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スマホ電子ファインダーが完成した

スマホを使った電子ファインダーがようやく完成したよ! ここまでくるのに構想から2年半かかったんだ。俺得な話でしかないけど、満足している。思うにこれは、ハードウェアとソフトウエアの勝利なんだ。技術の進歩に感謝するよ。

天体写真の撮影でファインダーが必要になるケースは、(1)自動導入機能がある望遠鏡で基準星をアライメントする場合(2)自動導入機能がない望遠鏡で天体を探す場合の2つがあるよね。私が、スマホ電子ファインダーにこだわるのは、東京の空では光学ファインダーが無力だということと、PCレスでお手軽にファインダーを使いたかったからなんだ。東京の空でも強力に使えるPCレスの「スマホ電子ファインダー」。まずは、完成品をみてちょうだい。

しんぷるー! 見ての通り、この電子ファインダーは、2つのパーツから成り立ってるよ。カメラとスマホ。「また、買ったのか」って言わない、そこっ!(笑)カメラ部はASI 385MCの非冷却を選んだ。暗所に強く、イメージセンサーが小型のなかでも大き目。67fpsという高フレームレートで撮影できるのもファインダー向き。

ASI 183にしようかと最後まで悩んだけど、電子ファインダー用途にはオーバースペックだし、最終的に価格で決めた。ASI 224は価格が魅力的だったけど、センサーが小さかったし、385ならほかの撮影にも使えるかと思った。QHYじゃだめだったのかというと、これがだめで、スマホでキャプチャできるアプリがなかったんだ。それからASIならASI AIRで使えるでしょ?(買うつもりなのか?)

もう一つのパーツはスマホ。スマホは比較的新しい製品ならなんでもいい。ただしASI CAPが動くAndroid 5.0以上でないといけない。iPhoneを使う場合は、iOS 9以降であることが必要。私の場合は、シャープのSH-M04という使わなくなったスマホがあったのでこれを使った。いまなら実売価格で1万6000円くらいかな。スマホのカメラを使うんじゃなくて、あくまでディスプレイとして使うんだ。んで、USB ホストケーブルでASIカメラと接続する。

レンズは、激安Cマウント「サインソニック 50mm(F1.4)」を使った。当時3,850円で売ってた。同焦点リングを使わないと無限遠がでなかった。重さは618g(ケーブル抜き)。もうちょっとダイエットしたいところだけれど、自由雲台は小さいのを選んだし、軽量化できるのはスマホくらいしかない。

アルカスイスプレート12cmに、自由雲台2つ、スマホホルダーを組んで、スマホとカメラを取り付けるという簡単仕様だよ。

外は曇りだったんで、星に効くかどうか分からないけど、真っ暗な外の風景は昼間みたいに明るく写る。これで使えないはずがないのだ。

振り返ってみると、長い道のりだったよ。「スマホで電子ファインダーを実現できないか?」と思いついたのが、2016年11月だった。このときは、スマホについているカメラでファインダーを実現しようとした。しかし、映像として得られるのは月、木星、一等星が限界で、スターホッピングなんかはまったく無理な相談だった。

スマホで電子ファインダーを実現できないか?
けむけむさんのエントリーを読んでいて、ファインダーをなんとかしたいと思った。覗き込む姿勢を少しでも楽にしたいなって。いくつか問題がある。 (1)普通のファインダーだと天頂方面でイナバウアーをしなければならない。ファインダーを覗く角度が特に狭...

以来、電子ファインダーとして、実用にしてきたのは、QHY5III174MMをノートパソコンにつないで、PHD2の画面に映し出してスターホッピングで天体を導入していたんだ。QHY5III174MMの感度は抜群に良くて、十分に機能を発揮するだけでなく、オートガイドとしても機能してきたんだけど、お手軽ベランダ撮影のためにノートパソコンを引っ張り出してくるのがとても億劫だったんだよ。だからノートパソコンを使わないようにしたかった。

思うに潮目が変わったのは、ZWOがスマホでASIカメラをキャプチャできるASI CAPを発表した2017年の6月だった。2018年2月には電子観望をやってみた。このときはASI CAPとASI 1600MC COOLとスマートフォンを使ったんだ。この時点で、今回完成したスマホ電子ファインダーは実現できたはずだったんだけど、気持ちが動かなかったんだね。なぜって、電子観望用途ではこれでよかったんだけど、冷却CMOSを電子ファインダー用のカメラにまわすには、ちょっと大げさだし、重すぎた(気分的にだよ)。それからスターホッピングは楽しいけど面倒くさい(笑)

PCレスで電子観望してみない?
ここ何日か、ごそごそやってることがあるんだ。PCレスで星空観測を楽しもうって話。印象では去年の後半あたりからかな? 電子観望に関する情報を目にするようになった。自分だけで撮影を楽しむんじゃなくて、みんなで星を見てわいわいやるっていうのはいい...

