「ステラショット2を買うべきかASI AIR Proなのか。はたまたAPTなのか」と毎晩うなされているんだが、悩んでいるうちに「リモート撮影専用の製品」か「リモート撮影もできる製品か」を軸に考えればいいんではないかと思い至るようになった。以下、私個人の思考過程のメモなので、製品の良し悪しを断じているわけではないし、購買を推奨しているわけでもないよ。
PCをダイレクトに望遠鏡に接続して使う方法がデフォだけど、ラズパイを使ってリモートもできるという位置づけでは、「APT」か「ステラショット2」の選択。
ラズパイを使ったリモート制御専用という位置づけでは、「ASI AIR PRO」か「Astroberry-J」かの選択(選択肢が一つ増えているが気にしないでほしいのだ)。
極軸合わせは基本的な機能。私自身はPoleMastarかSharpCapで極軸を合わせているので比較として考慮しない。導入補正も共通でできる機能なのでこれも考慮しない(使いやすさは別の話だけど)。下図(クリックで拡大)のAPTとAstroberry-Jは、ラズパイ4とSDカードを買ってくる前提。セットの予算1万5000円をみている。(追記:表中ASI AIR PROのリモート端末のカッコ書きがRPi4となっていますが、T-StudioさんからRockPi4を拡張したのではないかと指摘をいただきました)
「APT」か「ステラショット2」か
ステラショット2
ステラショット2は、グラフィカルに操作できるので、全体的に気持ち良く操作ができる。これは素晴らしい。星図から天体導入がシームレスに行えるのが断然良い。オートガイドも一体型なので、使い心地が気持ちいい。モザイク撮影や待ち伏せ撮影をサポートしているのは大きなアドバンテージ。天体データが随時アップデートされるのも助かる。ホイール制御ができないのが痛い。GearBoxを買わずに、自作するにしても、お値段高めなのが泣き所。
APT
APTは、アップデートが頻繁で機能が年々向上している。子午線反転やINDI接続もあとになって追加された機能。ただし、モザイク撮影はユーザーのリクエストとしてはあるが、開発項目としてはプライオリティが上がっていない様子。ステラショット2のようにグラフィカルではないけれど、ホイール制御や外部ソフトウエアとの連携とかかゆいところに手が届くソフトウエア。ラズパイを買ってきてリモート環境を作るのが手間で勉強する必要があるのがちょっと辛い。
判断基準
グラフィカルな操作系の気持ちよさは大事。一体型ならではの気持ち良は、かなり捨てがたいんだけれど、モザイク撮影をしたいかどうか、フィルター制御をしたいかとか、待ち伏せ撮影したいかとか撮影目的によって決めるべし。どちらにしてもリモート環境への期待は大きすぎないほうが良さそう。
「ASI AIR PRO」か「Astroberry-J」か
ASI AIR PRO
ASI AIR PROは、接続できるカメラはZWOとニコン・キヤノンのDSLRに限られるけれど、スマートデバイスによる操作系インタフェースがかなり作り込まれている。ケース自体に改変が加えられていて電源ハブを兼ねているのも良い。赤いアルミの筐体がかっこいい。
Astroberry-J
Astroberry-Jは、ラズパイ本体を買って組み立てないといけないし、セッティングに努力が必要。しかし、使える機材がZWOに限られておらずに豊富。デスクトップを直接操作できる環境は捨てがたい。しかも安価。
判断基準
ハードを含む製品としての作り込みは「ASI AIR PRO」に軍配が上がる。けれど、ガジェットをいじりたいとか、INDIの環境を勉強してみたいとかなら、断然「Astroberry-J」がよい。スマートデバイスから操作ができるStellarMateOSでも良いけれど道半ばな感じ。Astroberry-Jが使いやすかった。無料だしね。
で、個人的な結論
ステラショット2の星図導入は本当に捨てがたく、「APT」か「ステラショット2」かの2択は苦しい選択。でも、すでに使い慣れているAPTでチクチク環境を構築して行こうと思う。私の場合、モザイク撮影はあったらいいけど、フィルター制御のほうがよく使いそうなのだ。
「ASI AIR PRO」か「Astroberry-J」かの判断は、両方を選ぶよ(笑)Astroberry-Jは、まだまったく使いこなせてないけれど、T-Studioさんに勉強させてもらってる過程が楽しいから捨てられない。StellarMate OSも含め、私は、あーでもない、こーでもないとガジェットをいじるのが好きみたい。
ASI AIR PROは、実用になるかどうか分からないけれど、ZWOのフロンティア精神が好き。お小遣いに目処がついたら試してみたい。
この記事へのコメント
楽しく悶々いいですねぇ。
ASIAIR Pro はちょっと気になるけど、とりあえず無くてもいいかなぁ~。
SharpCap か ASILive でLiveStack動画を撮ってみたいなぁ~。
買うとしてもまだ先になると思いますが 、悩んでいるときが一番楽しいですねぇ。LiveStack動画というアイデアは面白そうです。新しい分野の開拓になるかもしれませんね!
