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収差の復習をする

収差について、理解しているようで理解できていなくて、これからもどこまで理解できるか分からないけれど、復習しておく。これまであぷらなーとさんに何度も講義してもらっているけれど、ふだんから使わないとやっぱり忘れてしまっていて、これでは申し訳ない。小並感いっぱいだけれど、復習しておく。

収差を表現するのに5つの形の歪み、2つの色の歪みがあります。形の歪みは(1)球面収差(2)コマ収差(3)非点収差(4)像面湾曲収差(5)歪曲収差の5です。色の歪みは(1)軸上色収差と(2)倍率色収差です。

どの収差も単独で現れることがなく、だいたいミックスして出てきちゃうので、どれか一つを解決したら良いという話にはなりません。それでも、どれがどの収差なのか知りたいのが人情なので、にゃあさん的な理解を書いておきます(つくづく幼稚だな)。

球面収差 中央(光軸上)で円が点になるよう各社努力しているから心配しない
コマ収差 矢羽、彗星の形。大小の円がずれてできる。COMETがなまった
非点収差 ぐるぐる(サジタル)、放射の形(メリディオナル)になるやつ
像面湾曲収差 よくわからん。像面が曲がってないことを祈る(そういう話?)
歪曲収差 PhotoshopとかLightroomでなんとかなる/するやつ

こちらのサイトがわかりやすかったです。

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色の収差について。太陽スペクトル上にできる黒い線(フラウンホーファー線)を赤から青へと順にA線、B線、C線、D線などと呼んでいる(下図はWikipediaから。Public Domain)。

小文字と大文字とでは指し示す波長が異なるので、間違えない(下の色の説明と図が違うみたいなのであとで調べる)ちなみにナローバンド撮影でよく使われる波長はHαが656.27nm、OIIIが496nm & 501nm、SIIが672nm。

C線=赤色(赤色水素)656.273nm
d線=黄色(黄色ヘリウム)587.562nm
e線=黄緑色(緑色水銀)546.074nm
F線=青緑色(青色水素)486.133nm
g線=青紫色(青色水銀)435.834nm
HOYAをもとに作成。色表現はあぷらなーとさんのブログに準じた。

アクロマート望遠鏡で色の収差を補正できるのは2色まで。というか2色を補正したヤツをアクロマートと呼んでいる。そんでもってシャープに見える色は1色だけ。

TB006アクロマートレンズで合焦を試すよ」で、あぷらなーとさんにいただいたコメントにあったSE120の「d線アプラナートでC線F線色消し」というのは、(球面収差とコマ収差を解消した)黄色が最もシャープに見えて、赤色と青緑色について色を消したもの。なのでHα=赤とOIII=青緑付近の両方にピントが合いやすい。黄色と黄緑はピンぼけになるが、デュアルナローは拾わない。

TB006で撮影した下の動画に対するあぷらなーとさんの印象である「e線アプラナートで、d線F線色消し」というのは、黄緑が最もシャープに見えて、黄色と青緑色で色を消したもの。黄色と青緑色にピントを合わせると、赤色と黄緑色がピンぼけになる。デュアルナローならHα=赤とOIII=青緑付近のどちらか、あるいは両方でピンぼけする恐れがある(実写してみないと分からない)。

ATN-6の色の収差はともかく、コマだか非点だかの収差は改善にかかりたい。先人の知恵に従ってレデューサーを作ることになると思うけど、なぜレデューサーを使えばコマが補正できるのか理解できてない。それってコマコレクターの仕事だろう?

こんな理解しかできなくて申し訳ないっす。間違っていたら、ご指摘くださいm(_ _)m

さぁ、明日からお仕事だ。星空は堪能できなかったけれど、望遠鏡について考えた楽しい1週間でした。

この記事へのコメント

  1. 凄い。なんと分かりやすい解説!
    光学は結構難解な要素が多いのですが、それをイメージしやすい表現に噛み砕くのは至難の業なんですよねぇ。
    お見事です。

    あと若干の補足をしておきますね。

    ①アクロマートは1色だけアプラナートになるんですが、アプラナートは球面収差とコマ収差の両方を補正したものなので、球面収差だけなら他の色まで補正可能です。
    ですので、「周辺まで」シャープなのが1色だけというイメージです。

    ②これは結構誤解され気味なんですが、一般に「コマ収差だ」と思われている周辺像の乱れはコマ収差ではなく湾曲収差によるピンぼけが効いていることも多いと感じてます。画面中央を無視して周辺部にピントを合わせられたら湾曲収差、ピントを周辺部に合わせたときにコマ状になったらコマ収差、そもそも周辺部にピントが合わない(|の形になったり-の形になったりする)場合は非点収差と解釈しています。

    ③現実的には、湾曲収差補正(フラットナー)、コマ収差補正(コマコレクター)、焦点距離短縮(レデューサー)は、単独要素のみを補正させる設計が困難なので、複数要素を兼ね備えたアイテムになることが多いようです。ACクローズアップレンズNo3も(結果的には)上記の3つの要素を(不完全ながら)兼ね備えてます。

    ※私も素人なので勘違いが含まれてるかもです。

    • 方もわかりました。望遠鏡を作るのシリーズ、セカンド・シーズンのテーマは結果的に「収差と補正について学ぶ」になったようです。まさかANT-6がフルサイズをカバーするとは思ってなかったので、ムキになってフルサイズ対応しようと思っているところです。まぁ、APS対応で行ければ御の字だと思ってはいるのですが、ACNo.4がいいのかNo.2がいいのかとか、試行錯誤してみます。こうやってパーツが増えていきますね。正誤の件、修正しておきましたー

  2. 収差って、色々なところで発生イメージが図解されていて、個々には「なるほどな~」と理解できる。
    何がややこしいかってさ、↑であぷらなーとさんが指摘してるような「コマ収差に見えるが実は湾曲収差によるピンぼけ」とか、文中でにゃあさんが言ってる「どの収差も単独で現れることがなく」ということ。
    完璧なものはあり得ないので「何かがズレれば、そりゃ変な色もでるだろうし、形もゆがむわな」という理解でいっぱいいっぱい。><;

    • 是空さん、おっしゃるとおりで、完璧なものはあり得ないというのがよくわかりました。それだけわかれば、まずは十分だと自分に言い聞かせてます。これが理解できるようになったら転職しますよ!(笑)

  3. あぷらなーとさんのblogを拝見しているような錯覚を・・・。
    近寄り難くなってきたなーぁ。(笑)
    晴耕雨読で夜観望
    こんな筋肉で考えるblog無いかしら。(爆)

    • オヤジさん、ご安心ください。あぷらなーとさんのようにはなれませんから(笑)あと宿題になっているのはStellar Mateですね。なかなか思うようにいかないので、こちらもいずれやらなきゃ。そのときはオヤジさんに教えを乞うことになると思うので、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

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