東京23区をはじめとする都市部で天体写真を撮ることの一番の障壁は、光害じゃなくてビルや電線などの遮蔽物なんではないかと思い始めるようになったんだ。要は空が狭いこと。
カメラの感度は年々上がっているし、光害フィルターもここ最近になって急激に進歩した。光害の問題は機材で解決できる部分があるよね。でも、遮蔽物の問題はどうにもならないんだ(無電柱化はやく進めてほしい)。
ただ、都市部で撮れる天体に限度があるのは事実。そこで、遠征するわけだけど、時間もお金もかかるわけで、月に2度も遠征できれば万々歳といったところだな。
しかし、自分の生活圏内で徒歩や電車で移動して電線や遮蔽物のない星空を撮ることができれば、時間とお金をかけずに楽しみが増えるよ。得られないのは上質な星空。つまり、質の問題は残るわけだな。マクドナルドかショーグン・バーガーかみたいな話で、しょっちゅうショーグン・バーガーを食べるわけじゃないもん。何を言ってるんだ。
でだ、徒歩や電車で移動するのに現実的な機材を検討することにした。基本路線は「自動導入撮影セットの持ち歩き重量6kgは重いのか軽いのか」のエントリーで書いたことと変わらない。つまり、赤道儀はAZ-GTiで鏡筒は短焦点200mmに限定する。問題は、どうやって持ち運ぶかだった。愛用の旅行カメラバッグ(下リンク)に収まったので、以下、備忘として記録しておく。
収納物の全体感
カメラバッグに収納するバッグ・イン・バッグの数は3つ。このためにコンパートメントの仕切り全部取っ払った。収納物の全体感。
ふたをして、親バッグに収納する前の状態。
3つのバッグの内容物
バッグ1
カメラとウエイトは、ZWOのカメラに付属していた大きさぴったりの巾着に入れる。シャフトの入れ忘れに注意
- AZ-GTi
- シャフト
- ASI385MC
- 1kgウエイト
バッグ2
12Vのモバイル電源とASI AIR PRO本体は、このバッグに入らないので、それぞれ袋に入れるなどして親バッグの上部に収納する。
- ワンオフ微動雲台
バッグ3
36ED用のバーティノフマスクはこのバッグに入るので、忘れずに入れておくこと
- BORG 36ED(主鏡)
- ASI120MM mini + QHY130mm(ガイド鏡)
- バーティノフマスク
- 主鏡ケーブル
- ガイドケーブル
三脚
親バッグのサイドに収納できる大きさ。
- Amazonベーシック カーボン三脚
親バッグへの収納方法
バッグ3とバッグ1は、親バッグの下部へ。12Vバッテリーもこのコンパートメントに入れる。
バッグ2は親バッグの上部へ。ASI AIR PROもここに収納。三脚はサイドのホルダーへ。
検討事項
この機材が一つのバッグに収まったのは素晴らしい。ASI AIR PRO だとノートパソコンが不要ってのは大きいな。バッグと三脚も含めた総重量は8.7kg。これにケーブル類や何やらを足していくと9kgにはなりそう。背負ってみた感じ重いは重いが、歩ける(登山でもこれくらい背負うときあるやん)。でかいので、電車に乗ったらリュックを下ろすが吉。
ふりかってみると、2017年に構想していた内容物とは大きく異るな。ポラリエからAZ-GTiへとだいぶパワーアップしているし。36EDはもともとトラベル望遠鏡として準備してきたわけだし。
Amazonのカーボン三脚でも運用はできそうだけれど、風が吹いたら写真が駄目にになりそう。なので、丈夫なINNORELのカーボン三脚も徒歩遠征の検討機材に入れている。持った感じさほど重くないんだが、かさばるのが難点。それがいやなら風に強そうなMOMANのミニ三脚でもいいんだが、セッティング難しそう。テーブルがあるといいんだけど。どちらにしても三脚選びは今後も焦点になりそう。
MOMANの三脚が採用できて、1kgのウエイトが不要になれば2kgは減量できそうだ。軽量化もまだ検討する余地がありそうだな。INNORELの一回り小さい三脚もありかもしれない。
この記事へのコメント
念のために同梱品リストを忍ばせておくと良いのかなって思っちゃいましたよ♪
そー言えば、ヘッドランプの類いがありませんが、都会は明るいから不要と言うことなんでしょうか?
