ポラリエからのステップアップ機材として、AP赤道儀について少し書いておく

先日手に入れたビクセンのAP赤道儀は、いろんな意味で議論のある製品です。以前、紹介しましたが、この赤道儀の評価についてはHIROPONさんが書いていらっしゃるとおりだと思います。『とにかく「価格が高い」の一言に尽きる』ということです。

AP赤道儀発表 – 星のつぶやき
http://d.hatena.ne.jp/hp2/20141031/1414764501

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今回入手したのは、DEC側がモーター駆動になったAP-SMマウント(新品価格:約12万円)の中古品です。私自身、この子が来てからベランダ観望の回数が増え、大変気に入ってはいるのですが、主にポラリエからのステップアップ機材として入手を検討されている方を想定して、少しだけ書いておくことにしました。なぜなら、私なりの感じでは、値段も機能も「ポラリエの親玉」と言った印象を受けたからです。それに私もポラリエから星空の世界に興味を持ちましたので、参考になればと。

以下、個人の感想であり、商品の効能を保証するものではありません(笑)

重さ
使ってみて思うのは、お気軽だということです。三脚、ウエイト、本体合わせても8kgくらい。部屋の片隅に立てておいたAP赤道儀と三脚を両手で持ち上げてベランダに置く。これができるメリットは大きいです。ほかの大きな赤道儀だとそうはいきませんね。Advanced-VXは、ウエイトと三脚で20kgになるかな。ウエイトだけで5kgあるしね。重いし、大きいし、これをリビングに置きっぱなしにしてると「そんなのさっさと片付けてよ!」と怒られそうです。
AP赤道儀本体:3.9kg(ウエイトは1〜2kg、純正三脚は3kg)
ポラリエ本体:0.74kg(ウエイト不要、三脚は純正品が1.7kg)

極軸
極軸はポラリエ用のポーラーメーターが使えるので、ざっくりと北をとることができます。再利用?ができるのは嬉しいところですね。実際、まだ差し込んでないですが、ポラリエ用の極軸望遠鏡は使えないみたい。もったいない。個人の感想ですが、ポーラーメーターはともかく、極軸望遠鏡を買うくらいならQHYCCD PoleMasterを買ったほうがいいと思います。
星野写真を撮りたいと思ったら、極軸をできるだけ正確に合わせないといけないですよね。ポラリエの場合は極軸微動雲台が必要になります。専用のビクセンオプション品で1万4000円くらい。

そもそもポラリエのような広角・星景写真を意識した機材なら、極軸はアバウトでいいじゃないかという議論もあります。

オートガイド
AP赤道儀のSMマウントの場合、一軸ですがオートガイドが可能です。赤緯側にモーターを付けると二軸でオートガイドが可能になります(プラス3万2000円)。対して、ポラリエはオートガイドに対応していません。
オートガイドがあるにこしたことはないけど、小型の赤道儀だし、二軸でないかぎり、オートガイドにこだわらなくていいのじゃないかな。オートガイドの有無だけでポラリエを卒業するのはもったいない気がする。Polemasterで極軸をとるというのは有りな判断と思いますよ。

電源
AP赤道儀は、パワータンクのようなでっかい12V電源を必要としません。USBで給電できるので、私の場合は、普段使いしている6000mAhのモバイルバッテリーで稼働しています(乾電池4本でも使えますが、取り替えるのが面倒なので)。3時間使って20%の減りだったので、一晩くらいいけるんじゃないかな? 撮影用のPCのバッテリーの方が先になくなりそうです。ここはポラリエゆずりですよね。

搭載可能重量
搭載可能重量は、AP赤道儀が約6kg。対してポラリエが約2.0kg。無改造のポラリエはスペック的にはカメラとカメラレンズ以上を搭載できません。ちょっとがんばって、純正オプションとか社外品をつけて、搭載可能重量を増していくこともできます。ただ、さらにお金がかかることになります。

ポラリエ本体3万5000円
ポラリエ用マルチ雲台ベースが約14,000円
スライド雲台プレートDDが約10,000円


こんなセットもある。

私のポラリエの場合、テレスコ工作工房さんのPCB-EQで強化しましたが、それでも約3.0kgのセレストロンC5を載せたら、厳しいラインにきてしまい、ギブアップしました。

