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天体撮影専用「StellarMate OS」って何なんだ?

ノートパソコンいらずの環境を探していたら、StellarMate OSという製品に行き着いた。ZWOから発売されている「ASI AIR」と機能は同じかそれ以上で、小型コンピュータの「Raspberry Pi」を使って、カメラや赤道儀を制御する。むしろ「ASI AIR」は、StellarMateの派生なのかな?(追記:違うみたい) ASI AIRは、ZWOの製品しかつなげないようだけど、StellarMateはQHYでもキヤノンでもだいじょうぶそう。新しい、おもちゃを発見した気分♪

Welcome to StellarMate
StellarMate is the next generation astronomy gadget for control and automation of your observatory

StellarMateは、日本語での紹介が見当たらなかった。私の理解は及んでいないのだけど、かなり興味深いので、概要だけでも記しておく。あとは詳しい人におまかせなのだ。

Raspberry Pi (日本では「ラズパイ」って呼ばれてる)は、手のひらサイズの小さなコンピュータ。たいがいはRaspbianというUnix系の標準OSをマイクロSDカードにOSをインストールして使う。StellarMate OSは、ラズパイ用の天体撮影に特化したOSで、機器のリモート制御を行なうオープンソースのソリューション。

OSというくらいだから、たぶんRaspbianの代わりにインストールするんだと思う。被写体を選んで、天体を導入し、撮影できる。スケジュール撮影にも対応。ワークフローを自動化できる(んだと思う)。

モバイルバッテリーで稼働するわけだから、でっかりバッテリーは不要。すばらしい。

StellarMateは3つの製品群から構成されているみたい。

StellarMate OS
OS本体。ラズベリーパイにインストールするOS単体(.img)。ダウンロード版が49ドル。ラズパイを持っているならマイクロSDにインストールして使えるようになる。Raspberry Pi 3 Model B+ スターターセットはアマゾンで6,280円。

要件:Raspberry PI 3/3B+
8GB MicroSD. A 16GB+ Class 10 MicroSD を強く推奨

StellarMate
StellarMate OSがインストールされ、セットアップ済みの製品。155ドル。ただし、品薄のため10月8日からの取り扱い。ASI AIRが23,000円なので、さらに割安。ZWO製品以外に使えるとあれば、試してみたくなる。

Ekos
これがよく分かってない。Ekosは、たぶんINDIのフロントエンド。Ekosにはクラウドバージョンがあって、Ekos Liveと呼ばれている。帯域は500M/月に制限されて、ストレージや極軸合わせ機能は使えないけど、月額無料。制限のないバージョンは月額4.99ドル。Ekosは、StellarMateを導入したら、すでに使える状態になっている。VNC Viewer を使ってアクセスするか、HDMIケーブルを使って直接アクセスする。VNC(Virtual Network Computing)が使えるので、リモート操作を前提としていると思う。EkosをWindows,Mac, Linuxのクライアントとして使うためのインストーラーも用意されている。

INDIというのは、機器接続のプロトコルで、Windowsでいうところの、ASCOMドライバみたいなもの。ざっくりそう理解している。Macなんかは、INDIで接続するので、そんなに特別なものじゃないみたい。INDIがサポートしている機器なら接続して使える。キヤノンもOKだ。

ちなみに、「(2+2+4)-wheel life」さんが書かれた「Project INDI」 のシリーズ(1〜7)が分かりやすかった。順に読んでいくと、だいたいのINDIのイメージがつかめた。

私にも使えるんだろうか? 「偉大なるノッポとプリン」ののりきゅうさんらがRaspberry Piを使った機器制御をされているけれど、私には、難しそうで手が出なかった。だけど、こうやって、OSとして撮影環境がバンドル提供されているなら話は別。

ラズパイとマイクロSDを買って、OSをインストールするところから始めると楽しそう。加えて、セットアップ済みの製品が入手できるなら、やってみようかという気持ちも湧き上がってくる。