ヘッドランプは必要ですねー。ほかにもケーブル類の選定に悩んでるのですよ。あとコンパスとか椅子とか? どこまで持っていくかも決めないとです〜
同梱品リスト、なるほど! これ必要ですね。ぜったい、何か忘れてしまいそう。印刷して目録つくっておきます!
トレッキングするときには、リュック上部に重いものを入れたほうが背負って歩くときに重心バランスが取りやすくて疲れにくいこともあるので、この場合もバッグ1~3の位置はいろいろ試してみるのもいいかと思のですよ~
kommyさん、はじめまして! ですよね。コメントありがとうございます。リュックも鏡筒と同じようにバランスが必要なのですね。赤道儀じゃなくて自分自身だから、担ぎやすさがかんたんに判別できそうです。バッグ1と3を入れ替えるのは簡単なので試してみます!
9kgかぁ。
未舗装の山中を上り下りするわけではないので、余裕といえば余裕だな。
でも箸より重いものを持ちたがらないにゃあさんには、もう少しダイエットが必要かもね。
^^;イヤミデス
背負うのではなく、転がすってのはどうなの?
昔に比べて、街中で転がす人って増えたよね。
以前は海外旅行だけのものだと思ってたけどさ。
5kgのウエイトを両手で運ぶだけでも重いと思っているので、ダイエットしたいのですが、機材そのものの重量を単純に足し込むと6kgくらいが限界な計算ですね(算数弱いけど)。
旅行用のコロコロはあるんですが、私のはホテルではともかく、屋外では扱いにくいなぁって思います。あと音がうるさくて、動く工事現場みたいなのがちょっと気が引けます(笑)
なので、ゴムローラー付きのカメラバッグならいいかもですね。仕事仲間が使ってました。入れっぱにしておけば、AZ-GTi用のカメラケースにもなりそう。いいかもです。
こんにちは!
過去記事だいたい読ませていただきました。勉強になりました!
北海道に住んでいるので、自動導入、自動追尾、遠隔撮影したくなってしまいました。セット後、車の中で温々モバイル端末で撮影するのが理想です。
Borgの55FLが格好良く気に入りました。ご相談なのですが、回り道は必要だと思いますが、今、買い揃えるとしたら何を選びますか?
AZ-GTi、Borg55FLをまず選ぶとして、カメラはZWOなのかPlayerOneなのか。ZWOならAsi Air Plusを待って買うのか、ラズパイで良いのか。何か読めば読むほど訳が分からなくなってしまいました(笑)お時間のあるときにアドバイス頂けると幸いです。
Kenさん、なかなか難しいご相談です!
