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初心者はポラリエでオートガイドを使うのか

ビクセンさんが「AG(オートガイド)が使える『ポラリエ改』を試作中」という話を‏天文リフレクションズさん経由で知ったよ。ビクセンの社長さんが「初心者がポラリエでAG使うのかが知りたいです」とツイートしてらっしゃるので、にゃあの意見を書いてみる。

にゃあはポラリエから天体写真の世界に入ったんだけど、初心者はオートガイドを使わないと思うよ。だって、ガイド鏡、ガイドカメラ、ノートパソコンを揃えて、PHD2の設定もするのでしょう? その時点で初心者じゃないと思うもの。

ただね、「AGポラリエ」が「ポラリエ」のステップアップ機になれるのか? というアプローチで考えてみると、なにかが見えてきそうな気がするよ。初心者と言っても、ある程度、ポラリエの撮影にも慣れて、星像や焦点距離にこだわりが出てきたフェーズの初心者かな。

基板上にAG端子があるのは知らなかったけど、あるのならアップグレードってできないのかしら? 二台目をあえて買おうという気は起こらないけど、アップグレードができるようなら、お遊びでお願いするかもしれない。

それはさておき、オートガイドが欲しいってことは、135mm程度までの広角レンズだけじゃなくて、200mm以上のカメラレンズやBORG 55FLみたいな天体望遠鏡に興味を持ち始めてると思うんだ。そうなると、ドイツ式にできるステップアップキットの購入も視野に入ってくると思うんだ。

「ステップアップキットなしのAGポラリエだけ」という運用は、ないわけではないと思うけど、ガイド鏡、ガイドカメラ、ノートパソコンを揃えてドイツ式にしないのは中途半端な気がするよ。

その前提で話を進めるよ。ステップアップキットの価格は、実売57,000円。ステップアップキットとポラリエ本体(実売37000円)で、すでに94,000円の出費が確定していることになる。一軸ガイドに対応した「AP星空雲台」が実売105,000円なので、アップグレードが1万円で収まれば「ポラリエにしてよかったな」と思えるかも。多少、足がでても、出費が少なくて済んだなって。これはこれで有りだと思うよ。ただし、ビクセンの製品のなかだけで考えればの話ね。

手持ちの機材が一切なくて、イチから揃える場合を考えてみるよ。一軸ガイドという機能だけでみると、一軸ガイドができる「スカイメモS」が実売3万2000円(極軸望遠鏡付き)。しかも、スカイメモは比較的安価にドイツ式にできるよね。ざっと3万円追加の計6万円くらい?

仮にポラリエ+ステップアップキット+AG改造が105,000円で収まったとしても価格差は4万円もある。いずれオートガイドが必要になるんだったら「はじめからスカイメモでいいんじゃない?」ってなる。

この4万円の差を埋めるポラリエの優位ってなんだろう? それこそ初心者には分かりづらいので、差別化できるのはブランド力なんだろうか? 私がポラリエを選んだのは、ダイヤルがいかめしいスカイメモより扱いやすいイメージがあったからかな。いや、単に情弱だっただけだ。

撮影に慣れてきたら、スカイメモも含め搭載重量2kgとか3kgクラスのポタ赤にオートガイドなんていらないと思うのかもしれない(SWATは搭載重量15kg、ホントに?)。ポタ赤でできることがだいたい分かってくるから。オートガイドが欲しくなったら、ポラリエはそのままサブににして、「次に行こう」ってポタ赤以外の機材購入を考えるんじゃないかな。機材のステップアップってこういうことだと思う。

以下、要望。ビクセンさんの製品は大好きなんだけど、価格面や機能面においてステップアップしにくいよ。これはずっとそう思ってる。ポラリエの購入者は、「赤道儀としてポータブル」だから買うのだとは限らなくて、「赤道儀を買うと高いから」って理由もあるんだ。前者が理由ならSWATが視野に入ってくるはず。

で、ビクセン製品だけでステップアップしようと思うとどうなるか。

小型の赤道儀が欲しいと思ったら、AP赤道儀WMが選択肢に入る(最低でもSM)。でもさ、WM本体だけで14万円もするし、しかも三脚は別売。この時点でコストパフォーマンスの高いセレストロンAdvanced VXやSky Watcher EQ5に流れちゃう。しかも自動導入までできてしまうもの。

