スティックPCのセットアップをしていて、「こんなにWindowsって使いにくかったっけ?」というくらい、とにかくストレスが溜まって作業を投げ出してしまった。買って後悔した品物の一つにカウントされるんじゃないかとも思った。でも、ネットを調べているうちに、ブログ「ほしぞLoveログ」のsamさんが使い込んでらっしゃるとの同じ機種だと判明。ちょっと光明が見えてきた。セットアップの苦労のその先にいいことが、きっとある。
スティックPCのストレス3要素
ラズパイ(Ekos/INDI)のセッティングにも苦労してきたんだが、仕組みを理解しながらパズルを解くような楽しみがある。スティックPCは、物理的に作業を中断させるようなストレスがある。たとえて言えば、「賽の河原の石積み」みたいなもんだ。
ストレスの原因は、下のとおりで、主に3つある。ストレスというのは仕事やふだんの生活もそうだけど、うまく付き合っていくのがコツ。気に食わない人がいても、殴ったりしないで適当にいなして距離をとるのと同じで、それぞれのストレスとの付き合い方がある。スティックPCを壊しちゃいけない。
1.ダウンロードが遅い・失敗する
ダウンロードが遅いし、中断して失敗する。たとえばASTAPを落とすのに、10回くらいダウンロードしなおしてもかなわなかった。Windows Updateに妨げられたというのもあるけれど、ハードのスペックにも原因があると思う。ダウンロードにかかる時間が永遠に思えてしまう。
別のWindowsマシンでダウンロードすることで乗り切った。ダウンロードしたファイルをあとでスティックPCに転送してインストール。回りくどいけれど、急がば回れ。
2.ひんぱんに再起動する
今回、リモートで接続していたこともあって画面が見えず、なぜセッションが切れるのか最初はよく分からなかった。スティックPCに限らないんだが、Windows Updateが原因だったみたい。初回のセットアップだということもあるんだけれど、とにかく、頻繁に再起動を繰り返す。最新版にアップデートされるのを待つと半日はかかるんじゃないかと思う。
Windowsが好きになれない機能のひとつなんだが、やりようはある。実生活でも嫌なやつと顔をあわせないようにするのと同じで、なるべく避ける。そのために、「アクティブ時間」を設定しておく。
[設定] -> [更新とセキュリティ] -> [アクティブ時間の変更]
私の場合、午前11時から午前5時をアクティブ時間にしたんだが、こうすることで任意の時間に自分で更新をかければ良いようになるはずだし、撮影にかかろうとしたときにUpdateされることないと思う。あとは、自動更新を無効化するという手もある。
3.動作がワンテンポ遅い
CPUもメモリもストレージも一昔のPCの性能なので、速いはずがないんだが、ウインドウを閉じるのにも時間がかかる。バックグラウンドで何か(Windows Updateのインストールとか)が動いていると、そうなってしまう。Windows Updateがひととおり済んだら、遅さを感じなくなった。どちらにしてもソフトウエアやウインドウを開きまくるような使い方はしないほうが吉。といっても、星図ソフト、撮像ソフト、ガイドソフトくらいは立ち上げっぱなしにしたい。
ログイン・立ち上がりが遅いと感じることもあるので、
[設定] -> [アプリ] -> [スタートアップ] で
Microsoft OneDriveをオフにした。(追記:アンイストールしました)
ひとまずインストールしたソフトウエア
あんまり欲張って入れると、ストレージの残りが少なくなるので、頻繁に使うソフトウエアだけに限定にしたい。ひとまず入れたのはこれら。あと、星図導入用のソフトを入れたいんだが、何がいいのか考え中。
- 撮影用ソフトウエア
- SharpCap
- APT
- PHD2
- ASTAP(G17)
- ドライバ
- ASCOM
- ZWO
- QHY
- ASCOM Driver for SynScan App
苦労のその先にあるもの
スティックPCに限らないんだが、ASI AIR PROやラズパイとか「ちっちゃいやつ」に拘る理由の一つは、電源だな。今、撮影用に使っているWindowsマシンは、外部電源を使わないと2時間もたずにバッテリーを使い果たしてしまう。モバイルバッテリーで一晩持ってくれれば嬉しい。メリットはこんな感じか。
- 使い慣れたソフトウェアが利用できる
- バッテリの持ちが劇的に向上する
- モバイルバッテリーで稼働する
- リモートで撮影できる
