「青空が濃紺に写る」カメラと「青空がシアンに写る」カメラがあったんですが、後者が本来の色を写せていて、前者は肉眼による『みかけの色』を再現するために青色の一部をR素子に感光させるトリックを用いていたという説があります。

    したがって、マゼンタのフリンジが出た場合は
     ①色収差の影響で赤と青が同時に滲んだ
     ②カメラのR素子が青色にも感光している
    という2種類の仮説が考えられます。

    果たして今回はどちらなのか、フィルターワークで検証してみるのも面白そうです。

    ※プリズムや回折格子で連続光を分光したものをカラーデジカメで撮影して、
    https://www.kodan.jp/?p=products
    で配布されているraw2fitsなどを用いてR素子のデータだけを抽出して見るとハッキリするかも知れませんね。

    ※実例として、街灯を分光したものをデジカメで撮影した写真をご覧ください。
    https://apranat.exblog.jp/fp/spctr/
    青色になるはずの波長の一部がマゼンタになっています。

    • >②カメラのR素子が青色にも感光している。
      なるほど、②もあるのね。
      「人間の目の反応」について書かれていますが、以前なんかの関連で天リフさんも同様のことを書いていた記憶がある。
      なんの関連で書かれていたかは忘れてしまったが・・・(ケンボーだな)

  3. あぷらなーとさん、ていねいなご説明ありがとうございます。沼の深みでしたか……。深みから脱出できるかと思ったら、すぐとなりに別の深みがあるという……うぅ。「R素子が青色にも感光している」って、これ面倒そうですね。量子効率のグラフを見てみると、たしかに赤は赤の帯域だけに感光しているわけではなさそうですし。ご紹介いただいたraw2fits.exeも勉強してみます。まずはUHCで効果があるのか実戦に投入してみます!

    • UHCでの実写テスト、楽しみです。
      光学の沼は「底なし」ですので、雰囲気だけサラリとかじったら後は実践あるのみだと割り切っています。(時々自ら深みにはまってもがくのも好きなんですが)

      とにかく「写れば勝ち」です♪
      期待しています。
      すごい絵が出たら・・・我慢できずにマネっこしちゃうかも。

      ・・・あ、例の「77mm口径版ACクローズアップNo2長距離砲」先ほど完成しちゃいました。今、AZ-Gtiに載っけてお月様を楽しんでます。結構良く見えます♪

      • あぷらなーとさん、月夜でしたが遠征してきました。コンポジットが終わらないのですが、ぱっと見は悪くないです。ピントをどこで合わせるかが課題のような…。あとでアップしますね。長距離砲、もうできたのですか!見たいなと思ったらアップされてました。ゆっくり拝見しますー

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