ISSが撮影する地上の映像が、デスクの眼の前にある天文デジタル時計を横切っていく。これを見ていると、たまに息を飲むような風景に出会える。
オーストラリアの赤い砂漠、新疆ウイグル自治区の砂漠と雪、カリブ海の青い海に浮かぶ宝石のような島。パナマ運河も見えたような気がした。夜の映像は基本、真っ暗だけれど、オーストラリアの雷は迫力があった。時折、大小の街の明かりが横切る。ここはロシアのヴォロネジだなとか、隠岐の島だとか。もちろん、映像に地名が書いてあるわけではないので、その都度、ISSトラッカーやスマホアプリを使って場所を特定するわけだ。
撮影地点がお昼の場合は、海岸線や河川などの地形がわかりやすいので、ドンピシャここだと確信を持てるんだが、夜はそうもいかない場合がある。たいがい、地上の街の明かりは離児島のように位置しているので、だいたい想像がついて確証が持てるのだけれど、光の輪郭が地形に沿わない場合もあるし、密集しているとかえってわかりにくい場合もある。
たとえば、下の画像。2024年3月3日16:39分(日本時間)にスクショした画像(実際の飛行場所とはラグがある)。ISSの航路を照らし合わせると、この位置にあるのは米国ネバダ州のラスベガスで間違いない。モハベ砂漠のなかにポツンとある都市だし、ネットで検索すればほぼ同じ画像が出てきて、ここがラスベガスだと確証を得ることができる。
密集していて分かりにくいというのは、たとえば下の画像。ラスベガス上空を通過する前にスクショしたもの。航路と時間的にアメリカの西海岸であることは間違いがない。アプリで確認したのでカリフォルニア州のアナハイム上空くらいのはず。しかし、海岸線と街の光の輪郭が一致しない。そもそも海岸線に光が沿っているとは限らないしな。ここはどこなんだ!? 確証が持てない。
まず参照したのは、Light Pollution Map。どこにも合致しない。光の強さを示している地図なので、輪郭がぼやけてしまっていて、照合ができない。よくわからん。DMSP衛星による地球の夜景データも参照してみたが、こちらも同じでよくわからん。
Xに上の画像を投げてみたところ、KenさんがGoogleレンズとAIを使ってみては?というポストをしてくださった。
Googleレンズで教えてくれた!
— KEN (MrDeeplyAddicted) (@KEN1_A) March 3, 2024
なるほど、そういう手があったかと、Googleレンズで試してみると、検索結果が示されて、ラスベガスはビンゴだった。一方の西海岸の画像はうまくいかない。名古屋だとか、トルコのイズミルの検索結果が出てきてしまう。Kenさん曰く、「黒い部分をトリミングすればうまくいく」とのことだったので再チャレンジするが、もう一方がうまくいかない。場所が特定できない。
次、AIを試してみる。まずはGoogleのGeminiさんから。
西海岸の画像をアップロードをし、「この画像はISSから撮影された地上の夜景です。都市を特定してください」とお願いしてみる。あえて、アメリカ西海岸周辺だということは伏せてみた。
お送りいただいた画像の都市を特定するのは難しいです。なぜなら、画像の解像度が低く、都市の特徴が十分に写っていないからです。
と答えつつも東京、大阪、名古屋の可能性があるという。
画像の撮影日時がわかれば、都市を特定しやすくなる可能性があります。ISSは地球を約90分で周回しているので、撮影日時がわかれば、ISSがどのあたりを飛行していたのかを推測することができます。
さすがGoogleさん、いいフォローをしてくれるな。「撮影日は日本時間の2024年3月3日16時39分です」と追加で情報を与える。
2024年3月3日16時39分、ISSは北米大陸上空を飛行していました。
おお、北米は合ってるんだが、本当に計算したのか?
