Nubia Z30 Proという「星空に強いスマートフォン」が5月25日に中国で発売されるそう。端末紹介を読む限り、この端末の星空機能、いろんな意味でびっくりだよ。以下、私は中国語が堪能なわけでもないし、実機を触ったわけではないので、ここに書くことがどこまで正確なのか分からないという点は割り引いて読んでね。
携帯電話の位置と向きの情報を正確に計算
Nubia Z30 Proの発売情報を知ったのは、すまほんさんの記事。「NEOVISION 10」という天体撮影システムを搭載しているということ、そしてこれは「中国科学院国家天文台とNubiaが共同開発した独自技術で、携帯電話の位置と向きの情報を正確に計算し、星のビッグデータと組み合わせて、美しい天体写真を生成」すると書いてあった。
これだけと、何ができるかよく理解できなかったので、公式サイトやらYouTubeのレビュー動画なんかを漁っているうちに、全体像がなんとなく分かってきた。これはすごい!
Nubia Z30 Proはカメラも充実したハイエンド端末
まず、Nubia Z30 Proは、中国ZTEの関連会社であるNubia社が開発。Nubia社は、日本ではそこそこ、ハイスペックゲーミングスマホを作っているメーカーとして知られているかもしれない。Z30 Proの特徴は、SoCにSnapdragon 888を搭載し、リフレッシュレートは144Hz。120Wで15分でフルチャージするとか、ハイエンド端末なところ。
これに加えて、レンズは四眼構成で、6400万画素のメイン(広角)、6400万画素の超広角、
6400万画素のポートレート、800万画素のペリスコープ望遠レンズを搭載している。ペリスコープレンズってのは、ミラーだかプリズムだかで光を90度曲げて、潜望鏡みたいな構造にして焦点距離を稼ぐタイプのレンズ。ペリスコープ型は、最近みかけるようになってきたよね。
ハード面もすごいんだけど、もっとすごいのはソフトウエア面なんだ。天体写真と一言でいっても、主に星景とDSOに分かれるよね。DSOがスマホで撮れるとは思わないけれど、スマホギョーカイでは、星景に関してここ数年でものすごい進歩を遂げてきた。暗所に強いセンサーが普及したということもあるし、Google Pixelのようにコンポジットしちゃう技を駆使する工夫も出てきた。
NEOVISION 10は誰でも星の軌跡が撮影できる
私が理解する限り、天体撮影システム「NEOVISION 10」ってのは、星景を意識したテクノロジーで、おそらくスタートレイルに特化した機能なんだ。
スタートレイルってのは、みなさんご存知の星の光を軌跡として記録する写真のこと。この軌跡を撮ろうとすると、三脚がいるじゃない? そして、三脚に固定して数分とか数十分待たないといけない。多少ながらも、機材と忍耐を必要とする写真なので、そこにスタートレイルの価値があったりする。
「NEOVISION 10」は、こうした苦労をなくしてしまう画期的な技術なんだよ。たった数秒で撮影できてしまう恐ろしく大胆な発想なんだ。それを主張するようにNubia Z30 Proの公式サイトには「星が撮れるスマートフォン」「誰でもすぐに星の写真が撮れる」と中国語で書いてある。
「NEOVISION 10」に関する説明はこんなだ。「スタートレイル機能は、従来のスタートレイルモードを維持しながら、新しいセカンドスタートレイルモードを起動します。従来のスタートラック撮影のプロ仕様の機器、天候、時間、その他の制限を取り除き、数時間の長時間露光を待つ必要がなく、スタートラックを即座に記録します」。
しかし、どんな仕組みなんだ?
「セカンドスタートレイルモード」てのが鍵らしいが、よく分からない。続きを読んでみる。
「Nubia画像研究所と中国科学アカデミーの国立天文台は、2万個以上の星の大規模なデータベースを共同で作成しました。 Nubiaは、携帯電話の位置と向きの情報を正確に計算し、星のビッグデータと組み合わせて、星の軌道を鮮やかに描き、ハンドヘルドのセカンドスタートレイルを実現する、複数のテクノロジーに恵まれたAIアルゴリズムに基づいています」。
つまり、GPSで位置情報を、加速度センサーで撮影者の位置や向きを把握して、撮影した写真の星が移動する見かけの方向を計算すると読めるんだが、しかし「星の軌道を鮮やかに描き」ってなんだよ?
説明は「ビッグデータとAIアルゴリズムの恵みのおかげで、各ユーザーがたどるスタートレイルが鮮やかでリアルであることが保証されています」と続く。
そうなのか! まじか! 描くのか! 写っているもう一枚の写真を重ね合わせる合成写真でもないよな。未来をシミュレートしてそこに星の軌跡を描いちゃうんだ!