記録を見ると、最近はASI AIR PROで撮影していることが多い。12V電源1本でASI AIR PROと赤道儀に電源が供給できるし、モニター用の端末もiOSとかAndroidの端末なので、こちらのバッテリーを気にしなくて済む。ただ、QHYが使えないというのが玉に瑕。R200SS/ED81Sii, AVX, ASI1600/EOS Kissあたりで組み合わせるメインの望遠鏡はこれでいいかもと思ってる。
私の場合、サブの望遠鏡にラズパイを使うか、スティックPCを使うかが問題になる。どちらも5V3Aのモバイルバッテリーで稼働する。赤道儀用の電源は別に引っ張ってくる必要はあるけれど、モバイルバッテリーで一晩動いてくれるなら、さほど気にならないと思う。
WindowsのスティックPCがまともに動いたとき、あえてKStars(Ekos/INDI)を使う理由があるかどうか。どちらもWindowsノートで操作することになる可能性大(StellarMateに関してはタブレットでの操作の道も開けてくる)。KStarsの統合された環境は魅力だけれど、結局は好き好きになるのかな。遠征先ならネットワークまわりの相性も重要だな。
どちらにしても、選択肢があるのはいいことだというか、いろいろ違う環境をいじって、個性を観察しているのが楽しい。
この記事へのコメント
にゃあさん
・ご自身の天体機器が安定して使用できる環境が構築できるか
・運用での利便性(バッテリーの持ち、操作性など)が高い環境が構築できるか
天体機器制御の場合ほとんど複数機器をコントロールすることになります。
ご自身のお持ちの機器のドライバが能書き通りきちんと安定して動作する環境が第一ですよ。(複数機器の同時制御って、もうそれだけで複雑な操作です。。おまけに天体の場合画像や、映像の取り扱いが激重のRaw(FITS)ですし。。
OSに関してはWindowsの方が多機能で互換性が高い分、どうしてもLinuxよりメモリ、CPUを消費します。(実体験でLinuxの4倍くらいと感じています。MacもWindowsと同じくらいメモリ、CPUを消費しますね。)
INDI=UNIX系(TCP/IPを利用したサーバ・ドライバ)
ASCOM=Windows(シリアルを利用したサーバ・ドライバ)
それぞれサーバ・ドライバが動くOSが違いますし、サーバ・ドライバの設計や機能が異なるので、どの組み合わせが自分に適した環境になるかですね。。
スティックPCの場合、周辺機器を接続できる端子自体が少ないのでLan+USBハブだけは揃えておいたほうが良いですよ。(環境構築を無線で行うのは本当にやりづらいです。。。)
T-Studioさん、ありがとうございます。Lan+USBハブの部分、大丈夫です。有線でやってます。さすがにいきなり無線で挑む気力はありません(笑)
WindowsにしてもLinuxにしても、OSを気にしながらユーザーがセットアップしないといけないというのは、コンシューマ向けとしてまだまだ伸びしろがあるなという気はします。
その点、ASI AIR PROは考え抜かれてますね。OSが何かとか、CPUパワーがとかまったく気にしないで、テレビや一眼レフのように家電製品のように使えるのが素晴らしいです。それでも発展途上なのでしょうから、これからが楽しみです。
にゃあさん
実はこの部分って天体機器全般が抱えている問題だと思います。
自社の機器のスペックのみ注力して、それ以外の部分はオプション扱い。。
結果、アダプタ地獄、組み合わせの相性地獄などが待っています。
(ユーザーの方もマニアが多く、それが当たり前と感じている節があります)
その気になれば、SBCくらいのスペックでも充分に統合制御できる環境ができるわけですし、コンシュマーが使いやすい組み合わせを考慮してメーカーが機器を開発していれば天体の趣味に対する敷居が下がるのにな。。と感じています。(以前ブログでも記載しましたが。。)
そのへんのことを少し考え出してくれたのが、現状では中国の一部のメーカーですね。
日本のメーカーも頑張って欲しいなあ。。
ユーザーがそれを当たり前と感じているというのは大きいですね。個人でいうと、ほんまかさんは、かなり奮闘されていると思います。中国には、ほんまかさんみたいな方がたくさんいらっしゃるのでしょうね。単純に日本と中国を人口比で考えても、中国には10倍の才能がいるので、国内外を問わず才能を集めて活かす経営が大事なんですけどね。
スティックPC・・・買ったけど使っていない物の一つです。
いっそモバイルPCをウェイト代わりにぶら下げてみるのはどうでしょうか?なんて。
初代GPD Winは充電しながらは使えませんしねぇ。