搭載の仕方も違ってきます。ポラリエは1/4ネジの自由雲台にカメラを載せますが、AP赤道儀の場合はアリガタ・アリミゾ式がデフォルトになります。

搭載する機材が軽ければ、ポラリエで十分だとも言えます。本体が軽い分だけ、ポラリエの方に部がありますね。オプション品を増設して頑張れるのならば、それでOK。純正オプションなら6kgまでいけるらしいです。C5が載るかどうかはやったことがありません。

天体導入
目に見える天体の場合は、良いのだけれど、見えない場合は星図を頼りに導入することになると思います。AP赤道儀には目盛環さえついていません。これはポラリエも同じですね。ポラリエでアンドロメダ銀河を導入するのに、どれだけ失敗したことか(泣)

AP赤道儀は、フリーストップ式です。天体を導入する際、赤経側も赤緯側も言ってみればフリーハンドで動かすことができて、目的の位置でピタリと止めることができます。フリーストップは楽ちんです。ポラリエは自由雲台を緩めて天体を導入しますよね。緩めたとたんに首がカックンと折れる状態になりがち。AP赤道儀の方が動きがスムースで使いやすいという印象を持っています。ここはAP赤道儀がGOOD!

加えて微動ツマミが使いやすいです(赤緯側)。赤経側はコントローラーのボタンで動きますが、赤緯側のツマミ式の方が手の感覚が直接伝わるので違和感がありません。モーターにしちゃうとこの微動ツマミがなくなってしまうんですが、もったいない。

およそ300mmを超える長焦点になると、ファインダーは必須。天体導入が難しくなってきますよね。このあたりが、ファインダーのないカメラレンズ中心のポラリエを卒業するかどうかの一つの判断でしょうかね(工夫しだいでなんとでもなりますが)。

私はポラリエでカメラレンズ800mmまで頑張りましたが、ファインダーがないと木星一つ捉えるのにえらい時間がかかりました。AP赤道儀にしてからはファインダー付きの望遠鏡が載せられるようになったことで、2500mmでも、目に見えれば星を難なく捉えられています。当たり前だけど、このビフォーアフター感は感激です。ファインダーすげー(笑)

ポラリエもAP赤道儀も基本的に、天の川のような広い場所や、目に見える惑星や月以外の導入は、相当難しいんじゃないでしょうか。ここはね、覚悟してます。勉強する。それでも自由雲台のポラリエよりはずーっと操作が楽ですよ。

ポラリエをAP赤道儀に近づけるためのオプション品
話再びですが、純正オプション品でポラリエを強化するのは一つの選択肢。必ずしもAP赤道儀でないといけない理由はないです。

ポラリエ用マルチ雲台ベース 約14,000円
スライド雲台プレートDD 約10,000円
極軸微動雲台 約1万4000円
計38,000円

ポラリエ本体と合わせて7万2000円くらいかな(極軸望遠鏡は含まない)。そうするとほぼドンピシャでAP赤道儀のモーターなしモデルが同じ値段で買えるようになってきますよ。

ただ、モーターがないというのは撮影にとって致命的です。赤経側のモーターが必要になります。「じゃあ買い足せばいいじゃないか! さすがモジュール式!」と価格を見ると約5万5000円……。

AP赤道儀やっぱ、たけーよ。
ポラリエからステップアップをご検討の方は、Advanced-VXとか海外製の安い赤道儀の方がいいと思います。でもね、サブとしては、これ使いやすいですよ〜。

『ポラリエからのステップアップ機材として、AP赤道儀について少し書いておく』へのコメント

  1. 名前:オヤジ 投稿日:2017/06/02(金) 08:21:03 ID:0fd7251d1 返信

    このページ、購入を迷ってられる方には、非常に参考になりますね。
    オヤジは、モーター二個タイプを某ネットショップさんで送信ボタンを押した後、自動導入が出来ないことが解り、電話でキャンセルしました。
    ビクセンの赤道儀って、コントローラーがセットなので、疑いもせず自動導入可とか、思ってました。
    残念ですけど、星図の知識が全くないので(爆)AVXは重宝してます。
    手に入れられて、空を見る回数が増えたとの事、良かったですね。C5とのバランスも良さそうです。

