R130-Sfという鏡筒は、たぶん主に眼視向けに作られていると思うんだよ。というのも接眼部がちゃちなので、重いカメラを接続したらたわんでしまうからなんだ。実際に、この鏡筒で天体写真を撮影した作例はあまり見かけないよね。
R130Sfの改造では、変わった望遠鏡が欲しかったというのもあるけれど、こやつをED81SIIに匹敵するアストログラフにしてみたいという願望もあった。写真が無理なく撮れるようにと、デフォルトの接眼部を強化する代わりに、それを取り外し、スパイダー部にカメラを付けたのが、私の「プライム・フォーカス改造」なんだ。
R130-Sfの改造が一応の完成をみた後、月面や網状星雲の写真を撮ってみて、だいぶ満足できた。ただ、当初目論んでいたように、「ED81SIIに匹敵するくらい天体写真に使える鏡筒」なのか、その実力を知るべく、作例を増やしたかった。
ちなみにSDレデューサーHDキット(税込61,467円)を組み込んだED81SIIは、口径81mm焦点距離496mm(F6.1)になる。対して、R130Sf-PF改造は、口径130mm,推定焦点距離535mm(F4.1)。スペック的にもお値段的にもR130Sf-PF改の方が優れている。というのが、下馬評なのだ。
しかし、本当にスペックから期待されるような写真が撮れるかどうかは、実際にやってみないと分からない。ということで、もう少し比較できる作例を集めるべく、今回の遠征に行ってきたわけなんだ。
使用機材
被写体になってもらったのは、系外銀河のM33、散開星団のM45、情報量多すぎの馬頭星雲、バラ星雲の4天体。今回現像したのは馬頭星雲とM45で、使った機材は次のとおり。
架 台:セレストロン Advanced VX
カメラ:ASI294 MC(180sec x 30, Gain390)
ガイド:ASI385 MC, SVBONY SV165
撮 影:ASI AIR PRO
以下、R130Sf-PF改の作例を紹介するんだが、オートガイドをしたのに星が流れることがあってだな…。そのあたりは、今後の課題として目をつぶってくれなのだ。ちょうど比較するのに良い過去ログがあったので、そこに掲載した写真を参照して比較するよ。
馬頭星雲で比較する
まずは、馬頭星雲。今回2022年に撮影した画像と、2018年に撮影した画像(2020年に再処理)を比較する。露光時間の差はあると思うんだが、馬頭の輪郭や燃える木のディテールはどちらもしっかりしてる。ED81SIIにはアルニタクのゴーストが見えるな。光芒は好き嫌いの差かな。ED81SIIの3つに割れた光芒は、スペーサー交換で改造されているはず。画像処理の差くらいしかないような気がする。
馬頭星雲 R130Sf-PF改
馬頭星雲 ED81SII
ASI1600 MC-COOL
ED81sII 625mm x 0.79Reducer -> 496mm F6.1
Vixen AP WM Equatorial Mount
GAIN 300, 180sec x 6 (18min)
M-GEN
プレアデス星団で比較する
次はM45。スバル=プレアデス星団。ED81SIIの写真は2016年撮影、2020年再処理。どっちも良いんだが、透明感や刷毛のディテールはED81SIIの方が良いな。
プレアデス星団(M45) R130Sf-PF改
プレアデス星団(M45) ED81SII
ASI1600 MC-COOL
ED81sII 625mm x 0.67Reducer -> 418mm,F5.2
Vixen AP WM Equatorial Mount
GAIN 300, 180sec x 23 (69min)
M-GEN
どう総括すればいいんだ?
うーん、このサイズで鑑賞する分には、どっちも甲乙つけがたいと思う。ED81SIIとR130Sfの性能差は、実サイズで違いを見てみないと分からないのかな。悩ましい。性能差を引き出すような撮影の腕が私にないのも事実だな。また、写真を評価するだけの目利きが私にはまだ備わっていないような気も正直する。しかし、R130Sfが「化け」はしたと思う。
R130Sf-PF改のF4.1は明るいほうで、この数字が正しければ、ED81SIIのF6.1と比べて2倍以上の速写が効いているはずなんだが、数字ほどの手応えがなかった。F4.1という数字は、ASI AIRがPlate Solveした際に表示された焦点距離から推定した値なので、実際はもうちょっと暗いのかもしれない。いや、中央遮蔽の大きさが影響していると考えたほうがもっともらしいかもだな。
同じセンサーサイズのカメラを使った場合は、鏡筒そのものの性能よりも、露出時間やガイド性能、シーイング、フィルターとの相性、画像処理の方が全体に与える影響は大きいと言えるかもしれないな。
光学的なスペックはR130Sf-PF改が有利な一方、取り回しの良さではED81SIIが有利。イメージサークルの大きさでは、ED81SIIはフルサイズまで対応するのに対して、R130Sf-PFはフォーサーズまでが(いまのところ)現実的。そういう意味では、ED81SIIはAPS-C以上のカメラを使わないともったいないのかも。
R130Sf-PF改に飛び抜けた利点がないようなら、イメージサークル、扱いやすさも含めてED81SIIに軍配が上がるような気がする。
しかし、それはまんま価格差に跳ね返っているような気もする。いい望遠鏡は値段が高いというのは、そういうことかね? コスパではR130Sf-PF改の勝ちってことでいい?
もうしばらく、両方を使い込んでみないとだ。
M33とバラ星雲は、時間のあるときに現像するよ。
この記事へのコメント
>どう総括すればいいんだ?
そうだよね。^^
たぶん作者や見る人がそれぞれ違った色々な視点で総括すればいいんじゃないのかな?
『値段が高い』や『取り回しの良さ』も作品を見る側にはあまり関係のないことだけど、使う側としては非常に重要だもんね。
どちらが?と聞かれたらED81SIIの方かな。
それは望遠鏡の差云々というよりは個人的な好みの問題が大きいと思う。
悩ましいですねぇ。R130Sfが化けたのは嬉しいのですが、このままだと、ED81SIIに仕事を奪われそうです。どっちにせよ、画像処理の与える影響が一番大きいような気がしました。Pixinsightとか真面目にやろうかしら…。
二つの写真を何辺も見比べて見ましたが、私にはどっちが良いとか言えません。それぞれに美しいです。
屈折と反射、男と女の関係性のメタファーじゃないかと思えてくる・・
i*matさん、ありがとうございます🥹
男と女、凸と凹、光と闇、どちらに優劣があることなく…でしょうか。