昨日のブログで、新しく買ったPlayer One Ceres-Cが、BORGの直進ヘリコイドに挿入できなかったという話を(メモ的に)書いた。どちらも1.25インチ(=31.75mm)規格だから、当然使えるだろうと思ったんだが、そうじゃなかったので、受けたショックは大きい。
「ノーズを固定するネジや金属バンドに干渉して挿入できないのでは?」という向きもあると思うけれど、そこまで奥に入らない。というか、まったく挿入できない。どれくらい入らないかっていうと、下の写真くらい入らない。樹脂部分がかろうじてアダプタに入ってるって感じ。
ということで、原因を探ってみることにした。
ガイド・カメラのメタボ調査
私が所有しているQHY 5III-174/178、ASI120MM Miniは、Ceres-Cと同じ1.25インチ規格なんだが、これまでアダプタに挿入できないというトラブルに見舞われたことがなかった。なので、まずは、口径を比較してみる必要がありそう。
調査対象は、うちにいるガイド・カメラ3台。QHY 5III-174M、ASI120MM Mini、Player One Ceres-C。整列!
※ メタボの検査って腹囲で測るので、口径の調査をメタボ調査って呼ぶのは誤解があるな
表でみるように、QHY 5III-174MとASI120MM Miniは、規格の口径31.75mmに対して、0.1mm小さく作られているのに対して、Player Oneは規格の31.75mmを超えて31.76mmになっていることもある。これが個体差だったり、ノギスの誤差だったりしても、Player One Ceres-Cは、他2社と比べてメタボだということは言えると思う。
次にアダプタの開口径(内径)がどれくらいあるかノギスで調べてみた。調べたのは、うちにある主な1.25インチ規格アダプタである、BORGの直進ヘリコイドS【7315】、ZWOのASI 30F4 ガイダースコープ、SVBONY SV165 コンパクトガイドスコープの3種類。
計測結果は次のとおり。どのアダプタもCeres-Cの径31.76mmより小さい値が出た。この値だと、どのアダプタにも挿さらないはずだよな。でも実際には、あとでみるけれど、挿さるアダプタもあるので、おそらく、私の測定の仕方が悪いか、ノギスの表示がおかしいのかだと思う。
大事なのは、BORGの直進ヘリコイドが、3つのなかで一番開口径が小さいってことだと思う。また、ASIとSVBONYは最大値を採用すると、Ceres-Cの値31.76mmよりも大きい。
ということで、数値は参考程度にしてほしいのだ。
1.25インチアダプタとの相性調査
次は、計測とは別に、実際に、アダプタとPlayer One Ceres-Cを挿してみて相性をみてみる。要は挿せるか挿せないかだ。ここでは、おまけで、笠井トレーディングのGuideFinder-50用直進ヘリコイド接眼部にも登場してもらった。
実際に抜き差ししてみた結果、下の表のように、BORGの直進ヘリコイドS【7315】とGuideFinder-50用直進ヘリコイド接眼部にはCeres-Cが挿せなかった。また、SVBONY SV165に挿すときは、Ceres-Cに印字されている文字が消えるんじゃないかと思うくらい擦り擦りしながら挿入しないといけない。
Player One Ceres-Cが挿せないアダプタは、直進ヘリコイドS【7315】やGuideFinder-50だけでなくて、ほかにもあるということが推察されるな。
かんたんに話を整理
整理してみると、
- ZWOとQHYのガイドカメラは口径を31.75mm未満で作っているのに対して、Player One Ceres-Cは、31.75mmぎりぎりで作っている。
- BORG直進ヘリコイドS【7315】は、他製品と比べて開口径が小さい。
- Player One Ceres-Cが挿せるアダプタと挿せないアダプタが存在する。
考えられる原因?
原因は、いろいろ考えられるけれど、
1.25インチ(=31.75ミリ)規格のところ、普通に考えて、ノーズもアダプタも同じ口径で作ると挿せなくなる。凸を細めに作るか、凹を広めに作るかする必要がある。
でも、今回、調べた感じでは、Player OneとBORGはともに主張が強く、1.25インチ(=31.75ミリ)ギリギリの値で作られている。
ネジの場合はオス・メスともに有効径の最大、最小、公差がJISで定められているみたいだけれど、1.25インチアダプタにはその規格はないんだろうか。
あったとしたら守られてない可能性があるよな。なければ無法地帯だな。ヤード・ポンド法とメートル法の混在がこの問題を生んでいるかどうかは知らん。
対処法はないのか?