  2. 名前:HIROPON 投稿日:2017/06/02(金) 21:22:19 ID:370f97d40 返信

    実際に使ってみての感想、大変参考になります。
    AP赤道儀は、まさしく仰る通り「ポラリエの親玉」なんですよね。必ずしも悪い器械じゃないんですが、さもGP2系の後継のような形で「Advanced Polaris」の名前を冠されてしまったのが一番の不幸かもしれません(「Advanced Polarie」にしておけばよかったのに)。にゃあさんのように、製品の位置づけを正しく理解して買ってくれる人ばかりならいいんですが……。
    数日前には「AP星空雲台」が発表されましたが、こちらも定価128000円とかなり強気の価格設定。もろもろ積み上げれば、価格は確かにそうなるんですが……かなり二の足を踏まれそうな気がします。ポラリエのステップアップキットとカニバリゼーションを起こしそうな予感も……(^^;

  3. 名前:にゃあ 投稿日:2017/06/03(土) 01:28:06 ID:a267c7915 返信

    オヤジさん、まさか注文&キャンセルされていたとは! コントローラーが付いていたら自動導入じゃないかと思ってしまいますよね。AVXは便利ですよ。私はベランダ用に惑星専用と割り切っているので、目に見える天体しか見ませんけど、見えない天体は200mm(当てずっぽうが当たる範囲)くらいまででないと無理じゃないかというのが実感です。Plate Salvingやればなんとかなるかなあって感じです。C5とAP赤道儀の相性は悪くないですよ〜

  4. 名前:にゃあ 投稿日:2017/06/03(土) 01:43:12 ID:a267c7915 返信

    HIROPONさん、コメントありがとうございます。「Advanced Polaris」じゃなくて「Advanced Polarie」にしておけばというのは言い得て妙だと思いました。ポラリエ強化版とAP星空雲台とAPフォトガイダーの違いが分かりません(笑)どれも特筆すべき性能差はないような気がします……。ちょっと関心を持ってみてみることにします。

  5. 名前:オヤジ 投稿日:2018/02/05(月) 19:25:24 ID:98d4aaecb 返信

    またまた、昨年の記事を拝見してました。
    そうか、にゃあさんは、赤道儀から北極星が見えないんでしたか?。
    中々、物が届かないので、AP赤道儀にPoleMasterを取り付ける方法を検討してます。
    市内の高校の時の同期が、AP赤道儀をセットしたから見に来て。
    とのことで、今帰りました。
    コントローラーで微動で合わせるのは、結構、使えますね。
    で、PoleMaster取り付け場所を二人で検討しましたが、場所は、2か所。
    どちらかにします。(ドリルで本体に穴開(爆)が良さそう)(笑)

  6. 名前:にゃあ 投稿日:2018/02/06(火) 00:00:15 ID:fa8122a21 返信

    オヤジさん、確かに、自宅ベランダからは北極星が見えないのですが、遠征用に極軸望遠鏡を導入しようかと思っています。あとはオートガイドすればいいかなと。放置プレーするにもある程度は精度でないといけないので。あ、そうだ。AP赤道儀にPolemasterを付けるステーは売り出されていますよ。こんなやつ
    http://www.kyoei-tokyo.jp/shopdetail/000000007203/
    オヤジさんは器用なので穴あけでもいいと思います。私がやるとぱっくり割れそうです(汗)

  7. 名前:オヤジ 投稿日:2018/02/06(火) 06:29:00 ID:ed1862579 返信

    先日撮ったりグルグル写真でも、あっち向いてホイ状態、初めての場所は極軸合わせは、面倒ですね。
    そのURL、見たことあります。
    けど、あのプレートと赤い輪っかで、一万円越えますよね。(笑)
    昨夜も、西風強風でFS60CBでも、揺れるような風で降参しました。(汗)