いつまでも進まない素人の望遠鏡の工作風景を見ていても面白くないと思うので、いきなりプロトタイプを完成させたよ(笑)3Dプリンタの印刷が終わって、あきらめるところをあきらめれば、組み立ては早いのだ。
とはいえ、少しは途中経過の説明が必要だよね。くるくる式フォーカサーのある土台の部分、PLAN Bで作ってはみた(写真下)。ガタは大きく減少したんだけれど、結論からいうと、期待していたような機能は果たせなかった。ネジのピッチが大きかったというのもあるけれど、天体望遠鏡に求められる精度って、私が想像している以上に精緻だった。反省。
ということで、一旦、フォーカス部分はペンディングにして次に進む。是空さんが筋交い式を期待されていた金属の棒、これはダイソーで売っていた1本100円のポールを使った。38cmが少し長いように思えるかもしれないけれど、これは少し考えがあるので、これでよい。3本を使う予定だけれど、失敗したとき、いらなくなったときはテーブルに転用できるよう4本買ってきた。
次は、カメラを収容するスパイダーの部分。カメラは、Center Camのそれを使う。遮蔽面積が小さいとか、ドライバ不要とか、何かと楽ちんなのでこれにした。スパイダーのつま先には、M4ネジを接続する。スパイダーを取り付けるリングには3か所の穴がある。ネジをスライドさせてスパイダーを傾けて光軸を調整する仕組み。これだと遮蔽が小さく済む。工作には、カメラde遊ingさんに教えていただいたインサートナットを初めて使った。ハンダゴテで簡単に埋め込めた。タップを切るよりはるかに楽ちん。食わず嫌いはだめだね。
ハンダゴテは、ケーブルに足をひっかけて落としたり、やけどするのがいやなので、ケーブルレスのハンダゴテを新しく買った。作りはちゃちいが、単三電池4本で使えるコンパクトさは大きなアドバンテージだと思う。インサートナットを加熱する用途だと、特に気軽につかえてGOOD!
土台に3本の金属棒を立てて、スパイダー(=カメラ)を組み込んでみたのがこちら。ここまで組み立てれば、焦点距離も計測できるね。フォーカサーはないけれど、少しずつスパイダー部分をずらしてピント位置を巻き尺で測った。シベットさん情報によると、製品が300mmをうたっていても、実際は280mmだったということだったけれど、私が購入した76cm(3インチ)の鏡は、300mmだったよ。
横からみたプライム・ニュートン式望遠鏡。最大の特徴は反射式なのに副鏡がないことだよ。構造は至ってシンプル。思った以上にコンパクト。アリガタやファインダーを取り付けるためのパーツはまだ印刷できてないので、それはタスクとして残ってるよ。
写真に見えるケーブルは、ウェブカムのケーブルね。すでにカメラが望遠鏡に組み込まれていてこの大きさ。スマホに接続できることも確認しているので、この組み合わせは、ちょっとした観望にいいかも。
で、実際に写るかどうかだ。WindowsマシンにカメラのUSBを接続してカメラアプリを起動。いつも撮影している近くのビルの航空障害灯はこんな感じに撮影できた。言っておくけど、念写じゃないからね。
全体に赤いのは、UV/IRカットをしていないのが原因。光条が6つに収束していないのは光源が複数あるからかな。光軸を追い込む必要もありそう。全体的に光がかぶっているのは、この望遠鏡が裸だからだな。写真の発明初期みたいな画質は向上させていく。
※下にQHY5III174Mで撮り直した写真があります
やることはたくさんある。まずは、何をさておいてもフォーカサーを完成させないといけないよね。台座のミラーは固定したほうが良さそうだけれど、カメラde遊ingさんの援護射撃を少しだけ期待しているんだよ(笑)。私が考えているのは、スパイダー部分にフォーカサーを実装することだと思っているんだけど、想像以上に大きくなりそう。BORGの直進ヘリコイドのM36.4P1なんて規格、だれが考えたんだ。CADがめんどくさそう。
それからカメラ。ウェブカムだと画質に限界があるから、ZWOやQHYのカメラを使えるようにしたい。これは、上に書いた直進ヘリコイドの導入で実現しそうなんだけれど、3インチの鏡筒にスティックのり型のカメラはでかくて重いんだ。状況をみながら、フォーカサー抜きで接続できるようにするとか、段階的に改善していきたいと思ってる。
最後に考えないといけないのは、この望遠鏡に服を着せてあげることだな。上の写真でみたように、とてもじゃないけれど、この光の被り方だとベランダでは使い物にならないよね。ベランダには思った以上に光源があったよ。空が全体的に明るいのは第一として、街頭の明かり、部屋の明かり、そしてノートPCのディスプレイの明かり。どんだけ明るい環境なんだと思ったけれど、だからこそお洋服は必須だね。
ということで、形だけはできた。あとは少しずつ改善していくつもりだよ。
ここまでにかかった材料費を書いておくね。
3インチミラー 3739円、金属ポール100円 × 3本 = 300円。合計4039円(ネジやフィラメントなどの消耗的な小物は除く)
追記:QHY5III174Mで撮り直した。(1)カメラ性能、(2)キャプチャソフトウエア(SharpCap)でのパラメータの自由度、(3)光の遮蔽、この3つが大きい。光の遮蔽は優先度高い。
この記事へのコメント
うわーカッコいいですね!