私見です。(そして長文(笑))
商品としての完成度はASIAIR Proがとても高いと感じます。(独自設定済みのINDIドライバ、よく出来たスマホフロントエンド、機器の電源供給が可能なハード、画像取り込み専用のeMMC追加など)
ほんとにこれだけで、天体機器の制御を全て賄えそうです。
INDIドライバの欠点(設定の難しさ、設定を間違えると挙動がおかしくなる)を隠し込み、利点である安定性や処理速度を活かす作りになっていると思います。
(おそらくハードはラズパイ4ではなく、RockPi4を拡張して使用していると思います。)
ただ、INDIドライバ、KStrars・Ekosの使い方をマスターすればラズパイ4程度のシングルボードコンピュータと外付けSSDなどで十二分に快適な環境を作れてしまうのも事実です。(しかし覚えることは圧倒的に多くなります。)
SBCの唯一の欠点であるシステム時刻の取得はAstroberry-Jで組み込みましたので追加ハードを加えなくても利用できますが、画像取り込み用のSSDなどを別途用意しないと快適に使えません。(MicroSDでシステムを動かしながら画像を保存って、無理がありすぎます。。速度も極端に遅くなります。)
ステラショットは母体のプラネタリウムソフトのステラナビゲーターを使っていた時、架台ドライバの安定性があまり良くなかったのでその点が心配な感じがします。
(ASCOMはもっと大変でしたが。。)
実は私は天文系ではWindowsの使用期間の方が長かったのですが、(Windowsの天体ソフトもその当時買ったのでほぼ全て持っています。)ドライバの安定性や処理速度の違いからラズパイ3でリナックスとINDIを覚えながら環境を作って、数年前に乗り換えてしまいました。(ラズパイ3ごときの処理速度でSolverが8秒程度で完了しますし、ドライバが全く落ちません。重いバッテリーも不要になりました。)
ASIAIR ProはINDIで改善してほしい部分(難解な操作系)を大分消し込んだ感じがします。(正直良く出来てると思います。)
ただ、唯一にして最大の欠点はにゃあさんも記載の通りプラネタリウムアプリ機能が無いことです。
(不満もありますが、KStrars・Ekosの連動に慣れてしまったのでプラネタリウム機能が無いのは辛いです。。)
候補にはありませんが、有料のMac用indigo関連ソフトは私が使った中で一番簡単に環境構築出来て、操作感もとても良いです。(プラネタリウムソフト以外、プラネタリウムソフトは他のじゃないと駄目ですね。。)
私がINDIの使い方とLinuxの勉強していたときはMacは天文ではとても残念な環境でしたが、今ではKStarsやINDIもSiriLもASTAPもコピーするだけで使えます。(Linuxのように環境構築でイラつきません(笑))indigo関連に至ってはアップルストアから買うだけ(笑)
しかし、Macの場合、外に気軽に持ち出せるハードが。。。
(NUC並の低価格、低消費電力のMacが出てくれたら即座にそれに乗り換えると思います。(もう重いバッテリーはきついです。。面倒なLinuxの環境づくりも(笑))
T-Studioさん、詳細な解説ありがとうございます。
StellarMateをきっかけにラズパイを使った天体写真撮影を知ったのですが、いまでもうまく使えていません。それに比べて、Astroberry-Jは、予め設定をしてくださっていることもあって、空が晴れたらすぐに試してみたいところまで短期間できました。
Astroberry-Jでうまく行った設定をStellarMateに持ち込んでみたりしているうちに、INDIの考え方が少しずつ分かってきました。確かにすぐに使えないという意味では不便なのですが、一つ一つ基礎から理解していく(させられる?)ことが楽しいですね。RTCをつけることで時刻問題を回避したり、USBメモリを挿すことで転送速度の問題を解決したりとか、そんな小技展開も面白いです。
