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電子観望専用カメラ Prayer NIER 385 レビュー

「電子観望って何なんだろう」ってたまに思うことがあるよ。たとえば、SharpCapを使った観望。LiveStackの機能で星雲の形が現れてくる様子を見ていると、「おお!」って感激するよね。しかし、私がLiveStackを使う場合、画像を保存して天体写真として処理するのが目的だから「天体観望」じゃなくて「天体撮影」なんだろうなと思う。いや、両方なんだろうか?

とかなんとか別に難しい話をしたいわけじゃないよ。私が話をしたいのはAstro Nier社の新製品Prayer NIER 385の特徴についてなんだ。写真として残せば「天体写真」、見るだけなら「天体観望」という分け方をするならば、このカメラは間違いなく電子観望専用のカメラだよ。

ハメコミ合成は妄想も合成されています

Prayer NIER 385は、センサーにSONYのIMX385を搭載している。観望にはパソコンがいらない「PCレス」なんだ。その代わり、画像を映し出すフィールドディスプレイが必要になるよ。USBとかHDMIの代わりにSDI(Serial Digital Interface)という規格のケーブルを使って画面に映し出すんだ。Prayer NIER 385にはもとからSDIケーブルが生えているので、これをSDI入力に対応したディスプレイに接続するだけ(あと12V電源)。テレビをアンテナと電源につないだら絵が映るのと同じくらいカンタン。カメラの全体像はこんな感じ。

赤が12V電源、緑がHD-SDI、黄がCVBS、黒がTVI/AHD。ケーブルの中ぐらいにあるのが十字キーみたいなジョイスティック

ファーストライトは眼視に似た感激

昨晩ファーストライトを楽しんでみた。Prayer NIER 385とBORG 36EDは、アイピースに差し込む感じで接続する。今回、36EDは手動の経緯台に固定した。もちろん自動導入ができるAZ-GTiとの相性はバツグンそうだよ。

それからカメラから生えている緑色のプラグ(HD-SDI)を7インチのフィールドディスプレイに、赤いプラグを12V電源にそれぞれ接続する。セッティングは以上。シャッタースピードとか露出とか設定がないのに適当に望遠鏡を夜空に向けるだけで星が映った。これはスゲー。

さらに驚いたのは、ディスプレイに映った星がまたたいていたことなんだ。そして画像が非常に鮮明だった。そして、望遠鏡を動かしても星の動きに遅延がまったくない。言ってみれば、双眼鏡とか眼視で夜空を楽しんでいるような見え方なんだ。SharpCapの場合は、画像をPCに取り込むことが目的なので、星がまたたかないでしょう? これが体験として大きく違うところ。これは面白いと思った。

オリオン星雲のM42を観望してみることにした。自動導入架台じゃないので、リゲルを起点にスターホッピングでM42を目指す。田舎なら光学ファインダーに星が見えているから一発導入なんだろうけどさ、ここ東京ではそうもいかないんだよ。でも、目的の星にたどり着けるだけの星がこのシステムで映し出せているってことだよね。

M42は、薄い雲のような明かりがゆらゆら〜っとしている。赤くない。大きな羽は見えない。双眼鏡で見たときと同じ見え方をしている。派手じゃないM42はかえって新鮮だね。下の写真はディスプレイを撮影したもの。いま見ている画像が保存できたり、スクリーンショットでさえ撮れなかったりする不自由さはある。でも、それは眼視も同じだよね。

Prayer NIER 385とBORG36EDで映したM42。8xズームをかけてる。

Prayer NIER 385は、スティックのり型としては珍しく、カメラの先端に1.25インチ(31.7mm)のフィルターを装着できるようになっているんだ。今回はSVBONYのUV/IR カットを使ったのでこんな見え方だったけれど、Hαや近赤外線とかフィターワークが楽しめるってわけだな。フィルターを換装すると、どんなふうに見えるだろうね。楽しみだ。

それから、カメラの操作なんだけれど、ジョイスティック風の十字キーがケーブルの途中についている。これを操作して画像の明るさや色合いを調整することができる。8倍まで対応しているデジタルズーム機能も手元で操作できる。暗闇でキーボード操作することを考えると、十字キーで操作できるのは助かるな。

最初、正直、このカメラには、あんまり期待してなかったんだよ。どうせPCで見るみたいな平べったい映像が見えるだけだろうと思ってたし、画像が保存できないってのはさすがにないだろうとか(やってやれないことはない)。それから、IMX385とはいえ、もとが内視鏡用だし(笑)

