アポクロマートの対物レンズが16800円で買えるというのは非常にリーズナブルです。ただし、本来的な用途は一眼レフ用のクローズアップレンズであること、焦点距離が公開されていないとか、そんな制限を気にしなければですが。
なんだか皆さんに背中を押されてしまって、NiSiの「クローズアップレンズ NC キット」を買ってしまいました。私が「押すなよ、押すなよ」と叫んでいたことが原因でしょう。お約束で押されてしまいました(笑)
本製品がこちら。カバーキャップは付いていないのですが、代わりにセミハードケースに収納されています。もともとクローズアップレンズですから、野外への持ち出しを想定してこうなったのだと思います。なかなか丈夫なケースでして、うっかり地面に落としても中のレンズは保護されると思います。
ぱかっとふたを開けると、レンズがお目見えします。元は保護シートに包まれていましたが、撮影のためにシートを外しました。77mmというのは見た目にもごついし、手に持つとずっしりとした手応えを感じることができます。ケンコーのクローズアップ52mmとはえらい違いです。
焦点距離をざっくり測ってみましたが、だいたい400mmくらいでした。レンズ径も77mmだとしたらF値は5.1になります。
このクローズアップレンズについて、Youtuberのジェットダイスケさんがレビューをされていました。当然、クローズアップレンズとして使用していたわけですが、F2.8だとボケが激しいのに対して、F5.6、F8あたりからしっかりとした像を結びはじめていました。
天体用途に転用した場合、星像にどう影響があるのか、実際に写してみないと何とも言えないものの、スタートがF5.1なのでデフォルトでもしゃきっとしているかもしれません。
で、問題は望遠鏡の対物レンズとして使う場合、私の環境だとM57の延長筒に接続できなければならないことです。
商品名に「キット」とあるのは、保護ケースのほかに72mm、67mmに対応したテップアップリングが付いているからでしょう。まずこのステップアップリングを使って72mmに落とします。次にケンコーのメタルフードLMH67-72を使って口径を小さくし、さらに52mm-67mmのステップアップリングを使って52mmまで持っていきました。M57延長筒への接続は問題ありません。
絞りの位置として適切かどうか分かりませんが、レンズに近いところで52mmまで絞っているので、F7.6相当になっていると思われます。上で触れたように、少し露出を絞ったほうが良いようなので、少々暗そうですが、これはこれで良いのかもしれません。F7.6というと私が愛用しているビクセンのED81SIIがデフォルトでF7.7です。
対物部を延長筒に接続したところまでの写真がこちらです。
さらに問題があります。焦点距離が400mmあるので、手持ちの延長筒では長さが足りないのです。延長筒の買い増しが決定です(笑)M57互換リングもあるので安くは付きそうなのですが、アリガタとの接続を考えると途中にBORG製の延長筒を挟んだほうが良さそうな気配。そうすると、たとえばマルチバンド60Φ【7065】が使えるようになります。ほかに安い良さげな鏡筒バンドがあれば良いのですが(三基さんの60Φバンドとか?)。
それから気になる色消し性能です。アクロマートと違って、アポクロマートなので3色まで色消しが実現しているはずです。しかし、どの波長が組み合わされているかによって、アイダスNB1のようなHα、OIIIのデュアルバンドフィルターが使えるか使えないかが決まってくるので大事なポイントです。
これまで勉強してきたところによると、C線とF線で色消し(要はこの2色で同時にピントが合う)がされていれば、さらに出費が増えます、もといデュアルバンドフィルターが投入できます。TB006のようにd線F線色消しがベースだったら、もう一色がC線でもF線でもデュアルバンドフィルターは使えません。
ここは宝くじのようなものだと思っていたのですが、「クローズアップレンズ NC キット」の説明書きにはこうあります。
望遠レンズや、本レンズのように2枚以上のレンズを組み合わせた製品では構造上、色収差が発生します。レンズの品質は、この補正のレベルに応じてアクロマート(AC)、セミアポクロマート、アポクロマート(APO)に分類されます。赤、青の2色を補正したのがAC、紫を含めた3色を補正したものがAPOと呼ばれ、ACは普及価格帯のクローズアップレンズなどに、APOはハイエンドの望遠レンズやマクロレンズに採用されています。本レンズではAPOを採用し、色収差を極限まで補正。
つまり、このレンズは1
根拠はこれだけですが、デュアルバンドフィルターが使えるレンズである可能性を感じさせます。あとは球面収差やコマ収差がどれくらい補正されているかですよね。アポクロマートの場合は2色について補正されているはずです。その性能しだいで、またレデューサーのお勉強をしなければならないかもしれません。
余分なパーツがさらに余分なパーツを呼ぶ!
