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タムキューさんと5つの干渉フィルター 消えたカリスト

星空を撮影した際に、タムキューさんは青ハロを吐くことが分かっていたので、もっとも有効に青ハロを取り去ることができるフィルターはどれか、というのを試してみた。また、31.7mmフィルターの組み合わせでは、日中にフレアが観察されたので、輝星を撮った場合にゴーストが出るかというのも試してみた。


被写体は、木星さん。参加していただいた31.7mmのフィルターさんは(1)UV/IR Cut、(2)UHC-S、(3)Hα 7nm、(4)L-eNhance、(5)LPS-V4の5名の方々です。EOSのボディに収まっていただきました。フィルターなしさんも参加予定でしたが、雲が出てきたために欠席となりました。

では、さっそく見ていただきましょう。いずれも、ISO400、F2.8、露光8秒で、等倍切り出しです。

UV/IR Cut

ホワイトバランスはカスタムに設定してありますので、今日の東京の空は緑色ということですね。思ったとおり、青ハロが出ています。あまりに青ハロが元気なので、衛星のイオが青ハロに隠れてしまいました。

UHC-S

背景が青く引き締まっています。青ハロは抑えられていて自然に感じられます。青ハロが抑えられたせいか、イオの形がうっすらと確認できます。青ハロ対策には効果がありそうです。

Hα 7nm

半値幅は7nm。光量が絶対的に足りないのでしょう、どの衛星にも元気がありません。というか、ほかのカットでは写っているカリストさんの姿が見えないのには驚きました。カリストのの表面には、水素がないか、極端に少ないからでしょうか?(追記:水素がないんじゃなくて、Hα線を吸収する水素があるから見えないんじゃないかという話は分かった。でも、カリストが水素に満ちている星だという説明がすぐに見当たらないので、納得できないでいる)

青ハロは出ていませんが、赤いハロが激しいです。波長が赤しかないから、赤く輝くしかないので、自然といえば自然ですが。ナローバンドでは、光量が少なくなるのも、これでよく分かりました。倍の露出はかけてあげないといけないかも。

L-eNhance

デュアルナローバンドのL-eNhanceです。参加した5名のなかでは、一番くっきりと衛星が確認できます。Hαでは捉えられていなかったカリストも写っています。背景の色の締まり具合も好みです。

LPS-V4

自然なトーンで写ってくれる私のお気に入りフィルターなのですが、自然さという意味で、背景はUV/IR Cutさんとよく似た緑色をしています。イオが緑ハロ?に隠れそうになっているところは、UHC-Sさんとよく似ています。足して2で割ったような雰囲気でしょうか。


初めてタムキューさんを使いました。ピントリングはスッカスカですが、マニュアルにすると少し抵抗を感じる具合に。ピント合わせに苦労はありませんでした。むしろ合わせやすく感じるくらいでした。

90mmというレンズサイズも使いやすいですね。200mmだと「望遠レンズでございます」という感じで重くて長いのですが、このサイズだと標準レンズの延長として使えそうです。この焦点距離で4つの木星の衛星が写ると思っていなかっただけに、少し感激しました。

今回の条件では、どのカットにも輝星(木星)のゴーストは出ていないようです。カメラレンズと内蔵31.7mmフィルターの組み合わせは、地上戦はともかく、宇宙戦用での利用には問題ないように思えます。青ハロも味のうちと考えれば、フィルターの利用にこだわることもなさそうです。

「カリスト表面には水素がないかも説」は、あとで調べるか忘れるかします。

とりあえず、タムキューさんで遊んでみました。

この記事へのコメント

  1. 『カリスト表面には水素がないかも説』はたぶん違うよね。^^
    でも、なんでだろうね?不思議だ。^^ニャアサンノ ホウコクヲ マツ(orオイラモ ワスレル)

    • カリスト表面には水素がないかも説が合ってるか、間違ってるかも私には判断できないのですよ。そもそもHαが何なのかが分かってないですし、カリストと違って、なぜイオやエウロパはHαで写るのかとか、Hαを吸収するってどういうこと?とかわからないことだらけです。

  2. 5種類のフィルターの比較が分かりやすいです。
    ゴースト?ハレーション?の影響がなさそうなので良かったです。

    最近のレンズ、全く分からないのですが、絞ったりできないんですかね?

    • i*matさん、F5.6とかまで絞ったほうが青ハロ対策になるし、手っ取り早いですよね。全開して撮影時間を稼ぐということしか頭になかったです。90mmで狙う星野なら1時間も撮影しないですよねたぶん。おっしゃるとおりです。トホホ。

  3. 惑星、衛星の光は太陽光の反射なので、星や星雲の輝線とは違います。写らない色ということは、大気や水、地表の鉱物などでスペクトル吸収するからですね。
    (葉っぱが赤外だと光るのと同じ感じ)
    天体用のフィルターは反射するものが多いので、フィルターで反射-レンズにあたって戻って、ゴーストとして現れるということが良くあるのですが、影響はあまりなかったようで何よりです。

    • あぴさん、ありがとうございます。

      私が分かってないだけなのですが、たとえば、M42の羽とか星雲ってそれ自身が光っているのですか? てっきりどこかの恒星の光を受けて明るくなっているのだと思っていました。

