HIROPONさんが、画像処理前の星雲・星団の「撮って出し」画像を載せるという試みをしてらっしゃいました。この記事を読んで、思い出すこと多々あったので、書き留めておきます。天体写真を始めようとしている人の参考にしてもらえれば……。
カメラレンズと三脚で星景写真を撮っていて、天文雑誌で見るようなアンドロメダ銀河が撮りたいなあって思っていました。三脚だけでは星が流れて写るということは分かっていたので、ポラリエを最初に買いました。
しかし、ポラリエを手に入れてからも、ぜんぜん撮れませんでした。天体望遠鏡&赤道儀を買ってからはすぐに撮れたんだけど、何が違っていたんだろう? と以下、反省を口にしてみます。
主に使っていた機材は、ポラリエ、三脚、300mmとかのズームレンズ、α99かNex5です。失敗した写真は、あまりにもひどいのでここに載せるのが忍びないのでやめておきたいのですが、一言でいうと、何も写っていませんでした。勇気を出して、こんなの(T-T)
「極軸合わせ」という概念は、ポラリエを買って初めて知りました。極軸望遠鏡やポーラーメーターを使って北をとる。これはアバウトですが、考え方は分かっていたように思います。ポラリエ買ったら、いい写真が撮れると思ってたんですけどねぇ。そうはいかなかった。
まずの問題は、天体導入です。どこにアンドロメダ銀河があるかが分かっていないといけません。Advanced VXとか自動導入式の赤道儀だったら、きちんと向いてくれるけど、ポラリエさんだと、自分でアンドロメダ銀河を探さないといけないです。
星図アプリとかで探すと、どの方角にあるかが分かるし、日によっては見えてる。だいたいレンズをそっちの方に向けるんですが、大きく撮りたいのでズームを300mmに寄せちゃってたんですよ。
そもそも、200とか300mmの望遠で、えいやっで被写体にレンズを向けても画角に入ることが珍しい。そこで、70mmとか広い方で撮って画角に入れ、だんだんと200mmにしていくことでアンドロメダ銀河を捉えるというやり方をしていました。
しかしですよ。画角の真ん中に捉えたいばかりに微調整とかしだすわけです。ポラリエとカメラをつないでいるのは自由雲台だったので、ちょっと自由雲台のネジを緩めると、カメラの重みで画角の外に出ちゃうんですねぇ。
自由雲台に載せて撮る時は、70mmとか100mmとか無理のない範囲で撮影に臨みましょうと。いまなら、そう思います。それから闇鍋状態で天体を探すのは非効率すぎ。ホットシューに付けるドットファインダーとかあるので、それを使うべきですね。星が見えてたら、言うほど難しくないはず。使ったことないけど、たとえばこんなやつ。
失敗原因その1。最初から望遠で大きく撮ろうと思わない。導入には天体用のファインダーが必要。
次に、運良くアンドロメダ銀河を画角に収めて20秒とかで撮ったとしても、上の写真のように、黄色いぼんやりとした球が写っているだけでした。雑誌でみる写真とまったく違ってがっかり。もうここでカメラレンズじゃ撮れないんだって諦めちゃった。
失敗原因その2。画像処理が必要だって知らなかったんですよ。
15秒とか20秒の露出で撮っていました。銀河のツバの部分とかなんで写らないんだろうって。20秒でもレベル補正すればちょっとは浮き上がってきたのでしょうけれど、JPEGで撮っていたんですねぇ。いまならRAWで撮影するんですけど、JPEGをレベル補正したり、トーン補正したりしたらブロックノイズだらけになりますよね。
JPEGじゃなくて、RAWで撮る。これ必須。画像処理は、Lightroomとかでもいいのかもしれないけど、多数枚を撮影して、1枚に合成するコンポジットをしないといけないわけでした。当時、macしか使ってなかったので、コンポジットできるソフトウエアを知らなかったんです。StarStaXっていうのもありますが、星を点にまとめてアライメントしてくれません。Lynkeosてのもあるけど、使い方が良くわからん。
失敗原因のその3は、天体画像処理はmacでやろうとしない。
Windowsでやるが吉です。そして、Windowsマシンを買って、ステライメージを入れてから、ヘタだけと、まともな画像処理ができるようになりました。WindowsだったらコンポジットするのにRegistaxとかフリーのソフトもあるしね。
失敗原因のその4は、ポラリエで望遠を使うなら自由雲台は使わないです。
ポラリエを使って、まともに天体が写るようになったのは、ドイツ式に改造してからだと思います。200mmとかの望遠レンズだと自由に画角が決められない自由雲台をやめて、赤経と赤緯の角度を変えるだけで被写体を捉えられるようになってからは、200mmでも画角に入れられるようになりました。逆に言うと、200mmとかの望遠で撮影をしようとしたら、ポラリエを改造したほうがいいかもしれません……。そうするとお金かかるよね。まずは無理のない画角で撮影することですかね。