そんなに遠くないうちにAstroberry-Jで撮影できてると思います。それまでまた、いろいろお手間をおかけしてしまいそうですが(笑)
引き続きどうぞよろしくお願いいたします!
面倒くさがりで、細かい設定とかしたくない(できない)ので、
ASI AIR PROかステラショット2にします。
ちなみにステラショット2の特別価格の期間は未定だけど、GW頃まではやるそうです。
月が明けてMP(クレカ枠)が回復したら買おうかなぁ。
でもASI AIR PROも4月中には届くんだよなぁ。
せろおさん、ステラショット2は体験版を使っただけですが、有線では使いやすかったので、MPのレベルが上がるか臨時収入があれば欲しいです。というか、せろおさんのコメントを読んだら欲しくなってきたじゃないですか! もう、どれを選ぶかじゃなくて、買う順番を決めてるくらいのユルさになってきましたよ(笑)
GearBoxを使用している動画拝見したのですが、動画ストリームや画像の転送を無線で行うことを想定しているようです。
正直あの使い方では快適な動作は見込めないと思います。
(ネットワークドライバを最も低速、不安定に使う方法です。。)
動画ストリームや画像は制御系の中で飛び抜けて重い上、外部バッファ扱いのような使い方は出来ないので転送順に処理されることになります。
(その間は長い待ち時間になります。)
GearBox本体にSSDやeMMCが接続されていて本体に保存できるならまだましですが、おそらくそのようなことはしていないと思うので、撮影ごとに長時間の待ち時間になり、快適とは程遠い操作感になると思います。
ですので、ステラショット2買うにしてもGearBoxは考えたほうが良いかもしれません。
(正直GearBoxのような使用法が必要であれば、最低でも本体に動画ストリームや画像を保存できるメディアをつけたSBCを用意するほうがはるかに快適だと思います。)
T-Studioさん、貴重な情報ありがとうございます。ステラショット2は買うとしても、遊び以外ではリモート撮影をするつもりはないです^^
でも APTとINDGIGO Skyはつなごうと思っていますので、同じ問題が出てきそうです。Astroberry-JやStellarMateはUSBメモリに画像を保存するところまでは来たのですが(Ekosだとエクスプローラー風に場所を指定できるので迷わない)、INDIGO Skyの保存パスをどう設定したらいいか不明で棚上げにしています。
あと、動画ストリームの件でいうとQHY5III-178をつないだところ、EKosのINDI設定の画面でフォーマットを指定する[Control]のタブが現れませんでした(ZWOは出てきます)。なので、ZWO系はうまくストリームできるのですが、QHY5III178はいまのところうまくいっておらず、こちらも現状棚上げ状態です。
にゃあさん
QHY5III-178は所有していないので定かではありませんが、ZWOのカメラはDSPを積んでいるので非圧縮ではありますがストリームが使えます。(モードを選べば色付きのビニングができるのもこのためです。)
私が所有しているQHY5IIーL(だったかな?)もこのモードはありません。
なのでループ再生以外出来ないのではないでしょうか。
indigoは私も試してみたのですが、正直Macのクライアント以外使いづらく感じます。
GearBoxにしてもおそらく設定確認した程度?と感じます。
対してASIAIR Proは本気で自社の制御ガシェットにするつもりで取り組んできた感じですね。現状でネットワークドライバのネガになる部分を消しこんでいます。
INDIGO Skyがうまく動いてくれればAPTとの接続が楽しくなるのですが、現状だと起動ごとにデバイスを登録しないといけないとか、画像をダウンロードしてクライアントに持ってくるしかないとかちょっと不便を感じますね。