私が発注中のGPD Win Maxはいつ届くかわかりません。
しばらくいじっているとWiFiが不安定ですし、使わないモノに入りそうな予感がします。気合入れて使い物にするくらいの情熱は、いまはないですねぇ。スティックPCは軽すぎて文鎮にもならないという……。
初代GPD Winはゲーム機らしく、ゲーム機になりました。たまに遊んでます。気づいたら放電されていて遊べないのですけどね(笑)
私もPCで悩んでます。
天体用のジャンク級ノートPCが不安定で、毎回Winupdateに蹂躙されるので、にゃあさんのスティックPCとの格闘記録を見て設定を見直してみようと思います。大変参考になりました。
ネット情報で凶悪WinupdateがdiskI/Oを100%占有する現象が報告されてて、Winupdateの起動を監視してキャンセルするようなフリーソフトもあるようなので試してみようとも思ってます。
Windows Updateは本当に凶悪ですね! 世界中の生産性をこれ一つでかなり落としているのではないかと思います。私の拙い格闘記録が参考になれば幸いですm(_ _)m
こんばんは、ほしぞloveログのSamです。名前が出てたので、いくつかコメントさせて下さい。
そうやって言われると、いろいろ細かいところで気を遣ってることがあるのに気づきます。いくつかは記事に載せてますが、いくつかは記事にしていないです。例えば、
* 前回のページの写真のようなファンを塞ぐかもしれない取り付け方はしない。温度上昇にかなり弱いです。裏表ひっくり返したほうがいいと思います。
* 電源を安定なものにする。普通のUSBバッテリーは多分ダメ。電流が出せるものをきちんとテストしてから本番に使う。
* 追加のMicroSDは出来る限り速いものを使う。特に書き込みが速いもの。ここはケチらない。
* SDカードの容量は余裕を持って大きなものを。私はとりあえず128GB。
* 大きなソフトは全てDドライブにインストール。
* CMOSカメラなどUSB3.0を使っている場合2.4GHzのネットワークが不安定になることがあるので、繋ぐ先は5GHz限定にする。
* もしくは、USB3.0を使用せず、ケーブルなどでUSB2.0に固定。
* 外部でつかうWi-Fiは特に不安定になるので、別途安定な小型Wi-Fiルータを用意。これもあらかじめ十分なテストを。
* IPアドレスはMACアドレスを見て固定アドレスを配布するように、ルーター側で設定。
* 自宅ルータと自分で持っていった外部ルータ以外には絶対につながらないようにしておく。ネットワーク情報をそれら以外全て削除しておく。
* ファイアーウォール系も最低限だけにし、出来るだけオフに近い状態で。
* ログインプロセスもスキップするようにしておく。
* 基本的に撮影以外には使わない。
* スタートアップで動くようになっているものは基本全て止める。
* テスト撮影をして、撮影状態で使用メモリ量を確認し、重いソフトをチェックする。
* メモリが4GBしかないので、使って重いソフトは切り捨てる、もしくは限定して使う。例えばSharpCapの3.3以降は怪しそう。
* アップデートは出来る限り止める、もしくは撮影時間以外とかに時間を制限する。
* リソースが限られた環境なのは仕方ないので、凝ったことはしない。機能よりは安定性を重視。
* 自宅でできる限りテストし、遠征先では動いた実績のあるものしか使わない。
* どれだけ準備しようが、いざと言う時のために外部モニターとキーボード、マウスは小さいものでいいので必ず用意しておく。
くらいでしょうか。思いついた限り全部書きましたが、まだあるかもしれません。こういった細かい安定性に関わることは、あまり大っぴらには言われないことが多いのですが、多分気を使ってる人は気を使ってると思います。こういったことをやっているからかどうかはわかりませんが、少なくとも私のところは安定に動いています。ASIAIRにいまだに手を出していないのですが、やはりソフトの柔軟性がWindwosには勝てないからでしょうか。同じ理由で、撮影にMacはやはり使いません。
Linuxの人がWindowsを嫌う理由もわかりますし、Windwsの人がLinuxを嫌う理由もわかります。文化が違うのでまあ仕方ないかと。私は節操がないので、どちらも全く気にせず使います。
長いコメントになってしまい、申し訳ありません。
Samさん、丁寧で詳しいコメントをいただき、ありがとうございます! チェックポイントとしてそのまま使えそうです。ぜひ、参考にさせていただきます!
