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フィルターワークは特別なの? 財布に厳しいの?

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オヤジさんにいただいたコメントで、フィルターワークは特別なものなのかとか財布に厳しいのかという考えるきっかけをいただきました。ありがとうございます! ありきたりな言い方をすると、沼にはまると何でも財布に厳しいですが、沼の縁に立つ分には、案外、特別でもないし、お金はかからないんではないかと思い始めました。
フィルターワークといっても、いろんなフィルターワークがあって、
(1)光害対応のための光害カットフィルターの装着
(2)輝度情報と滑らかさを得るための、Hα、LRGBフィルタリング
(3)特定の輝線を獲得して、科学的なアプローチを可能にするナローバンドフィルタリング
がすぐに思いつきます。もっと体系的に整理されている先達はいらっしゃると思いますが、経験的にはこんなところかなと思うのです。
(1)は、ワンショットカラーCMOS/CCDや一眼レフによる撮影でも手を出せます(キヤノンなら内蔵するタイプがありますよね)。UHCフィルターだと、7000円で始めることができます。これもフィルターワークの一種ですよね。

(2)になると、モノクロCCD/CMOSを前提にした話ですが、ワンショットカラーCMOS/CCDでモノクロモードにして撮影すればいいですし、LRGBフィルタをセットで購入しても2万円で済みます。いちいちフィルタを装着するのが面倒だからホイールが欲しいなと思うわけで、それでも手動なら1万円しないで入手できます。


フィルタとホイールを合わせても3万円しません。
(3)も(2)と似たようなものかと思うのですが、いかんせんフィルターの価格が一気に跳ね上がります。Hαフィルタ、OIII、SIIになると一枚2万円くらいするので、一気に購入すると萎えてしまいそうですが、Hαをまず購入して、ワンショットカラーと合わせるというコストの分散を考えて2万円ずつ投資するというやり方もあります。光害対策を考えた場合、(1)をすっとばすことができます。満月の夜でも都会のネオンが輝く場所でもHαが強力な武器になるのは、みなさんが報告されているとおりです。
それからやったことはないけど新規にモノクロの冷却CMOS/CCDを買わなくても天体改造一眼レフにHαを装着すれば実現できそうです(ソースは天リフさん)。天体改造しなくても、Hαに敏感な無改造カメラもあるから、まずはそれでスタートすることもできるんじゃないかと思うんです。
(1)(2)は色収差のない/少ない鏡筒がどうしても欲しくなりますが、ナローバンドからスタートするなら、EDレンズとかフローライトとか高価な鏡筒はかえっていらないんじゃないかと思うんですよ。もちろん星像がフットボール状になるとかそんな影響はあると思うけど、ただやってみたい!という好奇心を満たすだけなら、アクロマート鏡筒(とか安いニュートン)+Hα(あとはもちろんカメラと赤道儀)でスタートできます(現実的な選択肢としては難しいとは思う)。
オヤジさんが指摘なさっているとおり、時間かかるし、面倒くさいという点はあるけれど、お財布との相談は、そんなに深刻にならなくてもいいと思うわけです。赤道儀や鏡筒を揃えることを考えるとフィルターワークは誤差の範囲に収まると思います。
天文リフレクションズさんが、いきなり「ナローバンド撮影を極める」「LRGBの世界」という連載から始められずに「モノクロHαナローバンドで星雲を撮る」とわざわざHαに限定してスタートされているのも、違う世界への誘いを趣旨としてやってらっしゃるのだなと、今になって分かります。
【第4回】モノクロHαナローバンドで星雲を撮る
http://reflexions.jp/blog/ed_tenmon/archives/2441
何やるにしても沼はあるので、そこは注意すべきなんだけれど、みんな喜んで沼にはまってるじゃないですか(笑)何が言いたいって、「ナローバンドでもLRGB撮影でも、フィルターワークは、案外、気軽に始められる」ってことかなぁ。特別なことじゃないですよん。
長文失礼いたしました!

この記事へのコメント

  1. 長編記事、読ませていただきました。色々、組み合わせが有るんですね。
    まだ、縁にも達してませんが、原点は、星先生のけむけむさんに教えて貰った、撮ったカラー画像から白黒を作って、元のカラーと重ねる。コレの延長でやってます。
    モノクロカメラにHαを付けて、同じく星先生のあぷらなーとさんに教えて貰ったカメラの切り替えが面倒なのでフリップミラーで切り替え、で、やっと辿り着いた感じです。 
    身体で覚えるLinuxを実践してきたので、これからもユックリですが、よろしくお願いします。(笑)

  2. >にゃあさん
    長編記事、お疲れさまです。
    分かりやすい解説ですね。
    個人的にはフィルターワークは、「目で見えない世界の可視化」と「悪条件下でのチャンス増幅」だと思ってます。
    ほんとはフィルター無しでもババンと写る場所に遠征したいですが、なかなか時間がありませんので。
    >オヤジさん
    オヤジさんの作品に触発されてシャボン玉星雲を撮ってみました。MMにHα、MCにLPS-D1でビームスプリッタ露光です。 
    満月期の市街地でも、そこそこ写せました。
    まもなく記事を上げますね。
    オヤジさんのフリップミラーシステムの活躍も楽しみにしてますよー♪

  3. 「悪条件下でのチャンス増幅」、コレでやってます (^o^)
    ベランダで明るい銀河撮影して赤プチプチが写るとウレシイもので (^o^;

  4. オヤジも、2014年11月にR200SS+GPD2赤道儀+一眼レフ2台他、一式購入したニワトリの夜、愕然としました。
    真っ白で殆ど写ってないんですよね。
    横浜の方がLPS-D1を使って大都会から取った画像がblogに載っていて、拝見して驚きました。
    真似っ子オヤジ、即、フィルタを購入したら、馬頭星雲が一眼レフに薄っすら見えて、娘と大騒ぎしたのを覚えてます。
    不思議ですよねフィルターの効果と財布の中身。(爆)

  5. オヤジさん、フィルタは奥が深いですね。おかげさまでちょっとだけですが、整理がつきました。いろんなフィルターがあるので、どれがどれだか一つひとつ試していったら、すごいことになりそうです。フリップミラーシステムは、合理的なシステムだと思うので、私も被写体を選びながらやってみようと思います!

  6. あぷらなーとさん、ありがとうございます! 地上戦でのフィルターワークと全然勝手が違うので、一から学び直しです。地上戦用のフィルタを宇宙戦に転用するのは、ほとんど用途が浮かびません。せいぜい星景でソフトが転用できるかどうかくらいです。

  7. けむけむさん、そういえば、フィルターでは変態路線行かれませんよね。まさに「悪条件下でのチャンス増幅」を地で行かれていると理解しました。M33の赤いプチプチいつか、しっかりと撮ってみたいです。ベランダからの撮影で電線を消してくれるフィルターないのかと思いますが、ないですよね。

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