55FLかっちょいいですよね! 私も気に入っています。写りも違います。一生モノだと私は思っています。55FLで撮影されるのであれば、赤道儀はポラリエUで十分いけますが、自動導入ができないというのが痛いところです。ASI AIRやラズパイでの自動導入を考えると、価格とコンパクトさを優先してAZ-GTiを選択する、あるいは、これをきっかけに中型の赤道儀を買うということになると思います(とはいえ55FLに中型は大きいかも)。
カメラは、EOS 6Dの改造機をお持ちであれば、それで十分すぎると思います(私もほしい)。しかし、CMOSカメラを使って撮影してみたいというのが人情ですよね(笑)。であれば、冷却のフォーサーズか1型あたりで始めてみるのがいいかもしれません。遠隔撮影する際、画像フォーマットが大きいと転送に時間がかかるからです。現像するときもマシンパワーが必要になります。フォーマットが大きすぎず、小さすぎずでいうと、ASI294(フォーサーズ)かASI183(1型)の取り回しがよいと思います。どちらも暗所感度が高いと言われていますよ(同じ1型のASI533は画像の縦横比が1:1なので好みが分かれるところ)。
ちなみに見かけの焦点距離は、フルサイズ起点で、フォーサーズだと2倍、1型だと3倍になります(200mmを1型で撮影すると600mm相当になる)。あくまでみかけなので、フルサイズで撮影した画像をクロップするのと効果は同じです。また、非冷却でも素晴らしい写真を撮っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるので、冷却にこだわる必要もないと思うこともしばしばです(むしろ冷却用のケーブルが邪魔に思えることも)。モノクロよりはカラーのほうが撮影も現像もしやすいと思います。
上でZWOのカメラをおすすめするのは、Asi Air PlusやProの購入を選択肢に入れてらっしゃる場合です。ZWO以外のカメラだとASI AIRが認識しません(NIKON、CanonのDSLRをのぞく)。特にこだわりがない限り、ZWOが無難なような気がします。ZWOを選んでおけば、ラズパイで撮影するときも難は小さいと思われます。
Asi Air PlusかProかの話をすると、Proオーナーとしては、Plusを見て「悔しい〜」という気持ちがあんまり湧いてきません。電波の届く範囲やOSの格納メディアが一番大きな違いだと思いますが、これもなんとでもなるので、どちらでも気に入った方で良いと思います。
何かありましたら、いつでもどうぞ〜
ご丁寧ありがとうございました。
かなり選択肢が絞れそうです。今持ってるポラリエuは星景のタイムラプス撮影用にするつもりです。
赤道儀は、AZ-GTIで何も問題なし。値段的にも機能的にもサイズ的にも
55FLは、見た目も格好良いし性能もお墨付きですね。これにします。ZWOのカメラを付けるときはオプションのアタッチメントは必要ですか?
カメラは、ZWOで、どれにするかは、楽しみながら悩みます(笑)
ASI Air Proならすぐ手に入りますね。ThingiverseのデータでAZ-GTi一体型にするのも面白いですね。ただ家にラズパイが4が一個、3B+が二個余ってるので、まずはラズパイでチャレンジしてみます。ラズパイは一筋縄ではいかないですよね。それを克服するのがラズパイの楽しみですから(笑)
後はガイド用のカメラを用意すれば、後は家にあるもので何とかなりそうです。
こんな事考えてる時も楽しいんですよね!
今ブログを復活させてます。記事が少なすぎるのでFacebookにあげた天文系の記事を移行して公開しようと準備してます。
ありがとうございました!またよろしくお願いします。
Kenさん、ZWOのアタッチメントの件です。
55FLにレデューサー【7880】を組み込んだ場合になりますが、下のURLをご参考にください。同じASIカメラでもサイズが違うと接続の仕方が違う場合があるので、そこだけ注意が必要です。
たぶん、これでいけるはずですが、念のため、カメラを購入する際、そのカメラと55FLを接続したい旨をショップさんに伝えて、確認されてから購入されることを強くおすすめします(合焦しなかったら交換を交渉できると思うので)。
EOSを55FLに接続する際もアダプタが必要です(下のリンクはレデューサー【7880】を組み込んだ場合)。品番はBORGの【7000】と【5005】です。より安価なTリング経由でもいけるはずですが、試行錯誤に陥る可能性があります(これまた楽しいのですがw)
https://www.tomytec.co.jp/borg/uploads/pdf/chartPDF/6258chart.pdf
ガイド用のカメラもASI AIR前提なら、こちらもZWOをおすすめしますよ。スティックのりの形状をしたASI120MM-MINIで十分と思います。
たのしい天体写真ライフを!