でもなんというのかな。上にも書いたけれど、このシステムを使って得られるのは眼視に近い体験なんだ。つまり、(1)星がまたたく、(2)星の動きに遅延がない、(3)PCレスで星が観望できる、それから(4)星雲が自然に映る。

最後の理由は逆にいうと、星雲を見るには適していないってことだな。せいぜいM42かM8 とか明るい星雲に限られると思う。実際のところ、星雲じゃなくて星団のきらめきを楽しむ感じになりそう。惑星がどう見えるかはやってみないと分からない。

実際の映りがどんなものか、動画にまとめてみた。それでも、鮮やかさは伝わらない気がする。

電子観望のもう一つの選択肢として

何度も書くけれど、ディスプレイのなかで星が煌めいているところが、どこか新しさを感じさせるんだよ。キラキラ感や臨場感は、双眼鏡でのぞく分にはかなわないかもしれないが……。とかなんとか、どっちにしても比較の対象はSharpCapじゃなくて、双眼鏡とかの眼視鑑賞なんだ。と言うと、このシステムの特徴が分かってもらえるだろうかね。

年を取ると目が悪くなるので、望遠鏡をのぞくのをやめたというユーザーさんもいると聞くよ。眼視に近い体験ができるこのシステムによって、再び天体観測の機会を手にできるんではないかと思うよ。

それから、天体写真って正直、準備も撮影も周到さが求められて面倒じゃない? そんなとき、このシステムで紛らわせることもできるとも思う。

組んでみない?

とメリットを並べ立てても完成品として売られてないのがつらいところだな。じゃあ、組んで見るのもありだ。実際に私が作ったのは、カメラ基盤のケースだけ。ほかは何もしていない。私のシステムは、IMX385搭載のカメラがAliexpressで19,714円、7インチフィールドモニタがAmazonで25,999円の合計約45,000円で作れた。案外、高くついたなぁと思うけれど、IMX290を選んだりすると、もう少し安く作ることもできる。

もともとPrayer NIER 385は、T-Stuidoさんが提唱されているコンセプトを使わせてもらったんだ。T-Stuidoさんのコンセプトは、高感度防犯カメラを使って安価に電子観望システムを作るということなんだと思う(私は内視鏡だったけど)。T-Stuidoさんは防犯カメラを電子観望に転用すること、SDI-HDMI変換機器を使って安価なHDMIディスプレイを利用することを提案してらっしゃるよ。

バージョンアップした高感度Cマウントカメラズーム観望システムの動画をYoutubeに掲載しました。
動画閲覧はこちら今回は使い方(といっても難しいところが無いので大したことが紹介できませんが。。。)と実際の観望の様子を充実させました。だいたいどのような使い勝手なのかを把握できるように構成しました。天体趣味の方は写真派の方が多いのでこのよう...

というわけで、このシステムはたまに使うかもしれないな。今晩もベランダにセットを出してみた。木星の衛星が鮮やかにはっきりと見えている。こんな鮮やかな見え味はSharpCapにはないと思うよ。画像として保存できなのが残念だが、体験とはそんなものだよね。それでいい。

Prayer NIER 385で月面観望
Prayer NIER 385を使ったら、どんなふうに月面が見えるのか楽しみにしていたんだよ。いよいよ空も晴れて、ベランダから月が見えるようになったので、36EDに2.5xバローを接続して、電子観望してみた。セットアップは本当にお手軽だし、...

みなさんもよかったらぜひ。

※ ちなみにPrayer NIERは、Player Oneのリスペクト・パロディです。Prayer NIER 385という商品は存在しません。本家はこちらです。

この記事へのコメント

  1. 動画あがってるなぁ~と思ってたら記事も出てたんですね
    怪しい音声合成が気になってしかたね~っつ~w
    にゃあさんもボイスチャンジャー導入で、もにゃって欲しいにゃぁ

    • けむけむさん、音声合成はテキストを打つだけなので楽です(笑)私がボイスチェンジャーでもにゃもにゃやるときは、あの悪そうなアライグマがいいなぁ。

  2. 天リフ上では”Player One”と並んで紹介されていますね。
    間違えて注文が来たりして(^^;)

    • そうなったら、商売始めましょうか(笑)

  3. 当然、今のプライムニュートンと組み合わせるんですよね?

