仕事にも区切りがつきそうで、来月あたりからは、なんとか天体写真趣味に復帰できそう。
で、ふと、自分のリアルの周りを見渡してみると、天体写真とか天体観測を趣味にしている人っていないんだよ。でも、ネットをのぞいてみると、天リフさんを中心としたコミュニティがあるよね。なかなか活発なので、いつも便利に使わせてもらっています。
一方、天体望遠鏡を産業として見渡してみると、日本ではビクセンさんやトミーテックさん、タカハシさんが名前を連ねてるんだけど、最近では、Askar(嘉兴锐星光学)やZWO(苏州振旺光电)が元気で、新製品がどんどん世に出してくるから、日本勢が中国勢におされている雰囲気になっちゃってる。
この先、天文ギョーカイはどうなっちゃうの? グーグル先生に聞いてみた。
世界の天体望遠鏡市場の規模
どこのサイトが一番信頼に足るのかが分からないという前提なんだが、Reports and Dataという会社が、世界の天体望遠鏡市場の規模をはじき出しているのを見つけた。
ここによると、世界の天体望遠鏡市場は2018年に1億9700万ドル(約214億円)で、2026年には3億4500万ドル(約575億円)に達すると予測されている。年平均成長率は7%程度。台数では、2018年の20万7100台から2026年には42万7400台に成長する、らしい。およそ10年で金額、台数とも倍にはなっている。
しかし、一瞬、桁を疑った。世界全体でもそんなもの? 年間で1000億円に届かないのか。ちなみに、2020年の世界全体のデジタルカメラ年間累計出荷台数は888万6292台で、金額は4,201億3,770万6,000円だったらしい。うん、いろんな意味で比較にならない。
上のグラフ(左下)を見てみると、アイピースやらカメラやら赤道儀やらの成長予測が出ている。その他を除いて、三脚と架台の伸びが大きく見積もられてる。カメラの伸びはそう大きくないね。架台は電化というのかスマート化がもっと進んでもいいと思うよ。買い替えちゃうよ。
ただ、上にある2026年の3億4500万ドルという数字は、鏡筒だけなのか、この辺の機材も含めた数字なのか、ちょっとわからなかった。
反射望遠鏡のシェアは49.5%
レポートによると、全世界で反射望遠鏡の(たぶん台数の)シェアは49.5%なんだってさ。屈折式望遠鏡は2018年に北米で3万7000台が売れて地域的にナンバーワン、アジア太平洋地域が北米に次いで多いって言ってる。対して、反射式望遠鏡はアジア太平洋地域で人気。3万6000台が売れたんだって。ちっちゃい差だけど「屈折の北米、反射のアジア」って感じ? カタディオプトリック式は北米で5300台が売れたらしいけど、そんな少ないのか?
北米の人口を5億7000万人、日本の人口を1億2000万人だとすると、人口比は4.75倍。流通量を単純に人口比で割って推計すると、2018年に屈折式望遠鏡は7789台、カタディオプトリック式は1115台が日本で売れた規模感になる。そんなものか? 多いような少ないような……。
いったい、日本の天文ファンってどれくらいいるんだ?
天文ファンって何人くらいいるんだ?