ASI385のような低画素のカメラなら、設定しだいで転送速度さほど問題にならないかもしれませんが、フォーサーズになるとどうなのか、今後、仕組みが理解できたら試してみたいと思います。
いまAstroberry-Jは、マウントの動作をのぞけば、いい感じでセットアップできたのですが、曇でどうにもなりません(涙)
indigoはMacお持ちでしたらCloudMakersのソフト試してみてください。
(サイトからだと無料で30日間試せます。)
ほとんどアプリで設定出来てしまうのでドライバの存在を全く気にしなくて済みます。
そして処理が高速です。
indigoは文献が全くといっていいほど公開されていないので構造の詳細がわかりません。
以前お試し頂いた時、私もAPT(過去に買ってます(笑))最新版にして試してみたのですが、最適化とはいいづらい状況に感じました。(遅いし、よく落ちます。。)
INDIのように仕様が公開されていれば対処などもわかりますが、正直現状でWinのクライアントとの相性は???と感じています。
INDIGO Serverという製品ですね? Macノートを持っていないので、リモートはできませんが、面白そうですね。おっしゃるとおり気軽に持ち出せるハードが欲しいです。
天体カメラ用
http://www.cloudmakers.eu/astroimager/
一眼デジカメ用
http://www.cloudmakers.eu/astrodslr/
いずれもドライバ内蔵してますし、indigoSkyでのリモートでも使えます。
私はAstroDSLRとindigoコントロールパネルを購入してます。(快適で使いやすいのですが、外に持ち出すMacがありませんのでSBCがメインになってます。)
天体カメラは一眼デジカメと違って処理エンジンが無いのでリモートドライバであったとしても、直接接続して使用しないと現状では使いづらいですよ。(天体カメラがエンコーダー積んでくれれば話は別ですが)
想像がつかないのですが、INDIを内蔵した撮影用ソフトということですかね。一度使ってみたい気がしますが、Macを夜露に濡らすと色々辛いですね(Windowsは気にならないらしいですw)。
上記2つのソフトはカメラ用のindigoドライバは内蔵されていますよ。
indigoSkyとも接続できます。(有線を強くおすすめ)
MacのKStarsもアプリの中にサーバとドライバ全て入ってますよ。
どちらも設定は必要ですが機材繋げば使えます。
T-Studioさんのブログタイトル「Macで天体(ときどきUbuntu)」の意味がいまよく分かりました! 昔使っていたMac book air を手元に残しておけばよかったです。
おっと、Ekosでモザイク撮影できますよ。
https://www.indilib.org/support/tutorials/155-create-super-mosaics-with-ekos.html
Mosaic job creatorっていうのがKStarsのスケジュールにあるんですね。一読しただけでは、まったく理解ができませんでした(汗)まずはスケジュールの機能を理解しないとですね。APTでもスケジュール撮影って使ったことがないので、どうなることやらです
備忘リンク
https://indilib.org/about/news/183-capturing-stiching-mosaics.html
にゃあさん
スケジュールモジュールはEkosの他のモジュールの使い方おぼえてからにしたほうがいいですよ。
あそこまで自動化されると間違った指示を与えたしまった場合、機材を壊しかねません。
T-Studioさん、ありがとうございます。私もそう思います。そうします。