BORGでの使用を諦めかけていたとき、直進ヘリコイドS【7315】が家にもう一個あったことを思い出したので、そっちにPlayer One Ceres-C挿入してみた。そしたら、奥まで入った。同じ型番でもCeres-Cが使える【7315】と使えない【7315】があるっていうことは分かった。
Ceres-C以外のPlayer Oneシリーズまで検証したわけではないけど、私同様に挿入できない恐れはあるので、心配なユーザーさんは、購入にあたってショップさんやメーカーさんに、アダプタとの相性を確認してから購入したほうがいいかもしれない。
そもそもの話をすると、Player OneとBORGは、それぞれあと最大0.1mmくらい譲り合いの精神で余裕を持って作った方がいいのかもな。
この記事へのコメント
BORGは確かに製品によってバラツキがありますね。
M57の延長筒ですらネジの切り方がバラバラで規格に沿っていないと思われる製品があるよね。
手元にある延長筒は組み合わせによってはネジが噛み合わないよ。
でも、入る直進ヘリコイドがあって良かったねー。
旋盤を持っていたらどっちかの内径か外径を削りたくなっちゃうところでしたね(^^;)
BORGってロットごとの加工精度は高いけれど、ロットが違うとロット間に精度の差が出てくるって感じなのでしょうか。よくわからないですね。Player Oneを旋盤で削るというのはありだと思いますwww
へぇ~って感じですね
「規格が31.75mmなら、規格通りに作るしかねぇよな」
「んだんだ」
みたいな規格会議(字違う)があったのでしょうか…
「お客さんから不具合だって指摘が来ましたが…」
「仕様書どおりに作ったんだがら、不具合じゃねぇさ」
みたいな規格会議が繰り広げられるのでしょうか…
あぁ、既視感…
国産品ではないので、JISは適用されないような・・・
これはあれですね、同じ商品を複数買ってバラツキを測りましょう!
もしくは旋盤を買って外周を削る!
なんちって
今回は、参りました……。
たしかに、個体差の激しい商品は、複数買っておくと安心ですよね!(違
同じ規格なのに結構バラバラなんだね。
入らないことがあるなんて考えもしなかったよ。◎◎;ナンテコッタ
どこまでシビアな規定が必要なのかわからないけど、色々なメーカー間で共有しあってる規格なんで、穴側と差込む側の誤差の範囲を決める必要があると思ったよ。
<< 余談 >>
詳しい内容は知らないんだけど、金属加工で”はめあい”という言葉がある。
穴側と差込む側の関係の話で、
① お互いにスライドし合う
② はめ殺し
③ ①と②の中間でガタは無いがはめ殺しまでキツくはない
というものあって、用途に応じて↑の①~③を決定して、穴側か差込む側のどちらかを基準に公差を決め、それに対する反対側の公差を決めるというもの。(らしい。)
たぶん、今回のようなものは①の”スライドし合う”に相当すると思う。
その昔、まだ工作の精度が低かった頃、LEICAの職人はピッタリくるパーツを見つけてカメラを組み立てていた。
という逸話を思い出しました。
本当かどうかは知りませんが。
職人の言葉みたいで格好いいですね! 確かにピッタリ抜き差しができる状態がいいときと、ささったら取れてほしくないときってあります。指先の感覚で決めたりするんでしょうか。奥深いです!
アイピースでも散々既出。工業製品である以上どうしても誤差有るし個体差も有るし。でもスリーブ差込みという性質上、あまりユルユルだとガイド誤差に直結するし光軸もズレるし。
あと入ったとしてもピント来ない問題は今は亡き三星カメラも格闘してた。結論はガイドカメラはSXV Loadstarみたいにフランジバックも合わせたCマウントにすべき。
古くて新しい問題というか、アイピースもそういう状況で、昔から改善されていないということですか…。Cマウントにしてくれると、悩みがなくなりますよね。賛成です。
私もアメリカンサイズのバレルなどでいくつかこの問題を経験しています。
諸悪の根源は米国の単位(インチ、ヤード、マイルなど)が国際基準のミリに換算したときに割り切れなかったり、小数点が多くなることで公差を広く取らないと安全に運用できない(精度を高くできない)ことにあるように感じています。
(米国単位で製造されているものは総じてク○傾向があります。。。)
T-Studioさんもですか。あるあるなんですね。
アメリカの火星探査機が火星に墜落したのもヤード・ポンド法が原因と言われていますものね。
アメリカ主張強すぎ(笑)