「光害地のベランダでも星空は撮れるんだよ」というのが言いたくて、天体撮影のヒントをまとめてみました。はじめに断っておきますと、私、にゃあは、天体撮影を始めて1年半の入門生です。なので、以下の方法が完成されたものではなく、短い経験に基づいたメモに過ぎないことをご承知ください。逆に言うと、まだまだ改善できるのですけどね!
★ 23区内のマンション・ベランダで撮影した作例は、カテゴリ「東京の空」に順次まとめています。
私が住んでいるマンションは、東京23区内の住宅地にあります。2階です。歓楽街のネオンがギラギラしているわけではありませんが、複数の繁華街が徒歩圏内です。マンションの前、道路をはさんで数メートルには防犯灯が立っています。
東京の空で、まともに撮れる天体なんて、月くらいで、たかが知れてると思っていたのですが、1年経ってHαフィルタを使い始めるようになってから、急に(遠征先にはかなわないものの)満足できる写真が撮れるようになってきました。
光害地のベランダで満足な撮影ができる理由を考えていたら、光害地のベランダ撮りにおいて、大きくわけて次の3つの問題が大きく立ちはだかっています。
(1)空が明るすぎ → そもそもの問題
(2)北極星が見えない → 極軸が取れない
(3)星が見えない → 天体の導入ができない
結果的に、この3つの障壁をクリアできたなら、そこそこ天体が撮れるはずです。
対策
I. 防犯灯対策
ただでさえ空が明るいのに、防犯灯がさらに追い打ちをかけるとか何の罰ゲームかと。私の家の場合、ベランダの壁にガラスの部分とコンクリートの部分があります。ガラスの壁だと街灯の光が直接ベランダに入ってくるので、コンクリート部分の前に三脚を置き、望遠鏡が壁の高さを超えないよう低い位置に設置しています。ガラスの壁しかない場合は、ダンボールなどで光を遮ってもいいかもしれません。
II. 極軸をとる
北の空が見えたとしても、北側にビルがあって北極星が見えないとか、そんな環境があると思います。極軸合わせは、ビクセンのポラリエなどでしたら、ポーラメーターが使えますし、iPhoneならAstro Locatorで方角だけでなく傾斜角もOKです。あるいは普通にコンパスで北を取ることができます。マンションのベランダなら水平は問題ないでしょう。ざっくりでOKと思いますが、必要なら執念で追い込みもできます。
III.電子ファインダーで天体導入
私の環境の場合、多くの夜は一等星しか見えません。夏は大三角の3つくらい? 冬になると多少賑やかですが、大半はビルの影に隠れます。天頂付近に星があると、ベランダの屋根で見えません。一等星が1つ見えたくらいでは、自動導入赤道儀のアライメントができません。私は自動導入を諦めています。その代わり、星を辿って天体を導入するという、昔ながらの方法でやります。そのためには6等星くらいは見えていて欲しいです。肉眼では無理なので、電子ファインダーを使います。
電子ファインダーとして、激安CマウントレンズとQHY5III174Mを使っています。QHY5III174Mは、比較的高価ですが、たまたまガイドカメラになっているだけで、ガイド用の3万円くらいのカメラでもいけるのではないでしょうか。ノートパソコンにカメラを接続します。オートガイドのPHD2に画像を映し出し、起点となる星を特定して、星を辿り、導入します。慣れるまで大変だけど、勉強になります。M42はPC上に見えてるし、馬頭星雲はアルタニクを入れればいいだけだから楽勝ですよ。ほかは泣けるけど(笑)
IV. Hαフィルター
これが要ですね。私の場合、Hαフィルターを使ってから見られる写真が撮れるようになってきました。OPTOLONGのNight Sky H-Alphaというシャープカットフィルターもあるのですが、こちらはよりは、ZWOの半値幅7nmとかのほうが良さそうな感じがします。半値幅は値が大きいほうが光が多く取り込めますが、その分、光害の影響を受けやすいということでしょう。私は7nmを使っています。
光害地のベランダでワンショットカラーは諦めました。といっても、いずれナローバンドによる疑似カラー合成は挑戦しますよ。カラー写真を諦めたわけではないです。
以下、オプション
V.モノクロカメラ
天体改造一眼レフでHαは撮れるようなので、必須とは言わないけど、モノクロカメラがおすすめです。カラーを狙って撮っても発色が悪く、モノクロでごまかすハメになってしまってます。問題は値段、高いですよね。私の場合は、QHY5III174M(非冷却)を買って、それからASI1600 MM COOLに移りました。QHY5III174Mがガイドカメラになっているのはそういう理由です。はじめからMMにしておけばよかった……。
VI.明るい鏡筒
F4以下の明るいレンズがいいですが、私が使っているカメラ・レンズは周辺減光が激しいので、BORG 55FLのレデューサー付きを導入しました。ナローバンドしか撮らないのなら、Sky Explorer SE102とか、色収差を考えなくていいアクロマートの安い鏡筒でいいんじゃないかと思っています(未検証、無責任発言)。
ここにたどり着くまで、cockatooさんにいただいたアドバイスが大きく役に立っています。ありがとうございます!