あるいは「次はSX2でどうぞ。お代は18万円。三脚別、自動導入なしです」では、初心者を卒業しそうなポラリエユーザーに(価格・機能ともに)訴求しないと思うんだよ。AP赤道儀WMを三脚セットにして、がんばって自動導入を開発して、がんばって価格を10万円にまで抑えたとしても、搭載重量面でAVXの方が有利。ここまで価格を抑えて、はじめて可搬性か搭載重量かの議論ができる。あるいはAPフォトガイダーが8万円までで欲しい。

ビクセンはモノはいいけど、初心者ユーザー(概して財布に対してまだ厳しい)をマニア(沼にハマる人)に育て上げる一貫したラインアップがない。

もしAGポラリエを出すのだったら、AGポラリエを現行の後継機にし、さらに値段据え置きで普通じゃないかなあ。AGポラリエはポラリエのステップアップ機にはならないから。

だから、AVXに対して価格競争力のある製品を出して欲しいよ。ビクセン製品だけで次にステップアップできる製品のラインアップを作ることのほうが、長い目でみて企業として大事な気がする。

そんなわけだから、ポラリエユーザーだった私の最初の望遠鏡は、架台がセレストロン、鏡筒がビクセンに落ち着いてしまったんだ。次に買う架台? 同じ高いなら、「ロスマンディーが欲しい」とか言ってみる(笑)

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この記事へのコメント

  1. 個人的には、普通の使い方(PoleMasterやドリフト法などは無し)では、赤道儀のピリオディックモーションよりも極軸設定の誤差に伴うズレの方が大きいと考えてます。
    だから、オートガイドするなら1軸ではなくて2軸でやりたい。

    というわけで、多分私はスカイメモSでもオートガイドはやらないかなぁ・・・。
    せっかくのポタ赤なので、ノータッチガイドでお気軽撮影したいです♪

    あ、でもポラリエの魔改造で1軸オートガイド可能にできたら『それ自体』が魅力的かも・・・(笑)

    • あぷらなーとさん、ポタ赤はポタ赤らしくだと思うようになって、ドイツ式のパーツも取り払おうかと思うことがあります。といいつつ、気づいたらあとマルチ雲台ベースとプレートを買ったら、純正のドイツ式になってしまうところまで来てしまいました(情弱、思う壺)。ポラリエの魔改造には興味ありますよ〜。メカニカルPECはさすがにできそうもありませんが(笑)

  2. オヤジも、ビクセンのこれと、ケンコーのスカイメモSありますが、不注意で腕とか足が三脚、鏡筒に当たると、思い切りポタ赤が動きますよね。
    あれで、使う事が無くなりました。(汗)
    矢張り、足元は重量があった方が良いのでしょうけど。
    でも、にゃあさんのポタ赤への熱き想いが伝わってきますよ。

    • オヤジさん、特にまじめに極軸を合わせていたらショックですよね。首かっくんしても動くことがあってショックです(笑)軽量機材は根を詰めて扱うよりも、気分軽めで扱うのが良いですよね。私はちっちゃいものクラブ会員なので、「こんなにちっこいのに、こんなこともできるんだぜー」というお笑い製品も好きです。ナノ・トラッカーなんて改造が楽しそうで、実用とは別に気になっています(笑)

  3. 私的には ボラリエにオートガイド 初めての人対象なら不要だと思うなぁ。
    それで売価アップする位なら標準で極望付けろよ!っ感じ???

    オートガイドって事は中望遠使って星雲なり銀河なりを撮りたいって事ですよね。
    オートガイドする為のオプションバーツ揃える位ならコスパ&使い勝手考えても大陸製小型自動導入機検討すべきかなぁ。

    仰る様に「こんなにちっこいのに、こんなこともできるんだぜー」って所に魅力を感じる沼住民なら有りかも。(*^^)v

    本来の初めての人にはコスパが大事。メーカーが其処らへんを見誤っているから
    初めての人にポタ赤オートガイドなんて本末転倒な発想になる様な気がします。

    • moritoさん、おっしゃるとおりでビギナーはコスパが大事ですよね。この道にさらに踏み込んでいいものかどうか迷っているわけですから。中間がなくていきなり高価な製品の選択を迫られると、この世界は金がかかるから辞めるって話になってしまうともったいないです。

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