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Cygnus Wall

α99で赤外線が写るかというタスクとは別に、今回の遠征のもうひとつのタスクは、Hαによる撮影でした。LRGB撮影と並んでHαによるモノクロ撮影は、SAO合成に向けた練習だと思っているので、冷却CMOS「ASI1600 MM-COOL」で写すためのゲインやオートガイド動作の確認をしておきたかったんです。被写体は、α99で狙ったのと同じ北アメリカ星雲(NGC7000)としました。
ED81Sii.jpg
9月30日の正午月齢は9.9。日没が過ぎても、月が明るく、自分の影が地面に見えました。月の入りは午前零時近くということでした。月明かりに強いというナローバンドなので、実際、月明かりがあっても写るかどうか知りたかったので、月明かりはあまり気にしないようにしました。
撮影に取り掛かったのは午後7時半過ぎ。鏡筒は使い慣れたED81SIIと笠井トレーディングの0.6xレデューサー。設定はゲイン300、一枚3分。オートガイドにM-GENを使いました。センサー温度は零下15度。撮影枚数を60枚(=3時間)に設定して放置します。
あとはα99の設定を済ませ、本を読んだり、amazonプライムで蒼き流星SPTレイズナー(なぜ第二部は北斗の拳なのか?)を見たり。2時間ばかりして望遠鏡の様子を見に行ったら、星が円の軌跡を描いていました。なんでじゃ?と思ったら、カメラが三脚につっかえて、動かなくなってた……。長時間撮影する場合は、鏡筒が架台に干渉しないか確認しないといけないのですね。勉強になりました(機材が壊れてなくてよかった)。
結果、1時間分くらいのコマは無駄になり、撮れたのは25枚でした。3分のオートガイドは決まっていて、安心しました。これらをコンポジット後、レベル調整をしただけで、大阪のオバチャンが浮き上がってくれました。モノクロはモノクロで迫力ありますねぇ。新月で同じ時間をかけて撮ったことがないので分かりませんが、月明かりの影響はないように見えました。
cygnus wall 2.jpg
こんな写真が撮ってみたかったのですよ。だいぶトリミングしたのですが、オバチャンの顎の部分です。英語でCygnus Wallと呼ばれている場所です(日本語訳が見つからなかったけど、なんて呼ぶんだろう)Nik CollectionのSilver Efex で効果を適用してみました。いまにも大雨が降って来そうで、胸騒ぎのする不安な感じがいいです。
ただ、レデューサーとの相性なんでしょうか? 端の方の星が同心円状に流れているのが気になりました。SDレデューサーHDキットを試したくなっちゃう。収差の一種ですよね? サイデルのナントカとかを勉強しなきゃです。トリミングなしだとこんな感じです。
ngc7000_alpha
■撮影データ
・撮影日:2017年9月30日
・鏡筒:ED81SII (D=81mm, fl=625mm, F7.7)
・補正光学系:笠井レデューサー 0.6x (fl=375mm, f/4.6)
・カメラ:ASI 1600 MC-COOL (-15℃)
・ガイド:M-GEN
・赤道儀:Advanced VX
・露出:総露出時間75分(Ha 7nm / 3min×25)
電動ホイールは入手済みだから、あとはOIIIとSIIのフィルターが欲しい…。

この記事へのコメント

  1. うわあ!これは凄い。
    ナローバンドの威力爆発ですね。
    ああ、私もこんなの撮ってみたい!
    ビクセンED81はたしかフローライト級の良いガラスを積んでいたはずなので、新型レデューサを併用するとBORG89EDを超える写りになりそうな予感がします。
    そういえばZWOからASI1600MMの「プロ」バージョンが新発売されるらしいですが、何が変わるんでしょうねぇ??

  2. あぷらなーとさん、ありがとうございます!「BORG 89EDを超える写り」ですかっ!
    >BORG89ED望遠レンズセットCH 176,800円
    に対して
    >SD改造 3,500円 オーバーホール4,800円 SDレデューサーHDキット ¥60,350
    ぽぽ、ぽちっ???
    ASI1600MMのプロバージョン、初めて知りました。なんでしょう? ホイール内蔵型も出るみたいなので、それ以外といえば、ヒーターを内蔵するくらいしか思いつきません!

  3. あ、同じ日に同じあたりを東京でHα撮影していました。
    ただし自分は焦点距離の選択や架台の設置場所で失敗気味。
    これは広々として良いですね!

  4. 一等星による1秒露出&最高ゲインでピント合わせという、cockatooさんに教えていただいた技が生きてます。ありがとうございます! そのうち、東京で北アメリカ星雲を撮りたいと思ってますが、シーズン逃したら、次はM42 かバラ星雲でしょうか。ゆるゆると気合入れます(笑)

  5. でっかい月がいて、こんなに写るんですか?
    これはすごい…

  6. オヤジのフィルターは12nmですが、少しお月様の影響を受けているようです。
    流石に7nm、露出時間は長いですがインパクトの有る北アメリカです。
    L画像、これに合わせるRGB画像は幸せものですね。(笑)
    星の間延びですが、中心から四隅方向に伸びるのは見たことありますが、これは、中心から円形方向に伸びてますね。初めて見ました。

  7. けむけむさん、新月も満月も関係なく天体撮影が楽しめそうです。連休に満月期が当たっても、文句言わなくなりそうです。

  8. 12nmだと影響あるんですね。10nm辺りが使いやすいのかなと思っていたので、7nmにするかちょっと検討します。RGB画像、撮り忘れたんですよ。というか三脚にカメラが当たってしまったことで、RGBを撮る気が失せたというか(汗)星の伸びは、ほかの方のレビューを読むと笠井レデューサー0.8xの写り方のようです。レデューサーHDに行くかなぁ。

  9. 補正レンズは主鏡や撮像面との位置関係によって収差の出方がずいぶん変化するようです。
    古いBORGのレデューサなどでは、使用する鏡筒に最適化できるようにレンズの位置を可変にする機構が付いていました。
    それができない補正レンズでもスペーサーを入れて調整している事例がWeb上にいろいろありますね。ただしそれでも収差が完全になくなるというわけではないでしょうが。
    フィルターについて、半値幅の異なるフィルター(別の会社が販売している10nmと7nm)を二枚持っているのですが、写りに大きな差異は感じません。月や街の光もHα帯の光を発していますから、影響がないということはないですしね。(影響が少なくなるだけ)
    また、一概に半値幅だけでフィルターの特性は言い表せないような気もします。持っているフィルターでは、7nmのほうは帯域外?の漏れが大きいようです。(OIIIフィルターを通した白色LED光を、Hαフィルターをさらに重ねて目で見てみる(完全なものならば光は見えない) ということをしてみると、12nm品のほうがだいぶ暗かったです)
    製造による特性の違いがずいぶんあるのではないかと思います。

  10. cockatooさん、ご丁寧な解説をありがとうございます! これまでと今回で違うのは、望遠鏡とカメラの間にホイールを挟んだことなので、それで収差の出方が変わったのではないかと心当たりが出てきました。フィルターの件、おっしゃるように製造に依存し、10nmと7nmで変わらないようなら、安い10nmにしようかと思います。C11の写真、ヒゲ?の1本1本まで見える迫力がたまりません! 店頭でC11を持たせてもらいましたが、あんなに重いものをどうやって架台に載せられるのか不思議です(笑)

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