この記事へのコメント
空が明るいから、画像処理が出来ない。と、信じて疑わなかったのですが、HIROPONさんもですが、どうして、23区内で星が撮れるの、どうしたらこんなに綺麗に画像処理ができるの!!!と、何時も思ってますよ。(大汗)
愚痴は、この位にして、
最近、どちらだったか、自宅近くのLED外灯にシェードって言うのかリフレクターと言うのかを付けてるblogだったと思います。
我が家も鏡筒に直接届くLED外灯は4個、数秒、直視していると目が眩みます。
それと、最近解って来たのですが、周りの建物、特に白っぽい建物は、LED光を受けて、間接照明のように光りますね。
本当、観測場所が無くなりました。(笑)
防犯灯なので、路面付近を照らすのだと思いますが、メーカーさんも、シェードの形をもう少し考えて欲しいです。
来年度、自治会の役も回ってくるので、役職乱用しようかと、考えてます。(爆)
モノクロカメラとナローフィルターなら、アクロマートでツイン組めそうですね
30日まで客先で軟禁状態です。年内は
今夜、パンツ変えに自宅帰ります(-_-;)
Hαでちゃんと撮れるならばやっぱり疑似カラー合成にも挑戦しないと駄目ですよね~。……自分がまだしていないので言ってみただけです。こうやって見ると悪条件でも撮る方法というのはあるものですね。ただ、R200SSを振り回すのはかなりキツそう……。R200SSでナローバンド撮影というのも面白そうなんですけどね(自分も来年には挑戦してみるつもりです)。
こんばんわ
私潜伏地域は田舎ですが防犯灯はあります。← 最近LEDにかわって嫌がらせの様です…
勝手に防犯灯に周囲への不要光対策したのは内緒です。
>自動導入を諦めています。
極軸が正確に合わせられる環境なら基準星一つ視野に入れれたら目盛環使って導入できるけど、極軸が合わせられないと辛いですね。
視界の制限や極軸合わせの困難さを考えると、ある意味、こちらよりさらに過酷な環境ですね。ウチの場合、撮影場所にしている公園の視界が開けている分、長時間露出とかもできるのでだいぶマシかもしれません。
LED照明は……こちらも公園の照明が次々と置き換えられていて頭を抱えています。それでも節度のある照明ならまだよかったんですが、芝生のライトアップに加えて防犯も目的らしく、ほぼ全方位に強烈な光をまき散らすので迷惑この上ないです。管理しているのが区なので、場合によっては、ここで撮った天体写真を添えた上で区にねじ込むことも考えつつある今日この頃。
ぶっちゃけ、勝手にシェードをかけるなどの実力行使も考えないではないのだけど「モノの機能を毀損する」という広い意味では器物損壊だし、目を付けられて出禁にされるのも困るので、なるべく行儀よく……(^^;;;
F値の明るい筒といえば、ねお丸さん御用達、ビクセンオンラインストア限定のAV-103SS II+レデューサーセットなんかもアリですね。実際、ナロー用には結構使えるんじゃないかとずっと以前から期待してたりします。
オヤジさん、うちの前の防犯灯はまだ水銀です。LEDになるのは時間の問題と思います。役職乱用のいい理由を考えないとですねぇ。環境省の光害対策ガイドラインを錦の御旗にするとか、(深夜まで起きているのに)不眠を訴えるとか、(実は曇天の影響なのに)睡眠のリズムが狂うとか……。
けむけむさん、アクロマートツインの考えはありませんでした。ということはMMもう一台ですか? うううぅ。星空お預け状態だと思いますので、せめて、いいパンツをはいてくださいm(_ _)m
上杉蒼太さん、OIIIは手元にあるのですが、ホイールに封印してあるので、ネジをはずして取り出すのが億劫になっています(笑)うちのベランダではR200SSは振り回せそうもありません。来年になりそうですが、遠征先で挑戦してみたいです。
moritoさん、LEDは嫌がらせ級に明るいですよね。不要光対策は内緒にしておきます(笑)200mmの広角で手動導入すると、たいがい画角のどこかに入ってるという感じです。400mmとかになってくると、導入自体に苦労するかもしれません。目盛環のついた赤道儀が欲しいのですが、ついてる赤道儀に限って高いですね。いつかはロスマンディー!
HIROPONさん、電線問題もあるので、ガイドなしの1時間か、ガイド有りの30分かという選択を迫られています(><)AV-103SS II+レデューサーセットいいですね。まじまじと見てしまいました。お値段的には55FLに近づいていくので悩みましたが、103mmの集光力は比較になりませんね。口径だけみるとED81Sよりも大きいので、遠征先でも使えそうですし、レデューサーコレクター付属であることやコンパクトさも魅力です。AP赤道儀に乗せた姿が素敵……
いかん、いかん ∑( ̄Д ̄ll)
ありがとうございます。
これは、にゃあさんはお持ちでないので言及がないのは当然ですが、導入や架台に関して私が追加できる情報として、自動導入・追尾ができる経緯台の利用があります。
メリットは、極軸合わせが要らない、赤道儀と比べ設置場所の面積・体積が相当少ない(鏡筒が大きく振り回されない、ウェイトやシャフトがない)、暗い天体の導入が可能 などがあります。
もちろん課題は、長時間露出が不可能というのがありますが、短時間露出(数秒~)を大量スタックする撮影方法を用いると、ほぼ長時間露出とみなせる画像を星を点像として写すことができます。(この撮影ではsharpcapのライブスタックが便利) また写野が回転するので、長時間の撮影でどんどん四隅が欠け、最終的には円形写野になりますね。(昔LX-200用にはフィールドデローテータというものが売っていましたが)
この撮影方法は、自動導入追尾ができるタイプのドブソニアンでも有効だと思います。赤道儀ではなかなか得られない口径の機材での撮影が可能になるかもしれませんね。(研究機関の天文台と同じですかね)
cckatooさん、ありがとうございます。NexStar の架台でしたでしょうか。極軸合わせがいらないのですね。私のベランダに理想的です。先日、オークションに出ていたのですが、指をくわえてみているうちに落札されていました。9.25インチに縁があるなら、架台と一緒に購入するのもありかなと思ってしまいました。が、高いですね(^^;