      カリストのHαを吸収している物質っていうのが、ちょっと調べただけでは分かりませんでした。「水素が含まれていることを発見した」という記事もあったので、そもそも多くの水素がないということもあるんではないかと、頭が混乱というか分からないことだらけです(笑)

      • 高温になったガスが自ら光を放っているものと、近くの星の光を受けて光っているように見えるものの両方があります。青っぽいのは反射。赤っぽいのは自発光
        らしいですよ。

        • あぴさん、ありがとうございます! 輝線というくらいだから、自分で光ってるのですね! ただ、光るためには、近くにエネルギーとなる光子を放つ恒星が必要と。ふむふむ誤解していました。

          カリストは地表の何かがHαを吸収しているのに対して、ほかの衛星は、太陽のスペクトルのうちHαも反射している(?)という感じでしょうか。

          写真撮影ではなくて、天文学の話ですね(汗)

    • このスレッドで、概ねスッキリ。^^b
      Hαを衛星自ら発光していないことが真(太陽からの連続スペクトルの反射の一部)ならば、吸収されてるんだろうという仮説が自分の中で有力だった。
      というよりも、それ以外に思い浮かばなかった。^^;

      • 是空さん、あれからちょっと勉強しました。

        星雲のある領域で、水素がHαの輝線を放ったり、水素がHαを吸収するのかという理屈は、なんとなく分かり始めました(が、肝になるエネルギー準位の話がよく飲み込めない)。

        一方で、物質が光(電磁波)を吸収したり反射したりするという理屈がよく分かりません。光を反射する/反射しないというのは、どういう現象なの? 物質が光を吸収したらどうなっちゃうの? 反射した光はどうなっちゃうの? とか、一休さんのドチテ坊や状態です。

        カリストがHαフィルタで写らなかった理屈、それは本当に水素のせいなのか、カリストにそもそも水素があるのかとか、分からないことだらけです 。

        私は、マイナス掛けるマイナスがなぜプラスになるのかが飲み込めず、テストを白紙で出すことで授業に抗議して(いるつもりになって)落ちこぼれるタイプなので、一度ツボにはまってしまうと、途端にめんどくさい人になってしまいます(^^;

  4. おいらが理解しているレベルの話。(あまり信用できないので注意)

    ① 光を反射する/反射しないというのは、どういう現象なの?
      物質(原子レベル?)は光を反射、吸収、透過のどれかの挙動をしめす。
      具体的にそれぞれがどういう現象か?と聞かれるとよくわからないけど、
      3つのうちの一つの挙動という理解。

    ② 物質が光を吸収したらどうなっちゃうの?
      これはその物質のエネルギになると思う。
      たぶん普通は電子の位置エネルギに(原子に電子が回る軌道があるけど、
      外側に移動することで、原子核からみた位置エネルギが高くなる)なると思う。
      または質量(相対性理論では質量もエネルギ)になるんじゃないかな?
      陽子を加速器にかけて光速に近づけると、徐々にエネルギを加えてもだんだん
      加速しずらくなるらしいんだ。加えたエネルギの多くがスピード(=運動エネルギ)
      にならずに質量に変わるんだって。
      物理学では、
        質量=運動の変化をしずらくするもの
      というのがあるけど、なんとなく納得できる。

    ^^;ブンケイノ チシキダカラ アテニナラナイヨ

    • 是空さん、ありがとうございます! 反射と吸収の話ではないのですが、Hα輝線の話はこのサイトの説明がアニメーション付きでわかりやすかったです!

      http://galaxy.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/mano/index.html

      • まだサクサクっと読んだだけだけど、簡潔でわかりやすかった。
        こういったことに詳しい人は、絵や図を使った説明がうまいよね。

        おいらが言った位置エネルギってエネルギー準位っていうのね。
        ^^b

        • そのエネルギー準位というところが飲み込めないんですよね。でも、一番わかりやすく説明しようとしてくれているので、がんばって読んでみたいと思ってます

  5. マイナスをマイナスで掛けるとか、分数を分数で割るとか、素直に理解できないよね。
    ^^;アタマガ ポーーーン!!

    • 虚数もそうでした。学校の先生がなぜ虚数が存在するかの説明をするときに「便利だから」と言っていました。その一言だけで、授業を理解する気持ちがゼロになってしまったのを覚えてます(笑)

  6. ご紹介サイトの説明、分かりやす~い。アメフリの夜、知識ふぇました。バルマー輝線がいきなり出てきてチョトびっくりしましたがちゃんと後で説明されてる・・・
    水素水をコップに汲んで太陽にかざすと違って見えるんですかね?
    スペクトルってなに語?ってのが昔からの疑問・・・

    • >水素水をコップに汲んで太陽にかざすと違って見えるんですかね?
      私も同じようなことを考えてました。Hαフィルターで撮影している鏡筒の対物レンズに水素ガスを吹きかけたら、像が消えるのかって(笑)

      最近、衝撃を受けたのは「性はスペクトル」という考え方で、文化的なだけじゃなく、生物学的にも性は男か女かというどちらかで分けられるものではなくて、男っぽい女もあれば、女っぽい男もあって、それぞれが連続して性別を構成している! というものです。

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