StellarMate OSをインストールしたあとは、ディスプレイに直接HDMIでつないだり、AndroidやiOS、WIndows、Macからリモートで制御したりできるみたい。

ここからが大事だよね。StellarMate OSで何ができるのか。サイトが提供しているフィーチャーページをのぞくと、インタフェースや機能まわりのイメージはつかみやすい。すげー強力だな。

Feature Tour
StellarMate is the next generation astronomy gadget for control and automation of your observatory

・リモート撮影が可能
・KStarsによる制御(StellariumとかCdCみたいなプラネタリウムソフト)
・高機能なFITSビューア(即時にディベイヤーをかけてくれたり、情報をオーバーレイしてくれる)
・観測プランナー(どんな天体がどう見えるかとかシミュレートをする)
・撮影ツール(APTみたいにシーケンスを作って撮影できるみたい)
・ROIで動画撮影もできる(惑星撮影にも向いてるってことよね?)
・視野回転装置のサポート(よくわからん)
・ダークライブラリの管理(楽ちんにできるらしい)
・オートフォーカス
・オートガイド(外部ソフトとして、PHD2 や LinGuiderも使える)
・Precision Astrometry(北極星が見えなくてもアライメントが可能)
・極軸合わせ

・スケジュール撮影
・ドーム制御
などなど

StellarMate OSは、基本Linuxだし、オープンソースなので、製品としての使い勝手は期待しないほうがいいと思う。セッティングまわりではまってしまいそうな予感がするので、慣れている人の方がいいと思う。オヤジさんの好物だと思うので、オヤジさんやけむけむさん、のりきゅうさんとか、えんじにゃさんなら使いこなせると思う。

このおもちゃ、インターネット黎明期2000年あたりのときと同じにおいがする。

追記:このあと悪戦苦闘が続くのですが、550日後に成功しました。成功したのはStellarMateではなく、Astroberry-Jという無料のディストリビューションです。StellarMateも同じようなものなので、どちららか好きな方を選ぶ感じです。

 

苦節550日、やっとこラズパイでリモート撮影ができた!
StellarMate OSの存在を知ってから1年と半年が過ぎ、やっとようやく今夜、ラズパイを使ってリモートでまともに写真が撮れた。「まともに撮れた」というのは、星図で天体を導入し、Plate Solving(写真下)ができて、シャッターが...

この記事へのコメント

  1. これ面白そうですね!
    んん?「視野回転装置のサポート」ですと?
    ひょっとしてこれ自動追尾経緯台で発生する写野回転現象を補正する機能?!
    (ま、専用の回転装置は必要でしょうけれど。)
    いや、単に電動回転装置のリモコン機能なのかも??

    • あぷらなーとさん、視野回転装置を調べてみたら単体で10万円くらいしてました(汗)DIYして制御できたら面白そうです。そして、きっとドブの道に行ってしまいそうです(笑)

  2. これは、のりきゅう先生の分野だと思いますよ~

    • けむけむさん、いよいよのりきゅう先生の時代が到来したのでしょうか。あるいは完成されたら、むしろ興味の対象じゃないかもしれませんね。そちら台風だいじょうぶですか?

  3. こんにちは~(^^)/呼ばれた気がしました。
    そうです。これは中身がラズパイでINDIが動いてます。
    天文機材制御用にカスタマイズされているものです。
    イメージとしては、この機械にUSBで機器を繋いで、外部PCで制御するような感じです。
    Linuxと言うと敷居が高いですが、ブラックボックス化して機器制御装置として考えればいいのかな?
    実際の運用はPC用のソフトとしてKStars&Ekosで行うというのが定番でしょうか。
    私がやってることと全く同じことがオールインワンボックスでできるというのが特徴でしょう。
    なんとなーく私の日記で感じていただけたらと思います(汗
    日本語化が不完全なのでそのあたりの敷居の高さはあります(^^;