というわけで、話を天文ファンの数に移すですよ。天文趣味人口の減少については、いろんなところで心配されてるんだが、数字をみかけたことがない。肌感覚ではそうなんだけどさ。
私が思う「天文ファン」像ってのは、「天体写真撮影や観測機材を揃えて、日々(たまにでも)活動したり、何かしら情報収集をしたりしている人たち」ってのを思い描いている。「月や火星を見るのに望遠鏡を買ったけど以来、一度も使ってない人たち」には「天文ファン」のイメージを持っていないよ。星景メインの人は、DSOには興味なさそうだよね。私はここでは「天文ファン」を狭く捉えていて、あえていうと「惑星や月、そしてDSOの撮影・観測ファン」になるかもだ。
私の「天文ファン」のイメージ近いのは天リフさんのコミュニティに出入りしている人たちかな。私の勝手なイメージだと、電子工作やプログラミング、ネットワーク、光学といった理系の知識を擁している60歳以上の男性が多い印象。しかし、SNS界隈では、高校生や大学生、女性の活躍が見て取れるので、必ずしも天文ギョーカイってのは、すぐに枯れていく趣味クラスタでもないと思う。プロファイルもそうだけど、趣味人口とかその推移が知りたいよ。
もっとも「天文ファン」を広く捉えることもできる。星空や天文現象を楽しむだけじゃなくて、ご来光とかロケット打ち上げを見に行くのを「宙(そら)ツーリズム」というらしい。参加者数約850万人、参加見込み者数約4,000万人と推計されている。プラネタリウム行くとか、星空を見に行くとかいう人も含まれてる。天文ファンになる潜在顧客と言えるかも知れないけれど、日本の人口の1/3を見込者数にカウントするあたり、風呂敷広げすぎ。ちなみに、山形大が始めた「星空案内人」制度の「星のソムリエ」は2016年時点で600人。
月刊 天文ガイドの出版部数は公称8万部(星ナビは非公開)。「雑誌の公称は実売の3倍」という言葉もあるので、2万7000部くらいとしようか。それくらいの天文ファンはいると考えていいのかな。ちなみに、私も楽しみにしている天リフさんの天リフNewsの月間UU(訪問者数)は3800くらい(2019年3月)なんだそうだ。いまは、もっと増えてるはず。
私の感覚だと、日本の天文ファンは、みんな天リフさんを使っているはずなので、UUは2万7000を超えてもおかしくない。それでも届かないとしたら、ネットにつながらない人たちが天文ファンには多いってこと? あるいは、天ガが盛りすぎてる? よく分からない。
しかし、日本の天文ファンの数って、どうやって推定したらいいんだろうな。天リフさんの年間のUUが実際に近いように思えるな。
私の頼りにならないドタ勘だと、狭い意味での撮影・観測ファンに限ると、天文ファンの数は全国で20,000〜50,000人ってとこくらいの規模かもしれない。これは(かつて私が潜伏していた)福井県内に、月とか惑星とかDSOを撮影したり観測したりするファンが120〜300人程度いる規模に相当する。これが「1,000人もいたぞ」と言われると、ちょっと多すぎだろうと思っちゃう。
詳しくは課金でどうぞ
で、日本の市場規模とその成長を知りたいんだけど、そこから先のレポートは課金だそうです。お値段$4590(約50万円)。だれか買ってくだしゃい。アフィリエイトとか仕組んでないです。ただ、たぶん天文ファンの人数は書かれてないです。
この記事へのコメント
小学校の時、天体写真見て、望遠鏡があればこんなのが見える!とわくわくしたけど
いざ眼視ではそんな風に見えなくてがっかりした経験があります。
さすがに60㎜F910mmの望遠鏡では、惑星、連星を見るので精一杯でした。
見たいもの→見るためにどうする。の部分のハードルが高めではないかな。
知識がなくても見える、撮れる、電子観望がブレイクスルーの動力になるかも。と期待しています。
そういった意味で、手軽にスタートレイルが撮れる(つくれる?)先のスマホは
間口拡大の役に立つかもしれません。
天体イベントがニュースになったら、見に出かけている人は多いし、プラネタリウムでもそこそこ人が集まっているので、間口自体は狭くはないですよね。
昨年のネオワイズの時も三浦半島の西には結構人が集まっていました。
趣味まで昇華する前に、がっかり感からあきらめてしまう場合が多いのかな。
ある程度年齢が高くなってから天文趣味を始める人は、資金力や移動手段など、
情報の収集ができるようになったから趣味にできた。
ということもあるかもしれません。
自分も50前にして30年越しで再始動です。
あぴさん、天文趣味はおっしゃるとおり間口は広いですよね。26日の皆既月食もスマホで写真を撮るひとたちも多いんじゃないかと想像します。
いまの標準的なスマホだと、月面の模様は綺麗に映りませんが、Samsungの最新機種Galaxy S21 UltraのSpace Zoom 100xなら写ると宣伝しています。知識がなくても撮れるというのは大事なポイントですよね。月面と天の川は、数年以内にスマホで撮れて当然の被写体になるかもしれません。
そこから先、AZ-GTiをベースにシステムを組み立ててもイチから揃えたら15万円コース確定でしょうか。若い世代が飛びついてくれるためには、財政面では、もう一声ほしいですね。
いつもながら、面白いこと考察されてますねえ。
絶え間なく無数に生産される望遠鏡の流れをしばし黙想してしまいました。
天ガをいつも図書館で読んでる私はどちらのカウントされるんでしょうか?