この時間帯にISSから撮影された夜景で、上記の特徴を持つ都市は、以下のいずれかである可能性が高いです。
- ニューヨーク
- シカゴ
- ロサンゼルス
ロスアンゼルスはいいんだが、さすがに西海岸と東海岸では幅が広すぎるだろ。怪しいなぁ。と、ここまで書いて、スクショ画像を保存したのが16時39分であって、スクショした時間は違うかもしれないと気づく。怪しいのは私の方だ。
画像を拡大してみると、画像中央やや右側に、特徴的な形の建物が写っています。この建物は、ニューヨークにあるエンパイア・ステート・ビルである可能性があります。
以上の情報から、画像の都市はニューヨークである可能性が高いと考えられます。
ラブ&ピースが始まってしまったらしい。ありがとう。また来るよ。
次に頼ったのはChat GPT(4)さんだ。Geminiさんに投げたのと同じ質問を投げる。
地上の夜景がどの都市であるかを特定することはできません。画像には特定の識別可能なランドマークや特徴が必要ですが、こちらの画像ではそれが見受けられません。
Geminiさんのように、追加の情報をよこせとは言ってこなかったので、「撮影日は日本時間の2024年3月3日16時39分です。」と追加で情報を与えてみた。
この画像をもとに特定の都市を識別するには、航空追跡データ、ISSの軌道データ、および地理的な専門知識が必要であり、こちらではそれらのデータへのアクセスがありません。もし可能であれば、より詳細な文脈や追加情報があれば、より有益な回答を提供することができるかもしれません。
そうね。そのとおりだよね。ありがとう。でも、およそ推測はできているんだよ。アナハイム上空だってね。夜景の写真が地理上のどこを捉えているのか、私はその確証がほしいんだよ。どこなんだよ。モヤモヤするぅ〜。
ちなみにこちらは、さきほどスクショした中国の海南島の海南市でまず間違いない。中央上部に写る三角形の光点の集団は漁船団なのかな。このあと通過した上海は光の塊だったがスクショがとれなかった。残念(´・ω・`)
地上から宇宙を見上げるのも面白いけれど、宇宙から地上を見下ろすのもまた楽しいのであるよ。「月面にいくつもの都市があったら、こんな楽しみ方ができるんだろうか」などと妄想してみたり。そんなこんなで、地球のPlate Solverが欲しくなったのであった。
追記:2024年3月5日
すっきりした。
この記事へのコメント
教えてもらってから、暇さえあればISS窓ライブ映像を眺めてる・・
時間がどれだけでも潰せる・・全く、恐ろしい・・
昨日、私も雷の光るのを見ました!
ギニア湾から上陸するあたりで。
下はスコールかなと想像してた。
この画像は、複雑な湾の形。サンフランシスコベイ?多分違うカモ・・<>
雷の下でどんなふうに人々は夜を過ごしているんだろうかとか、ISSを撮影している人がいるんではないかとか、想像が膨らんでしまって、本当、時間泥棒ですね。ふと陸地が目にはいると、気になって調べてしまいます。1950年代の雰囲気ただようサンフランシスコ・ベイ・ブルースを思い出しましたよ。
3月6日追記・・
やはりアナハイム上空でしたか!
湾じゃなくて、山?森林?ですかね・・
最近ISSの前方ライブも見つけて運転手気分で見たりしています。アラヨット・・・
黒いのは、ビーチに面した海とか州立公園とか山の影でした。夜はどれも黒。見分けがつきにくいわけです。
ISSの運転手気分、いいですね〜。あおり運転には十分ご注意を!
昨日のxへのポストはこれの絡みだったのね。
この天文デジタル時計はなかなか楽しめるねぇ。
私は表示される情報についていくつかの疑問を持っている。
1つ目は、体感温度ってどうやって求めてるんだろ?温度と湿度から?
※湿度は表示されてないけどセンサーは付けていたはず。
2つ目は、風の情報らしきものがあるが、これはwebから拾ってきてる?
以上、^^よりお送りしました。
体感温度は、温度、湿度、風速で導けるらしいです。私でも頑張れば書ける式みたいですが、この時計では、その計算をしていないです。温度計・湿度計はとっぱらいましたし、風速計はもとからついてないです。代わりに何をしているかというと、Open Weatherというサイトから一式拾ってきています。ご名答です!
ここに示す気温は外気温ということなのね。体感温度もまた然り。
確かに室内の体感温度って言われてもピンとこないもんね。
Open Weatherをちょっと覗いてみた。
Search cityとあったのでoota、ohtaなど色々試したけどだめだった。
東京の特別区はcityではなくward扱いで、東京はtokyo Prefectureと表示されるもののcity扱いなのね。
こういうとき特別区ってややこしいよなぁ。^^ボヤキ
ちなみに、otaと入れたとき(たぶん)群馬の太田市の情報が表示されてたよ。
東京は、TokyoとTokyo Prefectureの2つがあるみたいです。大田区はなかったけれど、なぜか昭和島がありましたよ!
なるほど、mapからポイントを選択できるのね。
おいらは必死に文字入力してたよ。
お隣の川崎や横浜は直ぐに出てくるのに大田区が全然出てこない。
大田区の”おお”部分は”o”や”oo”や”oh”がだめで、まさ”ou”だったりしてなんて色々試したよ。
うしろに”city”や”ward”をつけたりしてさ。
しかし何で昭和島なんだ?羽田空港の関係で何かあるのかな?
まぁ、昭和島も大田区だし近いからそれでいいんだけどさ。
23区内でも場所によって雨(含む雪)の状況とか大きく違うからね。
今考えると昭和時代の天気予報って大雑把だったよな。
^^つくづくそう思う
このOpen Weatherは、天気予報サイトとして使うユーザーさんはあんまりいなくて、コンピューターからデータの呼び出しをするための仕組み(API)として使っていることがほとんどなんだと思います。地名の長音は、みたところローマ字の長音記号が入ってることがあるみたいですよ。大野城はŌnojōとか。松山市はローマ字ではなくて、漢字でデータが登録されていたり、とよくわかりません^^;