    • のりきゅうさん、お呼び立てしてしまいました(笑)とても参考になる情報を掲載してくださって、ありがとうございます! おっしゃるとおり、オールインワンのブラックボックスと考えれば気が楽になりますね! Keosはパラメータが多くて難しそうですが、そのうちチャレンジするかもしれません。ブログにお邪魔して、見当違いの質問をしてしまうかもですが、そのときは生暖かく見守ってやってくださいm(_ _)m

  4. 引き続き過去記事を読ませてもらっています。
    Raspberry Piは、得意分野で複数台家で実用しています。遊びではこんな感じのものを3Dプリンターとプログラミングで作っています。
    https://youtu.be/UVDAvd_FZDs

    天体撮影にも使えると知ってちょっとワクワクしています。
    昔はブログを書いていたのですが、すっかり遠のいていますが、自分の活動を公表する場所が欲しくなってきました。

    • Kenさん、ありがとうございます。参考になればよいのですが。

      YouTubeを拝見しました。取り組まれていることが、本格的というのか、専門的すぎて、ひたすら感心しています。とても遊びとは思えないですね!

      ソフトウエア開発、ラズパイまわりは、リンク集にある、ねこめしさんやのりきゅうさんがお詳しいです。ラズパイを使った天体撮影は、オヤジ日記のオヤジさんとSalon de AstronomyのT-Studioさん,TAKさんにいつも教わっています。どうぞ、ご参考になさってください!

      • 皆さん非常に読み応えのあるブログで、読破するには非常に時間がかかりますね。

        興味の矛先が彼方此方ブレそうで怖いです。

        • みなさんには、本当に勉強させていただいてます。本当、感謝です。
          ちなみに私の興味の矛先は、ご覧の通り、ぶれまくってます(笑)

  5. こんにちは、通りすがりの者ですが、教えて頂ければ大変ありがたいです。
    私はOnStepで赤道儀を動かしてますが、アルディーノがベースのOnStepコントローラーにラズパイをつないでStellarMateを使うことは可能なのでしょうか。それと、Linuxで動くStellarMateをリモートでWindows10のラップトップを使って操作することは出来るのでしょうか。稚拙な質問で申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

    • 天撮さん、こんにちは!

      私自身はまだ試していないのですが、OnStepとStellarMateを使うことは可能だと思います。StellarMateでEkosを立ち上げると、OnStep用のINDI ドライバを確認できるはずです(未確認)。

      Stellar MateはWindowsのラップトップからもリモート操作できますよ。接続はラズパイから出ている電波をWindowsで掴むだけです。デフォルトではブラウザ越しでVNCビューアを使って操作します。URLを打ち込むだけなので、まったく難しくありません。そのほか、WindowsのマシンにEkos/Kstarsのソフトウエアをインストールしてリモートで操作すれば、より快適に撮影できますよ!

      ただ、動く保証がないのが、Linuxと自作の世界なので、動かなかったとしてもそれを解決していくのが楽しみの一つと思って取り組まれるとエキサイティングだと思います!

      • にゃあさん、うわ、本当ですか?未確認でもワクワクしてしまいます。You Tube チャネル「Cuiv, The Lazy Geek」で最近ラズパイにStellarMate をインストールしてZWO ASIAIR みたいに使っているのを見ました。金額的にもかなり魅力的で、もしOnStepに接続出来れば朗報なんだけどなぁと大変気になっていたところです。勿論、簡単にはいかないことはOnStepを使ってみて分かります。仮に上手く行かなかったとしても、新しいテクノロジーを自分のものにしていく楽しさをじっくり味わえると思うと楽しみです。ご回答ありがとうございました。

        • おお、奇遇ですね。Cuiv, The Lazy Geekさんのその動画、私も先日見ましたよ!

          少し前にスマホ版StellarMateを使ったときよりも、動画で紹介されていたバージョンが進化していたような気がしたので、ちょうど再確認しようと思っていたところだったんです。

          私もAP赤道儀をCoolStep改造しているので、ちょうどいい具合に動作確認できそうです。これがうまくいけば、スマホ撮影でいいんじゃないかと思い始めていますよ。

          天撮さんも、うまくいくといいですね!

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