この記事へのコメント
スゴい!
だれか人柱に・・・などと呟いていたら、もう現物がっ!?
構造上、多少絞られるでしょうが、とにかく実写結果が見たい見たい見たいッ(笑)
次なるレポートに期待Maxです♪
あぷらなーとさん、どんなクローズアップレンズでもどんなふうに見えるのか気になってしまう病にかかってしまったようです。台風が来ているので、星空を撮るのは先になるかもしれませんが、地上であれやこれや試してみます!
おいらなら鏡筒に塩ビ管を使うな。
まぁ、にゃあさんの選択支にはないだろうな。だって美しくないもんね。^^
実はさぁ、小学生の時に買ったス〇ービー〇の望遠鏡のドローチューブをはずしたことがあるんだ。
白く塗られた鏡筒本体の中を覗くとね、配管とかでよく見かけるあのネズミ色のパイプだったんだ。
それが偉くショックだったのを覚えてるよ。><;
今考えると、安く作るには合理的な手段だと思うんだけどね。
だって、その望遠鏡を使う人って、鏡筒のたわみとか、鏡筒内の迷光なんて気にする人なんていないもんね。たぶんだけど・・・
>2枚以上のレンズを組み合わせた製品では構造上~
この説明書きを読んだとき、この表現って絶対に誤解をまねきそうだよね。
中2の時にかったおいらの単ダマートなクローズアップレンズは色収差は発生しない?そそんなわけないよね。
実害はなさそうだけどちょっと気になった。
おいらも、とにかく実写結果が見たい見たい見たいッ^^
是空さん、塩ビ管は美しくないです(笑)どうやってねじ込んだらいいか分かりませんもの。メーカーのプロモーションなんて話半分ですよ。実写結果、しばらくお待ちくださいー
>どうやってねじ込んだらいいか~
問題はそこだよね。
おいらもそこをどうするか考えたよ。
一番簡単そうなのは、塩ビ管に合いそうなステップアップ(もしくはダウン)リングをボンドで接着はめ殺しする。
うまくくっつけば後は何とかなるでしょう。
美しくないけどね。^^;
是空さん、おっしゃっているような手法が工夫なんですよね。私は確実に傾けて接着してしまう派です(笑)
購入おめでとうございます!
素早いですね~
実写を楽しみにしています。
一昨日の晩は、久しぶりに晴れたので、機材テストに出撃しました。
赤くない赤猫もとい金猫は、少し周辺が歪みますが概ね良好です。
取り回しが良く、いい鏡筒だと思います。
しかしFL55SS、55FL、60CBと似たような鏡筒ばかり持っていて、
どうするんだろう、自分・・・
そしてNano1でも実写
画面が小さくてピント合わせが厳しいです。
3-12mmレンズは12mm側で無限遠が出せず・・・
miniBORG50に繋いでみましたが、画質が、が、が・・・
うーん、この先、どう運用していこうか悩みます。
せろおさんのおかげでポチってしまいました(笑) FL55SS、55FL、60CB、金猫とコンプリートしていくのが楽しいのだと思いますよ。この取り回しのよいサイズ感は、手に持って愛でるにはもってこいですもの。
NANO1は、ディスプレイ右側にある+ -のズームボタンで拡大しながらピント合わせすることになりそうですよ。JPG撮って出しの画質は最悪ですが、RAW→DNGで処理すると普通になります。動画で記録してスタックするとそこそこいけます。私はお月さまでしか試していませんが。
確かに、用途は限られますね。タイムラプス用途でも楽しめそうな気がしますが、ファインダーも試さなければ!
漢ですねぇ~
にゃあ△
けむけむさん、こういう小物の出費ってボディーブローのように効いてくるんですよね。一点豪華主義の方がトータルの出費が少なくてすむかもしれないです。一点豪華主義で行って、小物買ってれば意味ないですが(笑)
Amazon で1000円くらいのモノを気軽にバンバン買ってたら、ん万円になってて、おしっこチビリそうになった事あります…
けむけむさん、まさにそんな状態です(汗)安物の一気買いをしたほうが精神衛生上いいかもしれないとさえ思えてきました。
VixenやBORGの中古をちょこちょこ買っていますが、
今までに掛けたお金を考えると、タカハシのイイ物を買えた気がします。
でも、一気にお金を使えるわけでもないので、仕方ないです。
「買う楽しみ」もありますから!(言い訳)
せろおさん、「買う楽しみ」。これですよ。これ。ちょこちょこと買い足して行きたいんですよね。戦線が拡大すると、ちょこっと買いが指数的に増えていって、私もタカハシが買えているような気がします(汗)