あっという間に形にされるのはさすがです。何と言うか、作ってても形になって来たらモチベーションが上がりますよね!
flもカタログ通りの300mmだったようで何よりです。
さて、面白くなってきやがった!
シベットさん、ありがとうございます! おっしゃるとおり、形になってきたら中身を充実させなきゃと強く思うようになります。実用に向けて改善していきます!
こんな感じになったんですね!!!早い!!!
これなら3つのポールのうちの一つにラック&ピニオン的な仕組みを装着できないでしょうか?
なんか出来そうな気がする~~~。
カメラde遊ingさんの援護射撃待ちですw 半分冗談ですが、自分で作ってみるとなると、あんなやり方、こんなやり方を考えるようになって、勉強になりますね。それも楽しい勉強なので苦になりません~。何種類か作ってみてもいいなと思っていますよ。
おー、早い!カメラ側のセルに三脚ネジ穴みたいなのがありますね。ファインダーでも取り付けるんですか?
ねこめしさん、目の付け所がさすが鋭いです! 写真に写っているのはアリガタを接続するためのネジ穴です。もっともその位置に付けるわけではなくて、もう一つ印刷できたら後ろに回して固定します。もう一個のセルにはファインダーのネジ穴をつけるつもりです。インサートナットの到着待ちです!
36.4mmP1は24.5mmアイピースが主だった時代にEr32mmとか長焦点アイピース、拡大撮影アダプタでよく使われていました。ビクセン規格なのかな。
Center Camのカメラ側のケーブルに、プラ製チューブがあるようですがこれ外せるとスパイダー細くできませんかね?いっそケーブルだけにしてスパイダーに這わせたほうが良いかも?
ビクセン規格ですか。CADで作図する際、このネジの規格を自分でセッティングしないといけなくなると面倒くさいなぁって(笑)
あぴさん、よく気づかれました! あのチューブ、プラ製じゃなくて金属製なんですよ。ケーシングに圧着されているのかな?すぐに取れなかったんです。あと、本来的な使い方するときのことを考えて除去を思いとどまりました。
カメラについては、いくつかネタを準備中です。少し先になるかもしれませんが。
「作る望遠鏡シリーズ」が日刊化?と思ってたら、夕刊号外でもう出来ちゃってる?!
カナメのパーツを百均で調達してるのサスガです。
コレってパイプじゃなく金棒ですよね?鬼にカナボー
構造の分かりやすさ、ニュートニー君も真っ青ですね!
遮光パーツですが、腕抜き(昔、役場の事務職がシャツの袖に被せてた黒いゴム付きのカバー)を被せるってのは?
腕抜きって言うのですね。アイデアいただきました! ありがとうございます。薄いと透けそうですから厚手の腕抜きを新調して差しあげましょう。
おおおおお・お・お・おっ!
全体像が見えてくると読者としては楽しさが倍増するね。^^b
鏡筒を棒で作るとなるとラック用のこのポールだよね。
カメラセルと主鏡セルに加えて、中間にもアリ型やファインダー用のセルがあと1or2ヵ所付くんだよね?(設計図を読み取った結果^^)
筋交いはいらんかもね。
最初の画像を見たときは『トホホ』になったけど最後の画像をみたら俄然フォーカスシステムへの期待が大きくなったよ。
^^vケントウヲイノル
最初の画像って、プロトタイプで試写したやつね。
そうです、そうです。2枚目はカメラのホルダーを改善したので、厳密にいうとプチ改良型での撮影ですー
さすが設計図が読める是空さんです❗ 設計図どおりでしょう?(笑) やっぱりいいカメラはよく写りますね。フォーカス機構考えないとです
私もインサートナットを知った時、感動しました。以前ははんだこてを使ってましたが、今は長いネジにナット嵌めてライターで3〜4秒加熱してグリグリ嵌めてます(笑 ネジが垂直になってるか確認しながら調整出来るし。
何か自分も望遠鏡作ってみたくなってきました!(笑
溶けた樹脂に金属がにゅっと入っていく感じが快感ですね(笑) 赤道儀の製作経験や3Dプリンタのデザイン経験や機構の知識が豊富なKenさんなら、ユニークな望遠鏡や赤道儀がすぐ作れると思います。私がいま作っている反射式なんて、実質用意したのは3000円ちょっとの鏡だけですから。ほかにも屈折式は屈折式で、光学の勉強がはかどります。どちらにしても、フォーカサーは工夫のしがいがあると今回身に染みて分かりました。おそらく、正解がないので、誰も思いつかなかったような機構が見てみたいです(笑)