大きな天文イベントが有ると押入れから箱を引っ張り出すって人も多いんじゃないでしょうか・・・そこでメザメる人、再眠する人・・・
何れにしても今夜の月食、日本だけでも恐らく数万本のレンズが向けられて、お月さんは無数の視線に照れて、真っ赤(赤銅)になっちゃうんでしょうね。
興行だと入場者数をファンの数としちゃえばいいのでしょうけれど、難しいです。きっとそういうのをカウントするプロもいるのでしょうね。話を聞いてみたいです。しかし、お月さんも照れ屋ですね!
にゃあさん
こういうデータって国によって大分事情が異なりそうです。
天文ってそもそも潜在層とファン層の隔たりがかなり大きいと思いますが、現在の日本はそれが更に広がっているように感じています。(二極化が進行している)
潜在層に対してのアプローチの偏り(天文系はスペック系、天体写真に傾向しています)や、日本が生産国としてシェアが減少してしまったのもありますが、(多くのメーカーが撤退してしまいました。)一番の原因は世代間での意識の違いにあるように感じています。
若い世代は非常に現実的で、価値観が多様に広がっているのでどの業界でも獲得に手をこまねいているようです。(バブル崩壊後に社会がそのように仕向けてしまった感はありますね。天文業界はオッサン世代の物欲で支えられているとも言えます(苦笑))
社会情勢も変化しまくりなのでこれからどのようになっていくのか本当に予想しづらいです。
個人的にはアマチュア用の機材を作る企業が無くならないでほしいなと考えていますが、オッサン世代だけでなく子供世代にもPRできる魅力づくりができるか?企業努力が問われそうです。
T-Studioさん、そういえば一昔まえに「若者の〜離れ」という言葉が流行りましたものね。価値観多様化そのものですよね。
先のレポートには「SF映画やTVシリーズ、コミックなどが天文学への関心を高めています。現代社会における科学教育の普及、ブロードバンドの普及、SF映画の影響など」が普及要因だと書かれていました。周りを見渡してみると、ブロードバンドはともかく、科学教育もSF映画も目立った成果はないように見えますね。
この問題、趣味だけの問題に閉じず、なかなか根が深そうです。
なかなか興味深い数字、面白い。^^b
こういった数字って、真剣(ex.有償とか)に調べようとしないとわからないからね。
D810aみたいなメーカーの天体カメラって何台ぐらい売れたんだろ?と思ったことがあったけど、それと同じだよね。
あっ、そうそう、前回の記事のコメントから。
「え」と発音する漢字が中国に無いというのに驚いた。
実は昨日、最初に”江”にすればいいと思ったけど、揚子江から想像すると発音は「え」じゃなさそうで、もしや「え」に相当する漢字がないのでは?と一瞬思った。
ほんの一瞬ね。
だって、ボイン・・・もとい、母音だよ。無いわけがないと思うよね。
◎◎;ビックラコイタ
D810Aは月産300台ですって、D810は同20,000台。結果、何台売れたのでしょうね。ビットコインに手をだすより、D810Aの方が希少性は高かったかもです(汗)
「江戸」は「A哆」? 風情もなにもなくなりますね!
D810Aは3000台(細かい数字は覚えてない)ぐらいだといっていたよ。
それでも天体専用機を売り出してくれるメーカーさん、ありがたいですね!