あと、カメラがねぇ。星団はともかく、星雲を撮るのに赤外線感度があったほうがいいとか、あとで知るわけです。キヤノンのkissとかなら改造してくれるショップさんもあるけど、ソニーのNex5とかα99とか改造してくれるところがないんですよ。しかもNex5はタイマーレリーズがないとか、まったく天体向きじゃない。α99もホットシューの形が特殊で、素直に天体用のファインダーが付けられないんですよ。失敗原因のその5。カメラならどんなカメラでもいいいと思ってた。
星景ならどんなカメラでもいいんでしょうね。なかには赤外線感度の高いカメラもあるようなので、一概には言えないけどでも、星雲を撮るなら、天体改造機がいいと思うんですよ。
いま使ってるのは、冷却CMOSのASI1600MC-COOLなんですが、ちょっといい一眼レフのお値段で買えちゃう(フォーサーズだけど)。撮影するのにパソコンいるけど、買って後悔なし。
いま考えると、赤外線とか関係のないアンドロメダ銀河を撮るなら、普通の一眼レフとカメラレンズとで戦えたんだと思います。ほかの先輩方もいろんな失敗を重ねてきたんだろうなと自分を慰めてみる……。
天体望遠鏡を買って、初めて撮ったアンドロメダ銀河が下の写真です(それから撮ってもないけど)。冒頭の写真しか撮れる腕がないのに、機材を揃えたら、それなりに撮れてしまうのが天体写真の恐ろしいところ……。これが沼の始まりとは……。
この記事へのコメント
素晴らしい記事ですね。皆、同じような過程を通ってるんだと思います。
色々ググったり、アストロアーツのギャラリー見たりすると、何年も前から良い写真(うまい加工)されているもので溢れている訳で、天体写真ってのは、皆似たような過程を紆余曲折する遊びなんだな…と思ってます。
その中で、コイツはちょっと違った事やってるな?とちょっとでも思われるような遊びをしたいと思ってます。
ご清聴ありがとうございました。
最後の素晴らしいアンドロメダを除き、オヤジも同じような感じでした。
ポラリエ
マニュアル通り、北極星を見つけて、カメラとレンズをそっと載せ固定すると、北極星が居ない。
何度やっても駄目で、理由も解らずこれで諦めました。
スカイメモSも同様。
初心者用って、安い機材の事を言うのかと思ってしまいます。
スキーは、SAJの一級を持ってますが、スキーも三点セットとか、異様に低額の値札が。
こんなんじゃ、足を骨折するよ的なのが多かったですね。
何か似てるような。(笑)
Advanced VXに最初に出会ってれば、後にポラリエならスンナリ赤ポタが使えますよね。(笑)
けむけむさん、なるほど確かに一定の写真が撮れるようになるまで、あーでもない、こーでもないと先達の道を追うのは誰しも経験することなわけですね。私の場合、確かめもせずいろんなことをやってしまう性分なので「コイツはちょっと間違った事やってるな?」と思われてしまいそうですが、めげずにやっていきます(笑)
オヤジさん、私は小学生のころジュニア4級とりました(爆)ポラリエはやすいけど星野写真の入門機ではないかもしれませんね。基本、星景写真を撮るためのツールなので、これで望遠を使うのは無謀?ということなのかも。Advanced VXから入門すれば、ポラリエの限界も自ずから分かるので、無理なことはしない / できないと。それを二軸に改造して星野写真を撮るのは「も・の・好・き」。
色々と懐かしい香りとともにドキドキする記事ですね♪
私の場合、三脚+借り物のカメラで天体を撮り始めたのが小学5年生の頃。中1で一眼レフと赤道儀を使い始めて、望遠鏡の直焦点撮影に成功したのがようやく中3の頃。暗室でのコンポジット処理に成功したのが高2の頃で、PCでの画像処理に至っては社会人になってからという具合でして、にゃあさんの記事はまるで早送りの『走馬燈』のようです。
さて、待望の夏休み(4連休)をゲットしたので、いよいよ天体復帰しますよ~!!
あぷらなーとさんのコメントを読んで、デジタル化の波の強大さを考えずにいられませんでした。確かに、私も社会人になってしばらくは写真を暗室で現像と紙焼きをしていました。フォトショップが出回り始めたころは、明室現像なんて言葉もありましたものね。デジイチの値段がこなれてきたのはここ15年くらいですか? 処理ソフトの普及はもうちょっと後でしょうか。ネットではあちこちに情報があって、ショップもネットで注文に対応してくれて、しかも翌日届くとか。まちがいなくデジタル化で社会の回転が速くなってますね。夏休み、いってらっしゃいませ!