特に付属のACアダプタを使っているときと使っていないときで、現象を切り分けて見てこなかったので、細かくみてみることにします。
しかし、5V3A出力をうたっているモバイルバッテリーが使えないとなると、スティックPCを使う理由が私のなかで消滅してしまって、遠征先での出番はほぼなしになりそうです。AC電源があれば、細かいことに気を遣わずにすむノートPCを使えばいいので、この点はクリティカルですね。バッテリー選び最優先!
ラズパイかASI AIR PROかWindowsかの話は、WindowsかMacかの宗教論争以上に、使い勝手がそれぞれ大きく違いますし、特に初心者がプロダクトを手にするときのハードルの高さがまったく違いますよね。
天体の写真を撮りたいなと初めて思った人たちが、OSやソフトウエアの設定に詳しくなくても、使えてしまうというのが私の理想です。そういう意味では、“天文業界”はスマホ時代にまだ追いついていないという気がします。
節操のなさで言うと、私はその典型ですね。スミマセン(笑)
ありがとうございました!
Samさんのコメントを拝見させていただき、環境は違えどディストリビューション構築前に整えておく部分など似た部分があるなと感じました。
その意味ではユーザーサイドがここまで気を使わないと安定しない、もしくは試したみないことには使えるかがわからないといった現状が、やはり敷居を高くしている要因とも感じます。
にゃあさんが仰るようにOSやソフトウエアの設定に詳しくなくても、使えてしまうというパッケージは裾野を広げるためには必要な部分かと思います。
私自身もOSなどには全くこだわりはありませんので、どの環境でも良いのでそういった提案性のある環境が天文界からも出てきてほしいなと感じています。
(個々に見ると非常に提案性のある面白い機能や取り組みは多数あるのですが、それらをまとめて使う場合(まとめて初めて利便性が上がるので)のユーザビリティの部分が追いついていないように感じます。)
ASIAirPROやステラショット2が現状では少しだけ踏み込んだ取り組みをしているかもしれませんが、これから始める方に訴求するにはもっと敷居が下げる取り組みを進めてほしいです。
常日頃感じている部分だったので長文になってしまい失礼しました。
個人的には裾野がもっと広がってほしいなと考えています。
(じゃないと、開発もされないので。。。)
スティックPC先人の方がいて心強くなってきたね。
>その先にいいことが、きっとある。
いい言葉だ。座右の銘にしよっと。^^
嫌だと思っておいらを避けて通ろうとしてもだめだよ。
^^ ←Windows Updateみたいな奴だから
やっぱり先人がいらっしゃるのと、いないのとでは大違いです。安心して前に進めますし、撤退ポイントも適切に設定できますし。
しかし、是空さんて、Windows Updateみたいな方だったんですか!(笑)
無効化! 無効化! あれ、効かない😨
冗談ですよ! 毎度コメントを楽しみにしています〜
「冗談ですよ!」はいらない、完全肯定してほしかった。
^^ ネッ ヒネクレテルデショ?
Windows Update みたいです!(笑)