結局、自動導入できる架台がベランダになければ、「気軽に星空を撮ってみよう!」という気分になれなかったということだよね。これを変えてくれたのが、自動導入機能付き経緯台のAZ-GTiなんだ。我が家にAZ-GTiがやって来たのが2018年8月。M57やM27なんかをズバズバ導入してくれた。しかも、追尾性能がよいので広角ならオートガイドがいらないレベル(だと思う)。しかし、自動導入架台にはアライメントが必須だよね(プレートソルビングができたらいらないかも)。うちのベランダからは、一等星がいつでも見えるわけではないので、光学ファインダーやスマホのカメラだけを使った電子ファインダーでは、2等星とかの基準星が探せなかったんだ。

東京の空、36EDで撮ったM57
先日撮影して、未処理だったM57を現像してみた。36EDとQHY5III178C、AZ-GTiの組み合わせ。1コマ15秒で総露出2175秒 (約36分)のLiveStackです。 撮影に使ったQHY5III178Cの画素数は3072 × 2...

と、話は長くなったけれど、ソフトウエアとしてZWO の ASI CAP、ハードウェアとしてAZ-GTiが出現して、はじめてスマホ電子ファインダーを実現したいという気持ちになったんだと思う。最終的なアイデアが頭に浮かんできたのは、2018年11月のこと。ここでちょうど2年が経過した。

スマホファインダー妄想、第三の選択
ここのところ、ファインダーのことが頭から離れません。AZ-GTiが手元にあって気軽に星空が撮れるはずなのに、電子ファインダーとパソコンをケーブルでつなぐのが億劫なんです。 空が暗くて星が見えているのなら、光学ファインダーだけでアライメントが...

しかし、それから転職活動などがあってだな……。サボり方を覚え始めた5月末に、組み上げたというわけ。AZ-GTiとSkySafariで天体導入ができるし、あとは実戦に投入してみるだけ。自動導入機能がないAP赤道儀と一眼レフの組み合わせでも力を発揮してくれることに期待しているよ。あぁ、長かった。

36EDに同架してみたところ。どっちがファインダーなのかよく分からない(笑)スマホ電子ファインダーをAZ-GTiにつないだら、お手軽電子観望がすぐに実現する。

おまけ:スマホ電子ファインダー年表

2016/11/18 スマホで電子ファインダーを実現できないか?
2016/12/04 スマホで電子ファインダーを実現できないか?(その2)

2017/05/03 ポラリエとスマホアプリで天体導入をやってみる
2017/05/17 「電子ファインダーいいなあ」と指くわえるの巻
2017/06/21 (メモ)スマホで天体導入支援
2017/06/08 パソコンの代わりにスマホで撮影だよ。ZWOのASICAPを試してみた

2018/02/21 PCレスで電子観望してみない?
2018/08/09 AZ-GTiをゲッツ(死語)した
2018/11/06 スマホファインダー妄想、第三の選択
2018/11/18 ダメ報告、QHY 5-II-Mをスマートフォンにつなぐ

おまけ:今回のスマホ電子ファインダーきっと(相当品含む)

ほかOTGケーブルやアルカプレートと雲台を接続する1/4ネジが必要ですよ。案外、高くついたな。ASI385が特に……(汗)



この記事へのコメント

  1. おめでとうございます。
    ASI385MC…
    色々と遊べそうで何よりです (^o^)

    • けむけむさん、ASI 224でもよかったのですが、まねっこして385にしてしまいました。木星撮りに威力を発揮してくるのではないかと。( ゚д゚)ハッ! 撮影にまわしたら、またファインダーが必要になる!

  2. ASICAPは、便利そうですね。
    おめでとうございます。サボり方を覚えたらこれですか。
    仕事辞めたら、寝床から何でもできるシステムを考えてくれそうですね。(笑)
    都会のマンションで、360度見える部屋ってそうそうないでしょうから、アライメントにはハンディーがありますよね。そういう方達には、これ朗報ですよ。
    それに、にゃあさんの文書は、オヤジのえーと・そのー・だから・消しゴム、じゃなくて、先を次々に読みたくなるリズムがあって、画像処理もそうですが文書も流石です。

    こちら、ド田舎なので、C11でも3星アライメントをすると、ほぼ100%画面に撮影ターゲットが入るのですが、ターゲットを表示する時に使うノートPCの代わりに、ASICAPをインストールした古スマホを鏡筒に取付て置けば、作業が断然早くなりますね。
    今は、ターゲット星に鏡筒が向くと、ノートPCを載せてる台も移動してます。(汗)