次の動画の52秒から、スタートレイルを描いちゃうシーンが登場するよ。最初みたときは、何か別の機能のデモか何かだと思ってにわかに信じられなかったんだけれど、たぶんこれがNEOVISION 10の正体なんだわさ(動画は52秒から始まるよ)。
合成写真なの? 科学的な写真なの?
作例では雲が流れてないのに、星の軌跡が写ってるって、不思議な写真だなと思ったけれど、そういうことだったのか。大胆すぎて、目からコンタクトレンズが落ちたわ。
「科学的な計算をした結果に基づいているんだからデタラメじゃないよ。文句あっか」と。まったくもって、凡人にはできない斜め上を行く発想だよね。ネットに放流されると「これを果たして写真と言えるのか」という求道者的な議論も巻き起こしそう(笑)。
しかし、これはある意味、タイムマシンカメラだな。
この記事へのコメント
これは確かに凄い…
リアルタイムにプラネ系ソフトを動かして背景を作って合成しちゃってるってノリなんですかねぇ…
東京のド真ん中でガッツリとカラフルな天の川を…
このスマホなら、東京のど真ん中でも天の川が撮れるという希望が湧いてきました。タイムラプスを撮影するときの画角シミュレートにも使えるかもしれないですね。
いよいよ、「撮影した写真」ではなく、「描いたCG」になっちゃいますね。
うーん、
写真って、いったい何なんでしょうか?
以前、中国の若い子に教えてもらったのですが、中国語の「図」って、Photograph(写真)の意味とPicture(絵)の両方の意味があるんですって。日本語には写真と絵の両方を一度に指す言葉がないので、分けて考えますが、英語のPictureも同じで、そのあたり、彼らはあんまり分けて考えないんですかね? テキトーなことを言ってすみません(笑)
CGですか、これはこれでインスタグラムとかSNSでウケるのかな?
ただ一過性のモノに終わりそうな気がしますね。
否定はしないけどそれを選択することはないな(。-`ω´-)キッパリ!!
流行るか流行らないかでいうと、流行らないでしょうけれど、新しい挑戦を積み重ねていくうちに、とてつもないものを作ってしまうのが米中の手強いところですよねー
これって同じような理屈でアルゴリズム+加算&加算平均すれば星雲の画像が描けそうです(笑)
電視とかで需要あるかもしれませんね。
上の動画25秒、26秒にありえん形で天の川が写ってるのですが、おっしゃるとおりいっそのこと、星雲やら何やらも重ね合わせてくれれば、面白いですね。ついでにアノテーションしてくれると、いま見ている星が何かすぐ分かって便利な気もします。
なかなか面白いと思う。
いろんな楽しみ方ができるような気がするな。
>合成写真なの? 科学的な写真なの?
artでしょう。”芸術”というよりも”人工”という意味が強いけど。
中国語といえば”史努比”^^b
”ペリスコープ”と聞くと、カウンタックLP400を思い出す。^^←スーパーカーセダイ
是空さん、なるほど、写真とか絵とかCGとかひっくるめて芸術なんですね! 現代アートみたいなものだと思えば納得できます。「コンピュテーショナルフォトが写真を変える」と言っている方向がこういうのもアリだったとは。
カウンタックの小窓のことをペリスコープっていうんですね。初めて知りました。
哆啦A梦!
哆啦A梦
また一つ中国単語を覚えた。^^スグニワスレルケドナ
よくわからない漢字ばかりなのはいいとして、”A梦”のAってなんだよ。
たぶんそこが「え」と発音する部分なんだろう。気持ちはわかるけどさ。
SNOOPYを日本語でスヌーPじゃ変だろ?
と、くだらないことをグダグダと考えてる昼下がり。^^今日は暑っ!
是空さん、私も不思議に思っていたんですが、
中国語には、「え」に相当する発音や漢字がないんですって! えええええ!
「カラオケ」も仕方がないから「卡拉OK」って書くんだそうです。
勉強になりました。ありがとうございます。
ちなみに史努比は、「しぬぴー」って聞こえます。
最近TVCMにも星景写真使ってるの時々見ます。流行りなんでしょうねえ。
こういうVR的なの興味あります。
思いもよらない形でVRガジェットに発展するカモ。
私がスマホカメラに求めるのは「普通に縦に持って横長の写真が撮れるカメラ」・・
持ち換えるのがメンドクサイんです。
なるほどーVR/ARにも応用が効くと面白いですね。何気にビルとか避けて合成しているっぽいところも面白いです。
>普通に縦に持って横長の写真が撮れるカメラ
昔のサイクロイド携帯を思い出しましたよ。iOSには、そんなアプリがあったような…クロップしてるだけのような気がしますが。