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週刊 なんちゃって望遠鏡を作る(第5号)収差いろいろ

せっかく望遠鏡が完成しても、鏡筒バンドが余分にないから、望遠鏡の固定ができないよ。仕方がないから、鏡筒バンドとアリガタを55FLから借りてきた。そしてAP赤道儀に載せて、近くの電柱に望遠鏡を向けて覗いてみた。
「なんだこれは! 収差かぁ!?」って心の中で叫んでしまった。
こんな感じ。写真でみるとそんなにひどくはない?
収差.jpg
iPhone手持ちコリメートで撮影
アクロマート(AC)じゃない普通のクローズアップレンズ(MC)を使っているから色収差は覚悟していたけど、歪みもひどいように見える。
そう言えば「アクロマート」って何だったっけ?
「アクロマート」は星を撮ると青ハロが出ちゃう屈折式望遠鏡のレンズだ。青ハロがでないようにしたのがED81SIIとかBORG 55FLとかの「アポクロマート」だった。そんなふうに経験で理解していたけど、ウィキを読むと、こんな説明があった。
アクロマート(Achromat )とは、2色に対して色収差を補正したアプラナートを言う。(出典;Wikipedia)
この説明のうち「2色に対して色収差を補正」は経験で分かっているつもり。
問題は「色収差を補正したアプラナート」という説明の「アプラナート」だ。
アプラナート(独: Aplanat )とは、光学系の収差補正状況を示す言葉の一つで、球面収差とコマ収差を解消していることを言う。(出典;Wikipedia)
ここ勉強のポイント。一言で収差と言っても、いろんな収差があるのね。
収差には、大きく分けて「色収差」と「ザイデル収差」がある。
色収差は
(1)軸上の色収差
(2)倍率の色収差
の2つ。
ザイデル収差は
(1)球面収差
(2)コマ収差
(3)非点収差
(4)像面湾曲
(5)歪曲収差
の5つがある。(出典:オリンパス
アプラナートが解消している「球面収差」「コマ収差」って何だろう。再びオリンパスのサイトを見てみる。千鳥模様になっているのが「コマ収差」。これは分かりやすい。「球面収差」は説明が理解できないけど、絞れば改善するようにも読める。要はボケのこと?
そこで、星がどんなふうに写るのか、あまり考えずにカラーカメラではなくて、モノクロのQHY5III-174Mでプロキオンを撮ってみることにした。像がぼけているのだろうか? どこで合焦しているのか把握できない。とにかくピントが合わせにくい。
撮影した画像がこちら。星の周りは、ゴーストとは違うボケで囲まれている。というか星自身がボケているように見える。「ソフトフォーカスの味」(あぷらなーとさん)というのはこのこと? これが「球面収差」なのかな。それとも色が付いていない「色収差」?
Capture_0001.jpg
ピントが合わなければ、何が起きているのかさえよくわからない。まさに「なんちゃって望遠鏡」だ。アクロマートタイプのクローズアップレンズに換装してみるか……。
勉強続きますが、このシリーズ、読んでいる方はつまらないだろうな。スミマセン(汗)

この記事へのコメント

  1. ああ、やはり光学理論にたどり着きましたね(笑)。
    そもそも凸レンズで光が1点に集まるという「中学-高校物理」で習う原理は大嘘でして、実際はレンズの中心付近を通る光は焦点より遠くに、レンズの周辺近くを通る光は焦点よりも近くに集まります。そのため、シングルレンズではどこにも「ピント」が存在しない状態になります。コレが球面収差です。
    アクロマートは、色収差の軽減とともに球面収差やコマ収差も補正するためにレンズを二枚用います。だだし、色収差を補正できるのは二色だけ(仮に緑と黄色に最適化すると、赤と青はピンボケ)ですし、球面収差が無い(シャープに見える)のは一色のみです。(つまり、二色色消し+一色アプラナート)
    それでもシングルレンズと比較すると格段に良く見えます。
    アクロマートを上回るアポクロマート(三色色消し+二色アプラナート)にするには原理上三枚以上のレンズが必要ですが、フローライトやEDは、それを二枚で実現する反則材料です。
    語弊は有るかもしれませんが、フローライトアポやSDアポを100点満点とすると、EDアポは50点、アクロマートは20点で、シングルレンズは3点といったイメージでしょうか。
    というわけで、ACクローズアップレンズNo4かNo5、是非ポチってみて下さいな♪アクロマートの優秀さに驚くこと請け合いです。

  2. あぷらなーとさん、詳細に解説をいただきまして、ありがとうございます! アポクロマートが高いわけですね。アポクロマートはいつもその性能を享受しているので、これはACクローズアップレンズを試してみないといけません。今日にでも買いに行ってきます。
    「凸レンズで光が1点に集まるという「中学-高校物理」で習う原理は大嘘」というのを聞いて、安心しました(笑) なんちゃって望遠鏡で遠くのネオンに望遠鏡を向けると、赤青黄緑の光が拡散していて、赤でピントを合わすと赤に、青でピントを合わすと青になりました。ネオンは一体、何色だったんだろうと……今回の工作で球面収差を体感できて面白かったです。
    光学の理論は理解できるような気がしませんが、大意は把握して、楽しんでみようと思います!

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