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バローレンズの適正な倍率を計算してみる

火星を撮るに際して「自分が持っている鏡筒で、どのあたりが適正な拡大倍率なのか計算できるように勉強する」と思ってグーグル先生に聞いたら、「HIROPONさんのサイトに分かりやすい説明があるよ」と教えてくれた。こうやって、惜しげもなく知識を共有してくださる先輩方に、いつも感謝していますm(_ _)m
惑星の撮影 – Starry Urban Sky
https://urbansky.sakura.ne.jp/planetphoto.html
さて、自分なりに消化してみる。で、構えてみたものの、「遮断空間周波数」と「ナイキスト周波数」という言葉にひっくり返りそうになった。言葉が難しいので、正確じゃなくなるとは思うけど、「望遠鏡の解像度」と「カメラの解像度」とそれぞれ読み替えることにする。
次、「望遠鏡の解像度」から求めようと思うけど、λとかνとか、見慣れない文字を使った数式が出てきて、またひっくり返りそうになった。文字は難しいけど、割り算が分かればなんとかなるらしい。
以下、「望遠鏡の解像度」と「カメラの解像度」を計算していくよ。結論からいうと、数字を求めるだけなら、拍子抜けしてしまうくらい簡単だった。とはいえ(だからこそ)、計算とか考え方が間違っていたらゴメン!
遮断空間周波数とナイキスト周波数.jpg
■「望遠鏡の解像度」を計算するよ
(1)望遠鏡の口径(mm) → Dで表現
(2)望遠鏡の焦点距離(mm) → fで表現
(3)望遠鏡のF値 → Fで表現
(4)光の波長(mm) → λで表現
(1)〜(3)は、いつもショッピングするときに見ているから大丈夫。(4)は、ナローバンドやってるとよく見かけるから、そんなに抵抗感はない。深く考えると難しそうなので、光の波長は、500nm = 0.0005(mm) とすればよいということみたい。
R200SSの場合、
(1)望遠鏡の口径 = D = 200(mm)
(2)望遠鏡の焦点距離 = f = 800(mm)
(3)望遠鏡のF値 = F =4
(4)光の波長(mm) = λ = 0.0005
になる。
この数字を次の式にあてはめる。計算機は必要そうだけど、普通の割り算なので難しくはないはず。ん? つまるところF値だけ用意すればいいってこと?
望遠鏡の解像度 = 1/λF
R200SSの解像度 = 1/(0.0005×4) = 500
R200SSの解像度(遮断空間周波数)は 500 だ!
※ 単位はmmのマイナス一乗と書かれてある
■「カメラの解像度」を計算するよ
(1)カメラの画素ピッチ(mm) → d で表現
これも用意する数字は一個だけなの?  「画素ピッチ」は、ピクセルサイズとか画素サイズとか呼び方がまちまちな印象だけど、CMOSカメラのスペックにμで書かれている数字がそれだよね。
ASI1600 の場合、
(1)カメラの画素ピッチ(mm) = 3.8μm = 0.0038 mm
d = 0.0038 mm
上の数字を次の式にあてはめる
カメラの解像度 = 1/2d
ASI1600の解像度 = 1/(2*0.0038) = 131.57
ASI1600の解像度(ナイキスト周波数)は 131.57 だ!
※ 単位はmmのマイナス一乗と書かれてある
これで、R200SSの解像度 = 500ASI1600の解像度= 131.57 がそろった
ASI1600の解像度= 131.57 に対して、R200SSの解像度 = 500 で、何倍のバローで適正になるのかは、次の式で求める。
バローの倍率 = 望遠鏡の解像度 / カメラの解像度
バローの倍率 = R200SSの解像度 / ASI1600の解像度
バローの倍率 = 500 / 131.57 = 3.8倍
3.8倍なんだけど、これはモノクロカメラを使った場合。つまり、ASI1600 MMを使った場合。カラーカメラを使う場合、つまり、ASI1600 MCを使う場合は2倍にする。7.6倍。
R200SS鏡筒でモノクロのASI1600 MMを使う場合、3.8倍のバローでOK
R200SS鏡筒でカラーのASI1600 MCを使う場合、7.6倍のバローでOK
意味は理解できてないけど、数字は出てきた! 言葉は難しいけど、必要な数字って事実上、F値と画素ピッチだけなの? しかし、7倍バローって見たことないよなぁ。手持ち機材でいうと、MMは3倍で、MCは5倍でって感じなのかな。帯に短したすきに長しだなぁ。そもそも、こんなので合ってるのか(^^;

この記事へのコメント

  1. うわー。難しい式が出てきましたねぇ。
    本来は、ここにシーイングによるボケ要素が加わるんですが、近年はレジスタックスなどの画像復元技術がその壁を越えさせてくれますので、結構な拡大率でも大丈夫そうです♪

  2. 大丈夫。理解も計算も合ってます(^^)
    もっとも、あれは理論上の必要最低限の拡大率を求める式なので、きょうびの高感度なカメラならガバッと拡大してしまっても大丈夫だと思います(像が多少暗くなるけど火星は明るいし)。R200SSだと素の焦点距離が短いので、バローよりはアイピースでの拡大の方が向いているかもですね。火星のシーズン前に、木星で色々試してみるといいんじゃないかと思います。
    そしてそして。大接近時の火星は高度が低いので、ZWOの可変ウェッジプリズムなんかがあると幸せになれるかもしれません……と、沼に引っ張り込んでみたり(ぉぃ

  3. あぷらなーとさん、画像復元技術って偉大ですね! はじめてレジスタックスを使ったとき、あのモヤモヤ画像がコントラストのはっきりした画像に変身するのは、心底、魔法ではないかと思いました。それが拡大率にも影響してくるって、数学の世界と天文の世界のコラボレーションなんだと思いました。

  4. HIROPONさん、先生にご確認いただいて安心しました(笑)木星を対象にアイピース拡大は、本番前にやってみようと思います。アイピースとセンサー間の距離がどうしても測りにくいので、拡大率を求めるのに苦労しそうですが、そこはトライ・アンド・エラーですね。可変ウェッジプリズムについても、HIROPONさんのサイトをよく読ませていただきました。「HIROPONさんに難しいものは、私は使いこなせません!」と言いつつ、使いこなしより機材を集めるのが私は好きだったりして(笑)

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