まだ11月だというのに、街はクリスマスの準備で大忙しです。「坊や、昨日はボロ布で、今日はダンボールかい? きょうは寒いから暖かくするんだよ。ほら、これで服でも買って….」。チャリン。
「俺は、そんなんじゃない。坊やでもない。ただ月を待っているんだ」とプライム・ニュートンくんは心のなかで思いながらも、通行人のおばさんの善意を受け入れました。もう何人が恵んでくれたでしょう。この世も捨てたものではありません。
月がベランダから見えるようになるまで時間があることを確認したプライム・ニュートンくんは、買い物に出ることにしました。彼が向かった先は、お洋服屋さんではなく、交差点の角にある小さな眼鏡店でした。
「いらっしゃい」。あごひげの初老の主人が目にしたのは、ダンボールを体に巻いた、目に力のある少年でした。「俺、目が悪いみたいなんだ。はっきり見えるように調整してほしいんだ」
「おやおや、珍しい子だね」。主人は何かを察したかのように、プライム・ニュートンくんを検査台に案内しました。「ほら、この赤い点を見て。まっすぐに見えるかな?」
赤い点は、なかなかまっすぐに見えません。「右、いや左だ。上、下、もう少し上」。主人はプライム・ニュートンくんが言う方向に合わせて、検査台を操作しています。「あ、まっすぐになった!」
「おじさん、ありがとう。いくらなの?」。プライムニュートンくんは、お金を出そうとしましたが、眼鏡店の主人は「お代はいらないよ。そのかわり綺麗な月の写真をとっておくれ。様子を見てから、またおいで」と言って、笑顔で送り出してくれたのです。
帰り道、プライム・ニュートンくんは不思議でなりませんでした。「どうして店のおじさんは、俺が月の写真を撮ることを知っていたんだろう?」って。
そしてプライム・ニュートンくんは、一日を振り返りながら、ベランダの定位置に着きました。「さて撮るか。きょうは、あったかかったな!」
そろそろ、明るい月が見える時間です。
この記事へのコメント
まるっこいタッチの挿絵が欲しいところですね
なるほどなるほど写真はないほうがいいかもですね
なるほどこれが(6)だったんですね。
番外編に変更したからってことか、納得です。
カメラde遊ingさんのブログの「番外」にインスパイアされましたw
そのころ、我が家のAZ-GTi君に足が生えました・・・
Aliさんから6日間の旅だったようです。早くなったね!びっくり!
6日で届いたのですか! どれにしたんですか?