東京に限らず都市部はどこでもそうなんだろうけど、天体写真を撮るのに街の光が邪魔になる。逆にいうと、光害さえ上手にカットできれば都市部でも星雲が撮れちゃう。なわけで、光害カットフィルターを物色中なんだが、同じフィルターでも中途半端にカットするやつじゃなくて、必要な光以外は潔くぶったぎって、星雲が撮れるフィルターが欲しい。つまり、ナローバンドフィルターだ。
ナローバンドフィルターといえば、Hαがよく写るんだけど、通す波長が赤いのだけだとモノカラーでつまらないから、青いのも一緒に通せば、一気にAOO的な写真が取れちゃうというのが「デュアルナローバンドフィルター」。これ、最近流行ってるよね。実際に、フィルターの取り替えがいらないから、お気軽に撮れそう。私が狙ってるのもこれ。いくつかのブランドに取り扱いがある。主なブランドをまとめてみた。
「デュアルナローバンドフィルター」という言葉をよく聞くので、それにならうんだけど、デュアルバンドと言いながら、実はデュアルじゃなくて3波長とか4波長を透過しているんだな。実際は赤い方と青い方の山が2つあるからデュアルと呼んでいるのかもしれない(こじつけ)。しかし、それだとナローじゃないよな。そんなことはどうでもいいや。
SIGHTRONのQuad BP(QBP)は、その名前のとおりHβ, OIII, Hα,SIIの4つの波長を透過するよ。このエントリーのなかの比較では一番広く光を通すみたい。そのぶん、いらない光も入ってきそうだけれど、それがなければ色的に一番ナチュラルに仕上がるかもだ。
IDASのNB1もHβ, OIII, Hα,SIIに感度がある。ただ、SIIを通してはいるけど透過率は20%くらい?で収まっている。私が師匠と仰ぐあぷらなーとさんやHIROPONさんら大御所が使ってらっしゃるので、それだけで手を出してしまいそう。
私は知らなかったんだけれど、L-eNhanceというフィルターがある。OPTOLONGが出している。Aliexpressで取り扱いがあるよ。こちらが通すのは、Hβ, OIII, Hα。狭さでいうと、NB1といい勝負をしている。NB1がSIIに少し触れているのに対して、こちらはSIIを完全にぶったぎってる。SIIっていらない子なの? Astro Back Yardさんのレビュー(英語)が例によってしっかりしてる。
透過する波長によって、どのブランドにするか悩めるところなんだけど、フィルターのサイズでも悩めるよね。
小センサーで勝負したり、31.7mm径のフィルターを装着できるホイールに使ったりする場合はL-eNhance、これ一択。
48mm(2インチ)は、3ブランドとも揃えてきている。私の場合は、ASI1600にねじ込むZWO-EOS-T2アダプタに48mmが装着できる(2019年11月30日追記:できないかも?)ので、使用するカメラをこれに一本化してしまえば、どの鏡筒でも使えるし、使う鏡筒ごとにフィルターを取り外す必要もない。しかし、APS-Cやフルサイズでデュアルナローバンド撮影ができないというデメリットがある。BORG【7523】を経由するという力技もあるけれど、使える鏡筒が限られるな……。

逆に(私の環境で)カメラを選ばないのが52mm。R200SSやらED81SIIとか私が持ってるビクセンの鏡筒は52mmのサイズが使える(エクステンダーとかレデューサーに装着する)。BORGのカメラマウントホルダーM【7000】 にも52mmが装着できるらしいから一眼レフでも問題なし。現在格闘中のNC77もBORG M57→M57AD【7457】に52mmが装着できるはず。どのカメラでもデュアルナローバンド撮影ができる代わり、鏡筒を替えるごとにフィルターの取り外しをしないといけない。かつ選択肢はNB1だけになる。
お値段について。QBPは18,334 円(税別)。NB1の24,000円(同)よりお安いんだけど、現在在庫がないみたい。L-eNhanceは2インチが229ドルだから、日本円で2万5000円くらい。31.7mm(1.25インチ)でも179ドル(1万9000円くらい)する。お値段ではQBPが圧倒的に有利だね。
ちなみに、セミナローバンドネビュラフィルターをうたうIDASのLPS-V4はディスコンで在庫限り。
お値段も大事だけど、使い勝手も大事なので、非常に悩めるのであった。


QBPF は LPS-V4 より自然な色になりますが、(多分)余計なモノも入ってるぢゃないかな?って気がしてます。
NB1 は気になってますが、財力が底をついてるので参戦できません…
フィルター径は、48mm にしてます。31.7mm だとケラれる事が多いので…