昨日のエントリー「今年初めての遠征、『勾玉星雲』を撮ってきた」で、「誰か新兵器に気づいてくれないかなあ」と期待していたところ、あぷらなーとさんが目敏く、「α99『改』」に気づいてくださいました。何が出るわけでもないですが、おめでとうございます! いや、ありがとうございます!
α99改は、その名のとおり、SONY α99(SLT-A99V)の天体改造機です。昨年末に仕込んでいたネタでしたが、実稼働がなくずっと待っていました。年が明けて、ようやくお披露目できたというわけです。
記録によると、「フルサイズいいなぁ」と思い始めたのは昨年の9月末。「ASI1600のフォーサーズよりも広い範囲を撮りたい」という気持ちが強かったようです。手持ちのフルサイズ機α99に赤外線感度があるか分からなかったので、3回に渡って無改造のα99で話をまとめてみました。
ソニーのフルサイズ無改造機 α99で赤い散光星雲は撮影できるのか?
http://tentaip.seesaa.net/article/453809644.html
http://tentaip.seesaa.net/article/453835741.html
http://tentaip.seesaa.net/article/453876680.html
結果、「無改造のα99は赤外線域を写すのには向いてない」という結論に至ります。「星野写真を撮るためにこのボディを使うことはない」とまで書きました。しかし、11月末にED81SIIをフルサイズ対応に改造したことで、フルサイズ機を手にしたいという思いが強まりました。
無改造α99で撮影した北アメリカ星雲。やはり天体向きではなさそう。
D810Aは中古でも高くて手が出せません。中古のAPS-C天体改造機ならオークションで手頃な値段で出ていましたが、やはりフルサイズへの憧れがあります。手元のα99が天体改造できればいいのにと、ネットを徘徊しました。
キヤノンやニコンは天体改造が頻繁に行われているようなのですが、ソニー機はα7をのぞいて見当たりません。アメリカのサイトでα99の改造に応じてくれるサービスがあったのですが、正直、不安でした。そんななか、天体改造サービスを展開していらっしゃる東京・浅草にあるクラシックカメラ修理専門店「ハヤタ・カメララボ」さんを知ります。改造メニューになかったような気がしますが、ダメ元で、「α99を天体改造できないか」と問い合わせてみたのでした。
ハヤタ・カメララボ
http://www.hayatacamera.co.jp/
そしたら、なんと対応可能というお返事が! ソニーやニコンなら、APTはじめ、ステラショットやBackyard EOSが使えて、PCからの制御ができていいというのは分かっているのですが、機材を増やしたくないし、愛着もあるので、即答でお願いすることに。改造に快く応じてくださったのは、店長の根本泰人さんで、天体写真の作例で名前をご存知の方も多いと思います。
根本店長によると、どうもソニーのα99は、キヤノンやニコンと比較して分解しにくく、腕が必要なばかりか工数を取るので改造に応じてくれるショップはほとんどないということでした。天体撮影用の改造である「HKIR改造」は、α99では私が初めてだったようです。費用は良心的で、オークションで中古のAPS機を買うのとそれほど変わりませんでした。
改造が終わって試写してみたら、絵が赤いんですね。赤外線域が写っている証拠でした。もっとも、ショップさんで色温度を合わせてくれていたので、普段使いできる仕様になってました。で、年内に遠征して撮りたかったのだけど、叶いませんでした。
ようやく日曜日に遠征し、α99改を実地に投入できたのでした。冷却CMOSに慣れてしまっていたので、扱いは手間取りました。特にピント合わせはPCでやった方が格段に便利。ダークノイズに関しては外気がマイナスなら、非冷却もさほど不利に働かなかったのかもしれません。
今回の遠征の目的の一つは、α99改の赤外線特性を調べるためだったので、心当たりのある天体を複数撮ることにしました。天体導入は、ビクセンのXYスポットファインダーをホットシューに取り付けて行いました。200mmの広角だったせいでしょうか、星が見えていたので、バンバンと楽勝で導入できたのが楽しかったです。AVXの自動導入の精度がいまひとつ信用できないので、長焦点を使ったり、天体の位置がよほど不明でないかぎり、AP赤道儀で十分に手動導入できるという自信が付いたのも成果でした。
撮影したのは、勾玉星雲、M42、パックマン星雲などです。前回は、勾玉星雲を処理しましたが、今回はパックマン星雲周辺星野を処理しました。時間をかけて撮らなかったり、フラットをさぼったりしたので、作例が貧弱になってしまいました(この点はハヤタ・カメララボさんに申し訳ない)が、無改造のα99と比べて、その性能は十分に高くなっていることが分かります。
散光星雲がα99で撮れることが分かりましたので、あとはED81SIIとBORG55FLというフルサイズ対応鏡筒で、写野の広さを活かした写真を撮りたいと思っています。ステラショットが気にはなっているので、ひょっとしてキヤノンのAPS機に手をだすかもしれませんが(笑)
ということで、α99ユーザーの天体写真ファンがいらしたら、ハヤタ・カメララボさんに改造をお願いするのもひとつの手だと思いました!
パックマン星雲は、ノートリミングの大きいサイズをFlickrにあげておきました。
■撮影データ(M42, パックマン星雲ともに共通)
・撮影日:2018年1月21日
・鏡筒:BORG55FL (D=55mm, fl=250mm, F4.5)
・補正光学系:レデューサー7880 0.8x (fl=200mm, F3.6)
・カメラ:α99改
・ガイド:ノータッチ
・赤道儀:AP赤道儀
・露出(パックマン星雲):ISO1600, 総露出時間11分30秒(30秒 x 23枚)
・露出(M42):ISO1600, 総露出時間8分(30秒 x 16枚)
この記事へのコメント
このジジイ、どこまで馬鹿なんだ!とか、言わないね。(笑)
あの、APS-Cのカメラを改造してフルサイズになるんですか。
物理的な問題だと思ってました。
あれ、また、早とちりかも・・・・朝の雪掻きが忙しくて・・・チラ見状態ですが。
では、また。
こんばんわ
うちとこのフルサイズも HKIR改造です。
良いですねぇ。
フルサイズの改造機。特に冬場はノイズが出にくいので大活躍
しますね。
うちのD7000も改造したいんですが、もう軍資金が尽きてしまいました。D40は自力で改造したけど、結構めんどくさかったので、もうやりたくないしなぁ。
オヤジさん、天体改造って何なのか、どんな改造をしたのか、手を抜かずに書け!という話ですよね。スミマセン。α99はフルサイズの一眼レフなんです。赤外線をカットしているフィルターを取り除くという作業をお願いしたということなんですね。α99は分解が難しいので、取り扱ってくれる業者さんがおらず、ハヤタカメララボさんがα99の改造に快く応じてくれたという話でした!こちらも雪10cmくらい積もりました。お足元お気をつけください!
moritoさん、同じくHKIR改造ですか! ほかの業者さんにお願いしたことはないのですが、ハヤタカメララボさんは仕事が丁寧で安心できました。
あぷらなーとさん、私は器用ではないので、さすがに自分で改造する気がおきません。手元に壊れたリコーのR8があって、この子をCマウントに改造できないかと考えたのですが、大冒険すぎて……
10時のお茶タイムに、カメラを検索して解りました。
あーお恥ずかしい。
オヤジもAPS-Cですが改造依頼した事あります。(汗)
オヤジさん、やはりみなさん一度は一眼レフを天体改造するものなのですね。オヤジさんのステラショットの使い方をじーっと指くわえてみているのですよ(笑)