    • ばれましたか! 今ごろプライムニュートンが完成しているはずだったんですけど、順番が入れ違ってしまいました。

  4. おお、購入されたんですね!(しかも部品の方で購入とは!(笑))

    結構おもしろいでしょ。

    カメラのパラメーターに蓄光機能あれば最大にしておけば暗い対象だとカメラが勝手にスタッキングしてくれて明るくなりますよ。(露出も自動、明るい所だと蓄光機能が自動でオフになります。)

    SDI→HDMI変換してHDMIキャプチャ使えばINDIでも利用できますよ。

    • OSDのパラメーターのポイントは4つです。
      ダイナミックレンジ→バックライト
      センスアップ→最大(多分32)
      オートゲイン→6程度
      Day&ナイト→カラー固定

      こんな感じのOSDの設定で相当感度上がりますよ。(一回設定してしまえば後は見るだけのお気軽環境ができます)

    • まだ1,2日しか使ってないですが、この鮮やかさはクセになりますね。面白いです。ぜひ田舎で観望してみたいです。

      蓄光にあたるようなパラメータは見かけなかったのですが、もう少し設定を探ってみます。防犯用と内視鏡とでは、設定内容が違うのかもしれませんね。

      HDMI出力のあるカメラもあって、それがIMX482とか新しいモデルなら買ってしまいそうです(笑)

      • 通販サイトにはセンスアップの記述あったのであるといいですね。(記述がいい加減なのも中華ですが。。)

        設定だと特に上に記載したパラメーターは感度に影響します。
        当地田舎なんですが、南側は市街地と霧などの影響で3等星見えるかどうかですが広角側で天の川見えるくらい感度いいですよ。

        霧除去なども天体観望と相性良いです。

        • 霧除去は月のフリンジを取るのに使った技ですよね。いろいろ楽しんで見ます。Aliexpressにある顕微鏡用カメラも面白そうです(笑)

  5. にゃあさんの言ってる『キラキラ感や臨場感は~』はよくわかるよ。^^b
    光学のみで直接見た天体は写真のような色や細部の表現はないけど、↑の感覚が光学系で見る大きな魅力だと思う。
    今回のPrayer NIER 385は、ディジタルで直接光学の醍醐味を味わおうということだと思う。
    小学生のときに望遠鏡でみたM45のキラキラ感をいまだに思い出す。
    めっちゃ綺麗で”宇宙を見てる”という気持ちになった。←アタリマエダケドナ^^

    確かにSDIはちょっとマニアックだね。^^
    どんなにいい写真を見ても、あの時に見たM45の感動を超えるものはないよ。

    • あらら、最後に書いたつもりのSDIに関する文を一行手前に入れてしまった。
      ということを踏まえて読んでね。^^テヘヘ

      • SDIって初めて知りました。最初は戦略防衛構想かと思いましたよ。有線リモートにも使えるかも?放送屋さんになりそうです。

    • 追伸
      ↑の動画を見終わったあとネクスト動画が、もちまる日記の「初めてこたつを買ってきたら猫が~」だったのに笑った。
      ニャアつながりかい。^^その動画も最後までみたけどな

  6. >ディジタルで直接光学の醍醐味を味わおう
    まさにそんな感じですね! もっと評価されてもいいような気がします。眼視も同様で。
    もちまる日記のねこかわいいです。猫つながりって、いつの間に猫認定されてしまったんだろう…

    • もちまる、いいですね、自分も見てますよ。
      他に”元野良猫チャチャとR me”と”わっさぶチャンネル”も見ています。
      わっさんは他にもチャンネルを持っていますが、ちょっと変わった女性で面白いです。
      ジワジワ来ますよ(^^;)

      • 両方の猫動画みてみました♪ かわいいいいいですねぇ。わっさむさんのメインは釣りですか。これはカメラde遊ingに通じるところがありますね。Goood!です〜

      • 特定のチャンネルを観てるというわけではなく、トップページにあがっていて気になったand気が向いたときに観る程度。
        猫系は、最近”もちまる”がよくあがってるよね。以前は”ももと天空(空はあとから加わった)”がよくあがっていたような。
        動物系の動画は、ほのぼの系や笑い系の動画はいいけど、野良猫の厳しい現実とかは悲しくなるので見たくないんだよね。
        ^^←ゲンジツトウヒハ

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