    スマホを固定してアルカスイス溝に固定する金具が売ってるんですね。
    探そう。

    • オヤジさん、ありがとうございます! アライメント用途ではスマホ電子ファインダーが便利に機能してくれるのではないかと期待しています。何度も何度もPCの画面とファインダーをにらめっこしながらアライメントする作業が辛くて(笑)

      あと自動導入架台じゃないAP赤道儀での天体導入も楽しみです。天体の位置さえ分かっていれば、星図どおりに位置を合わせるだけです(見えすぎちゃって困る問題はありますが)。

      電子観望の回数は飛躍的に伸びるはずなので、しばらく、使い心地を試してみますね。

  3. にゃあさんは比較的小さい天体を多く撮っているので、値段という面以外でもASI224という選択肢はあったと思う。
    このセンサーの情報がリークされたとき、多くの天体系のブログでその高感度性能ついて語られていた。その後ZWOから発売され実際の使用評価も非常に良好だと思っている。
    ただ、もうまる4年になろうとしているセンサーだね。174と同じく若干年数が経っている感があるけど。

    最近、センサー型番とそのプロフィールの記憶がかなり怪しい。歳ですなぁ~。^^;

    • 是空さん、そうなんですよね。値段が高いか安いか、古いか新しいかじゃなくて、目的に合致してるかが大事なので。そういう意味で224でも良かったかなと思います。最後の最後は、けむけむ先輩のまねっこをするという方向で決めました(笑)

      • ぼすけさんがYoutubeでASI224+μ180のリザルトを紹介した動画があって、「今までの苦労はなんだったんだろう?」と評価していたのを思い出した。
        わかりやすく、非常に刺さった言葉。

        物選びは難しいよね。使用目的や予算、性能というものあるけど、ぶっちゃけ「とにかくコレが好き!」というのもあるからね。
        知ってるブロガーで「ちっちゃいものクラブ会員」という小さい物に目が無い人を知ってる。
        この気持ちもよーーーーくわかる。^^

        • 是空さん、ちっちゃいものクラブ会員は感性というか本能で動いてしまうので、機能するかどうかとか関係ないところが恐ろしいです(笑)

  4. スマホファインダー! 素晴らしいですね~。ついに時代はここまで来たか、と思いました。というよりにゃあさんの思いつきには驚かされます。この組み合わせなら簡単な電子観望もできそうですね。
    ところで、ASI385とCマウントレンズを組み合わせていらっしゃいますが、その際に使用された同焦点リングについて詳しく教えていただけないでしょうか? ウチでもASI224MCにCマウントレンズを組み合わせてガイド鏡にしようとしているのですが、無限遠にピントが出なくて難儀しているので(レンズを浮かせてセットするとピントが合うのですがグラついて仕方ないです)。

    • 上杉さんは224ですか。うぅ、224にしておけばよかったかな。かくなるうえは224をファインダーにまわして、385を撮影用に。そしてまた沼が始まる……。

      リングですが、こんなやつです。CS/Cマウント アダプターリングという製品です。いまスマホなので検索不自由ですが、これよりもっと安い値段でありますよ。
      https://item.rakuten.co.jp/tiyotoku/csar-31/

      高感度ガイドができるといいですね!

      • 横レスで…
        レンズを買う時に、最初からCSマウントを選ぶって手もアリです。
        こんなの
        https://amzn.to/2YTkJZg
        激安でズームもあるッ!と買ってみましたが、像は御察し…

        • これも激安ですねぇ。CSマウントレンズといえば、5-100mmがほしいなあ。こちらは少し高め(笑)の5500円。像は御察しですよね…

  5. ASI385、アルカプレート、小型自由雲台、使わっていないスマホ・・・うちに全部余ってるw
    ちょっと電子ファインダー組んでみようかな。

    電子ファインダーではないですが、彗星を探すときなどは、
    SkySafari入れたスマホを双眼鏡に当てて導入しています。
    でも固定の仕方が難しいです。

    • せろおさん、なんか冷蔵庫に余っている具材で作る料理みたいなものですね(笑)
      天体用の双眼鏡は使ったことがないのですが、クランプ式の雲台で双眼鏡本体をはさんで固定できますかね。しかし、スマートじゃないなあ…。なにか一工夫必要そうですね、とまたパーツが増える(笑)

  6. おおー!
    これは完成度高そうですね。
    ドットサイトファインダーとは段違いの快適導入ができそうですね♪

    • あぷらなーとさん、このシンプルなファインダーにはとても期待しています。課題があるとすると画角の調整でしょうか。1インチの174に35mmレンズが使いやすいので、385はもう少し広角を用意するかもしれません。5000円のCマウントズームほしいです(笑)

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